フレンダ
読みに来てくれてありがとうございます!
「ん?いつの間にこんなに人が?」
「お前がその串を美味しそうに食べているから集まったんだよ」
「ほ~人間もたまには分かる奴らよな」
それから、沢山の人が買っていき人がいなくなると
「兄ちゃんとお嬢ちゃんのおかげで今日の売り上げは過去一番になったよ!ありがとな!!これで、かみさんに上手いものを食わせてやれる!これ、お礼の揚げ肉だ!じゃあな!」
おじさんは、店じまいをすると帰っていった。
「あの、人間はいい奴だな!」
ベヒモスは、満面の笑みだった。
それで、いいのかと思ったが少しずつ馴染めてきている証拠なのかなと思い何も言わず俺達は宿に帰ることにした。
宿に帰るとすでにみんな帰ってきていた。
「あっ帰ってきた!」
最初に、皇が気付いた。
「ただいま」
「ただいまなのじゃ~」
「おかえり~、あれ?その手に持っているのって」
「みんなの分のあるから食べてみるといい!」
ベヒモスは、有無を言わさず全員に揚げ肉を配るとみんなの感想を待っていた。
「そんなに、見られると食べにくいんだけど・・・」
赤城が、ベヒモスにそう言うが当の本人は全く話を聞いていなかった。
「はぁ。まぁいいか」
何を言っても無駄だと思ったのか、諦めて揚げ肉を食べると
「んっ!美味しい・・」
想像していたより、美味しかったのか感想をポロっとこぼすと
「じゃろ!外はカリっとしておるのに1噛みすれば中から肉汁が溢れてくるんじゃよ!!味もピリッとした辛みがアクセントになっていて飽きずに食べ続ける事ができるんじゃ!!」
興奮した様子で、揚げ肉の食レポをした後自分の分の揚げ肉を食べていた。
「ん~!!やはり何度食べても上手い!!」
みんなも、一口食べ気に入ったようで
「・・・・・」
フィーリアは黙々と食べていた。普段より早く食べていてそれだけ気に入ったんだなと思った。食べ終ると少し悲しそうに串を見ていたので
「ほら、俺の分上げるよ」
苦笑しながら、渡すと
「・・ありがと//」
少し顔を赤くして、受けとると今度は味わうようにゆっくりと食べ始めた。
この揚げ肉は、みんなに大好評で明日も買いに行くことが決定した。
「そういえば、女子達は何を買いに行ったんだ?」
「んーまだ内緒かな」
何を買いに行ったのか聞いたら、モヤっとする答えが返ってきた。
「近いうちに分かると思うから、待ってて」
皇にそう言われ、他のみんなも同じ思いなのか頷いていた。
「まぁ、それなら待ってるよ」
「朱堂様も楽しみに待っていて下さいね!!」
ミミ様が、朱堂にもとに行きアタックしており今日も頑張っているなと思った。
そんな、平和な一日が終わり俺を含め全員が寝静まった夜中。
一人の少女が街の中を走っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ。ここまでくれば大丈夫かな?もう、あんな事をするのは嫌だ」
路地裏に、座り込み少女は緊張が解けたのと、疲れでその場で眠ってしまった。
次の日、ベヒモスに朝早く起こされ俺は昨日も来た市場に向かっていた。
「流石に、早くないか?」
「何を言っておる!昨日の盛況ぶりを見ておらんかったのか!早くに行かねば売り切れになってしまう!揚げ肉をかっていくこのミッションは大事なミッションなのだ!」
いつになく、張り切るベヒモスに若干子供っぽさを感じているが何も言わず、戦闘では仲間をしっかりと守ってくれているので。その感謝として、しっかりと付き合う事にした。
「よし!なら、急いで行くか!」
「そう来なくては!!」
走るのは流石に危ないし迷惑が掛かるので少し早歩きになりながら向かう途中、急にベヒモスが止まった。
「ん?どうした?」
ベヒモスは、質問に何も返す事なく路地裏の中に入っていった。
「あっおい!ちょっと待て!」
一人にするわけにも行かず、ベヒモスを追いかけると何やら声が聞こえ始めた。
「おい!こんなところにいないで、俺たちのところに来いよ!」
「嫌です!やめて下さい!!!」
穏やかじゃない声が聞こえてきて、慌てて走り現場にたどり着くと
「なんだ、このガキ」
「迷子か?嫌でもこのガキなかなかいい見た目してるぞ。この女と一緒で高く売れそうだ」
ベヒモスが、女の子の前に立ち男たちから庇っていた。
「我は、今気分が悪いから。今すぐ目の前から消えるなら見逃してやってもいいぞ」
「ぷっはははは!!ガキが何調子乗ったこと言ってるんだよ!」
「お前たちは、俺たちの為に売られるんっ」
二人目の男が言い終る前に、ベヒモスは殴り倒し地面に頭から埋もれていた。
「なっ!!てめぇ!よくもやりやがったな!!」
そこからは、一方的だった。もはや、戦いとも呼べないほど男たちは弱かった。まぁ、ベヒモスが強すぎるのだが
俺は、終わったのを見てベヒモスの方に近づいた。後ろにいる女の子は仲間が現れたのかと思ったのか体を震わせていたが
「趣味が悪いぞ。のぞき見なんて」
「いや、俺必要なかっただろう」
「まぁの。そりよりも、お主大丈夫だったか?」
ベヒモスは、後ろの女の子に話掛けると
「はっはい!大丈夫です!助けてくれてありがとうございます!」
女の子は、丁寧にお礼を言った。
「我はベヒモスじゃ。で、この男はショウタじゃ。お主は?」
「私は、フレンダです」
フレンダは、少し考えた後そう名乗った。
これが、フレンダとの出会いだった。この出会いで、ベヒモスとの関係が変わるとは思ってもいなかった。
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