表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二度目の世界と紅月  作者: 華月紅陽
プロローグ1【8/24】
4/312

#4

「──だってあたし、ヒナのこと好きだし」


「……ひかりんのことは好きじゃないの?」

「今あたしが振り絞った勇気を返せ」

「んー? 何。つまり、ライクじゃなくてラブとか?」

「そうだよ。夕凪今際は、末雛流礼のことが恋愛対象として好きだって言ってるの。恥ずかしいんだから一発で察してよ。ヒナのバカ」

「これは私が悪いのかな……」



「でも分かってるだろうけど、女の子同士だよ?」

「それはそうだけど、でもそんなの関係ないもん」

「えっと……ごめん。まだ状況がよく飲み込めてない」

「まああたしも突然言っちゃったわけだし、無理もないかもだけど……でもあんまり時間かけないで? この時間が一番恥ずかしいから」


「じゃあ善処はしてみるけど……そもそもナギって、女の子が好きだったの? 私、全然知らなかったんだけど」

「いや、そんなつもりは無かったから、最初は自分でもそこそこ驚いたんよ……でも、気付いたら好きになっちゃってたんだから仕方ないじゃん」


「恋ってそういうもん?」

「そんなもんだよ、恋なんて──気付いたら好きになってたし、できるならずっと近くにいたいって思うし……あと、ついエッチなことだって考えちゃう」

「エッチなことって、ナギ……」

「いや、仕方ないじゃん。考えちゃうんだから」

「だからってそんな堂々と……」

「だって、ヒナとエッチなことがしたいって気持ちも、あたしがヒナのことが好きな証拠だから。隠したくないし、自分の気持ちに嘘も吐きたくない」


「えっと……エッチなことって、例えば?」

「え……それをここで言うのは、流石にちょっと」

「そこは普通の反応なんだ」


「──あ、でもさっきも言ったみたいに、あたしがエッチなこと考えちゃう相手はヒナだけだから。そこだけは誤解してほしくない」

「……いや、どう考えてもその補足はいらない」

「ん、別に変な意味じゃないよ? 単にあたしが恋には一途だってことを言いたかったというか……」

「それならそれで、他に言いようはあったはずだよ……ナギが素直で不器用だってことは、これ以上なくひしひしと伝わってくるけど」



「……と、取り敢えずこのまま話すのもアレだし、部屋入りなよ。私も着替え終わったし、鍵も開けたから」

「そうだね。じゃあ……あ、いや、やっぱやめとく。このまま、扉越しのままで話したいかも」

「いや、でも……」

「声だけだとあんまり分かんないかもだけど、実はあたし、今すっごく顔赤いから。恥ずかしすぎてヒナの顔、まともに見れそうにない……」

「そ、そう。じゃあこのままで……」


(いやこれ、ナギの声、下の階にいる禎女に聞こえちゃってるんじゃ……)


「えっと……いつから私のこと、その……好きだったの?」

「んーとね──具体的にいつって感じじゃないかな。好きになった理由とかもよく分かんないし」

「そんなものなの?」

「そんなもんだよ? 大事なのは好きになった理由じゃなくって、好きになったって事実だもん」


「……そっか」

「納得できた?」

「まあ多少は。私自身誰かに恋したことがないから確かなことは言えないけど……でも実際そんなもんなのかなって感じ」

「なら良かった──で、どう? ヒナ、あたしの恋人になってくれる気はある?」

「……恋人?」

「そう、恋人」


「えっと、ちょっと待って……んー……」

「……やっぱり、相手が女の子なのは嫌?」

「あ、いや、嫌とかじゃないけど……何ていうか……」

「じゃあさ。ヒナは、女の子が女の子を好きになるの、変だと思う? あたしがヒナを好きなの、変だと思う?」

「別に変だとは思ってないよ。きっと人それぞれなんだと思うし、それこそナギが言ったみたいに、好きになっちゃったものは仕方ないんだろうし」


「そっか。その言葉が聞けただけでも嬉しいかも……でもじゃあ、相手があたしなのが嫌なの?」

「そ、そういうことでもないってば。というか、嫌だなんてどこも思ってないし……ただちょっと、まだ気持ちの整理がつかなくて」

「あ……ごめん。そりゃそうだよね。急に好きだ付き合ってくれって言われても、普通に困っちゃうよね」

「うん……」


「ごめんごめん。何かあたし、つい焦っちゃってたみたい──だったら、別に今すぐ答えを求めたりしないから。ゆっくり考えてみてよ」

「う、うん……私の方こそ、ごめん」

「ヒナが謝ることじゃないってば──さ、もう着替え終わってるんだよね? 禎女ちゃんに怒られる前に、早く降りてあげようよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ