#1
小説……じゃないかも。
主として会話とSE、たまに最低限のモノローグという感じで進行していきます。
登場人物紹介
末雛流礼
主人公(女)。高一。
末雛禎女
妹。中二。
〜流礼の部屋〜
「──なが姉、朝だよ。起きて」
「んっ……やだっ……」
「……ねえ。何でほんのちょっとだけエロっちく言ったの? 私が恥ずかしいんだけど」
「……いや、むしろ何で分かったの?」
「まあそりゃ十四年もなが姉の妹してるわけだし、なが姉のおふざけのパターンは大体分かるよ。別に分かりたくはないけど」
「地味に辛辣……まあ、そう言われても仕方ないって自覚はあるけど」
「さ、早く起きて」
「ん……おはよ、禎女。でも駄目だよ、折角のお休みなのに朝にお姉ちゃんを起こしたりしたら。少なくともお昼までは寝るって決めてるんだから。だから昼ごはんができたら呼んでね──おやすみ」
「待てい」
「何なら晩ごはんができたときでもいいよ」
「だから待てい。はぁ……私がわざわざ起こしに来るの、なが姉がそんな自堕落なことばっか言うからだよ?」
「なんと。夏休み最終日に明かされる衝撃の事実」
「いや、夏休みの間、毎日この会話してたけど?」
「うう……妹の態度が冷たい」
「毎年のこととはいえ夏休みの間はお父さんもお母さんも出張で留守だから、私がしっかりしてないとなが姉が際限なくだらけちゃうんだもん」
「別にあの二人がいてもそれは変わんないけど……私のこういうところって、あの二人に似たわけだし」
「うん。それは言ってて思った」
「あと、夏休みかどうかもあんまり関係ないけど……」
「それは関係してよ。流石に平日と休日のだらけ具合が同じってことはないでしょうが」
「それに、だらけてるとか何とか、そんな格好してる人に言われてもって感じだし……」
「いや、それこそまだパジャマのなが姉に言われても……というか私の格好、何か変なとこある?」
「あるよ、いつものことながら。何よその趣味の悪いTシャツ。そんなダサいやつ、外国人観光客くらいしか買わないってば」
「んー。そんなことないと思うけど……」
「──まあ何にせよ、お姉ちゃんは一度しかないこの夏休み最終日をダラダラと過ごすことに決めてるから。せっかく起こしに来てもらっといて何だけど、今日は夕方くらいまで寝かせてくれるかな?」
「ねえなが姉。そう言われて私が『うん、良いよ』って言うと思う?」
「禎女は優しいから言ってくれる、って信じてる」
「絶対に言わないから安心していいよ」
「もう。禎女ったら、何がそんなに不満なわけ? ひょっとして一緒に寝たいとか?」
「何がそんなに不満かってことは、既に何度も説明してるんだけど……聞いちゃいないんだね。確かに二人で一緒に寝るのは魅力的だけど、この時期は暑いから嫌」
「一緒に寝るのは魅力的なんだ……姉離れしなよ」
「? よく分かんないけど、妹離れできてないのはなが姉の方でしょ? 私はもう充分姉離れしてるし」
「そうかなぁ……」
「そうだよ。『なが姉がお姉ちゃんじゃなきゃ良かったのに』って本気で思ってるくらいだよ?」
「え、それは素で傷付くんだけど」
「だって、血の繋がりがあるせいで合法的に結婚できないんだもん」
「訂正。それは素で怖いんだけど。言い方的には非合法な方法で結婚しそうだし──っていうか、少しも姉離れできてないじゃん」
「できてるよ?」
「…………いや、もういいや」
「──でもなが姉、今日って予定入れてなかった?」
「ん……あ、さては私を焦らせて二度寝させない作戦? 残念ながらその手は食わないよ」
「昨日はものの見事にかかってのに、強気だね」
「昨日は昨日、今日は今日──私がこのかけがえのない日に予定を入れるとでも?」
「かけがえのない日って……夏休み最終日なだけじゃん」
「それだけで充分特別な日でしょ」
「言ってることがもはや小学生だよ?」
「いいね小学生。高校生より休み長いし」
「…………」
「何よ」
「いや、もういい……それから訂正。なが姉、今日って予定入れられてなかった?」
「同じ質問を二度……あ、微妙に違う。んーと……あー、思い出した思い出した。そういえば予定あったわ。本当に二度寝できないやつじゃん」
「それは最初からしないでって言ってるけどね」
「今からでもキャンセルできるかな?」
「できるかできないかで言ったら、できるんじゃない? 後であの二人から何を言われるか分かんないけど」
「それはできるって言わない……」
「仕方ない。ベッドにはまだまだ未練しかないけど、起きないわけにいかなくなっちゃった」
ピンポーン
「今の音って……いま姉かな?」
「いや……まだ朝だよ?」
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