7月13日 余韻
ー1年前ー
後ろを見ると、喜ぶ颯希が、安心した顔の七海、呆然とする喜早先輩がいた。観覧席には、優衣が笑顔で私の方を見ていた。すぐに、颯希と七海が駆け寄ってくれた。
まるで、神がかっていた試合展開になった。人生で初めてのブザービート 。
颯希「やったー」
七海「全て、真波にもってかれたな」
颯希「ほんとやね」
私は、倒れこみながら、話をしていた。すると、喜早先輩が話かけてくれた。
喜早「真波、おめでとう」
私 「先輩、ありがとうございます。ドリブルやばかったです」
私は、喜早先輩と話す時は、いつも敬意をあらわしていた。
喜早「真波も上手くなったね」
私 「いやいや、全然うまくないです」
喜早「今日も部活、頑張ろねー」
喜早先輩は、負けたのに、まるで喜んだような笑顔をして、体育館を後にしていった。
颯希「真波、大丈夫?」
私「‥‥。ちょっと疲れたみたい。保健室行ってきていい?」
颯希「‥。ん?うん。」
七海「私も行こか?」
私「大丈夫、大丈夫」
私は、いつの間にか、足が思うように動かなかった。体育館から、二分ほど歩いたところに保健室まで、足をひきずりながら移動した。
保健室の先生は、どうやら、体育館に来ていたようで、私の状態を知っていた。保健室に到着するとすぐに、ベットで寝るように告げられた。私は、あまりのしんどさで、寝転ぶとすぐに記憶がなくなってしまっていった。
ー現在ー
あの日のことは、これからもきっと忘れないのだろう。颯希と七海と一緒にバスケをしたことで、私の人生は、大きく変わった。これまでは、何をしていても他の人に劣ることは、なかったが、二人に出会ったことで、自分がいかに何もできないことを理解した。
あの日から、私は、2人が目標になった。何をするにしても部活や友だちとの比較ではなく、二人との比較になった。常に向上心がたえない颯希と常に先を見据えて動く七海は、私の生きる上で、本当に手本としていた。特に、二人の勉強の仕方や時間の使い方など、すべて聞いていた。二人は、考え方は大きく異なるが、どちらの話も、とても新鮮なものだった。
昨年二人と同じクラスになったことで、私の勉強方法や部活への取り組み方も変わった。そうしたこともあり、勉強では、2年生の成績よりもさらに上位になった。部活動もチームでは勝てなかったが、個人では県選抜にも選ばれていた。




