涙
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「それで、教えてくれるか?フレン」
俺がそう言うと、ベヒモスは魔法を解き姿を認識できる様になった。
「はい。分かりました」
「とりあえず、おじさんにこれ以上迷惑をかける訳にはいかないから移動するぞ」
フレンから、了承の返事が貰えた所で場所を移動する事にした。フレンの顔を隠しながら、移動しまたベヒモスに気配を消してもらって国の外に出て人目につかない所に来た。
「さて、ここまで来たら大丈夫だろう。じゃあ、まず」
「私の正体ですね?」
「あぁ」
「私の本当の名前は、フレン・クラーク。今代の聖女に選ばれた者です」
俺達は驚いた。何らかの上の役職だろうと思っていたらまさかの、国の重鎮である聖女だったとは。
「それで、お主は何故あのような場所に?」
「逃げたんです」
「逃げた?」
「2人もさっき聞いた様に、魔物を全て殺したと」
「あぁ、聞いたが」
「それは、無抵抗な魔物まで殺したと言う事です。魔物というだけで命を奪われ。私は、必死に子供を守ろうとしたラッピの親子を手にかけました。何も害のない、ただただ平穏に暮らしていただけなのに・・・」
「それは・・・」
彼女は、優しいんだろう。それも、聖女に選ばれるくらいだ。その優しさは魔物まで対象となる。彼女にとって、この国は生きづらい国だと思った。
「お主は、優しいんじゃな」
ベヒモスは、優しげな目でフレンを見ていた。
「私は!優しくなんか!」
「じゃあ、何故今泣いておる」
「えっ?」
自分でも、気が付いていなかったのか話している途中からフレンの目から涙が流れていた。限界だったのだろう。だから、本能で心が壊れてしまう前に、逃げ出した。
「あれ?なんで、止まら・・ない」
必死に涙を止めようとするが、止まらなかった。
「私に・・泣く・・・資格なんてないのっ!」
フレンが最後まで言い切る前に、ベヒモスがフレンを抱き寄せた。
「そんなに、自分を責めるでない。お主は何も悪くない。いずれは、死ぬ運命なのだ。それが、早まっただけじゃ」
「でも!でも・・」
「今は、何も言わず泣けばいい。我慢する必要はないぞ」
ベヒモスの優しい声音に、フレンは今まで耐えていたのものが決壊したかの様に泣いた。
「あぁぁぁぁぁぁ」
ベヒモスは、背中を優しく叩きフレンが泣き止むまでしばらくそうしていた。
フレンが泣き止むと、
「あ、あの、ありがとうございます///」
あんなに、大泣きしたのが恥ずかしかったのか頬を赤く染めてベヒモスにお礼を言っていた。
「なに、大したことはしておらんよ。それよりも、どうしてそこまで魔物に対して敵意を持っているのか知っている事があったら教えてくれんか?」
「分かりました。私が知っている事をお教えします」
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