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7月11日 決勝2

 今日は、放課後の部活動で、みんなに夏の予選について話す日だった。体育館には、20名の部員が並んでいた。緊張感が漂う中で話しはじめた。

 

 私 「おはようございます」

 全員「おはようございます」

 私 「今日は、練習が始まる前に夏の大会について話したいと思います」


 みんなが、私の方を見つめるのだった。


 私 「今年の夏の大会メンバーは、必ず、三年生全員がベンチいりするわけではありません」


 三年生が不安そうに私の方を見つめた。


 私 「昨年の新人戦、今年の春の大会と2大会連続で負けてしまい、私たちは、大会で一度も勝利することができてません。私は、とても悔しかったです‥‥」


 上手く話すことができない。


 私 「昨年、先輩たちと築きあげた県2位のチームの面影はありません。今のままだと、夏の大会も初戦で負けて引退になるかもしれません。私は、どんなことをしてでも勝ちたいです。たとえ、三年生と一緒に出れなくても‥‥」


 いろんな感情が溢れ出てきた。気づけば、涙が落ちてきた。上手く話さない私に代わって副キャプテンが全体に向けて話し出した。


 大野「真波が言ったとおり。私たちは、弱いの。ゆっくり練習来て、真剣に練習も取り組まない。それが私たち」


 大野の一言で、静まり帰った。


 大野「弱いのを自覚して。私も真波と一緒。このまま、負けて引退するのは嫌。夏は、絶対勝って、先輩たちを越えるの」

 

 ここで、監督が声を発した。


 監督「大会まで、残り20日。練習や練習試合から総合的に判断してベンチメンバーを決める。3年生は、悔いなくやってほしい。1.2年生は、先輩を出し抜くくらいの気持ちでやってくれ」


 こうして、ミーティングが終了した。私は、涙を拭いて、通常通り練習を始めた。こんなにも熱くなるなんて。また、球技大会の日のことを思い出した。


 ー1年前ー

 

 試合開始7分。私は、ある違和感に気がついた。それは、喜早先輩のパスの出し方であった。私たちと戦う前の試合では、早川先輩へのパスが多かった様に感じたが、この試合では、館原先輩へのパスが多い。館原先輩には、七海をつけているのにあえてそこにパスを出すのは明らかにおかしい。

 また、颯希へのマークが手薄なのも気になった。意図的にマークを手薄にしているのか、たまたまそうなっているのか。喜早先輩がいるというだけでそこまで考えてしまう。そうこう考えているうちに、早川先輩が6点目を決めた。体育館にいる3年生たちは、大盛り上がりだった。

 開始8分で、6対0になった。すかさず、私はタイムをとった。あまりの強さに動揺してしまっていた。ベンチにもどると、颯希と七海に声をかけた。

 

 私 「七海、喜早先輩はドリブル上手いけど、気にせず攻めよ」

 七海「おっけー。なんか、真波キャプテンみたいやな」

 颯希「ホントそんな感じ」

 私 「‥‥。そう?」


 二人に言われると照れくさかった。


 七海「うん。気合い入ってるよ」

 私 「‥‥」

 七海「もっと、自信なくしてるかと思ったけど、気にしてなくてよかった」

 颯希「早く一点とって流れ変えよ」

 七海「そうやね。真波、私たち三人って、周りから何て呼ばれてるか知ってる?」

 私 「ん?‥‥」

 七海「‥‥」

 私 「私たち?‥‥。あっ、BIG3?」

 七海「正解。こんなところで、負けてたらダメでしょ」

 颯希「そうそう。真波が負けるところ、男の子は見たないよ」

 

 こんなにも真剣な目をした二人は、はじめてだった。このメンバーを気にした私の方が間違ってたのかもしれない。この二人のためにも何とか勝ちたかった。しかし、いい作戦が出てこない。

 喜早先輩と私とでは、プレイヤーとしてのタイプが違う。喜早先輩は司令塔、私はシューター。この三人バスケで必要なのは、圧倒的に司令塔だということに今、気づいた。

 一見、シューターの方が得点をとれるからいい様に感じるが、バスケ部が各チームに一人しかいない場合、残りの素人をどう活かすかの方が重要である。

 常日頃から、全体を見ている喜早先輩のパスは、明らかにとりやすそうであった。バスケ部ではない早川先輩や館原先輩が活躍できる理由がわかる気がする。

 喜早先輩が、司令塔でいるのとのデメリットは、シュートを打つ機会が少ないこと。となれば、パスカットかリバウンドだろう。ボールさえ、もらえれば点数はとれる。後は、どうボールをとるか。

 そんなことを考えていると、ゲーム再開の笛がなった。上手くパスが回らない時も、必死に走った。そして、試合が開始から10分がたった。

 私は、ドリブルをして攻めた。喜早が前にきた。それでも、真っ正面から、突っ込んでいく。喜早とぶつかりながらも、ボールを放さず、前へ進んだ。七海は、ノーマークだったが、流れを変えるために、3ポイントのラインから直接シュートを選択した。きれいな放物線を描いてゴールネットに向かった。リングに一度は、まだ、ゴールネットの上にボールが回り続けていた。回り続けていたボールは、ゴールネットの中に入っていた。

 ようやく、3点をかえし、6対3になった。さらに、2分後、再び私は、3ポイントシュートを決め、6対6の同点に追いついた。

 しかし、すぐに喜早先輩がボールをとる。鮮やかなドリブルで前へ進む。難なく、レイアップシュートを決めてきた。点をとられてしまった。

 私が点を取る度に、私へのマークがきつくなった。だが、颯希と七海へのマークが薄い。その隙を見て、七海にパスを出した。七海は、そのパスをもらって、レイアップシュートを決めた。開始してから12分。7対7という展開になった。試合も終盤になり、体育館は、大きく盛り上がりを見せていた。

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