聖国の中に
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聖国の西にある森の中、一つの集団が魔物の殲滅をしていた。
そして、最後に残ったのはラッピ。額に魔石をつけただけの無害な魔物だ。親であろううさぎが子供も守ろうと必死に威嚇をするが全ては無意味な行動だった。
しかし、その中で1人の少女が指揮を取っていた者に質問をする。
「この様な、無害な魔物まで殺す必要はあるんですか?」
「何を言っている。魔物はそこに存在するだけで悪なのだ。例え、今は無害でもいずれは悪となる可能性がある。ならば、早めに殺しておく事が人間の為なのだ。だから、殺せ」
冷徹な声で、無表情で命令を出され少女は視線を魔物の方に戻し嫌々魔法を発動した。
「光の矢」
3本の光の矢が、ラッピの親子に直撃。一瞬で絶命し小さな魔石だけを残して消えていった。
豪華な法衣を纏った指揮官は、その魔石すらも踏み潰した。
「帰るぞ」
そう言って、彼らは聖国に帰って行った。彼らが去った後、その森には生き物の気配が無くなっていた。
その帰り道、少女は
「もう嫌だ。誰か私を助けて」
その呟きは、風により掻き消され誰に聞かれることもなく消えていった。
その集団が、聖国に入った直後もう一つの入り口から彼らが入ろうとしていた。
「ここが、聖国」
「そうです。人類の休息の場と言われる程過ごしやすい国。犯罪がどこの国よりも少ない。けれど、最近は亜人差別や魔物に対する過剰な武力行使をしていると噂があるので気をつけないと」
リリアは、後ろで楽しく会話しているみんなを見て、決心を固めていた。
「そうだな。特にナタやアリサさんは特徴があるから気をつけないと」
「はい、でも国に入ることは任せて下さい!」
リリアは、自身満々に胸を叩き門番の所に行った。話始めたと思ったら、何やら少し揉めている様で怒りながら帰ってきた。
「ど、どうした?」
「最初は普通だったんです。でも、私たちの中に亜人がいると分かった途端、亜人は入れる事はできないと言ってきたのです!」
「ほう・・・」
「私はそこで怒って、折衷案として必ず人間の誰かと一緒に行動するなら入れてやると。あのっ!上から目線な態度!同じ人間として恥ずかしいです!」
どうやら思っていた以上に、差別の意識が高いらしい。
「これは、ちゃんとベヒモス達に聞いとかないとな」
「はい、なので少し相談してきますと言って戻ってきました」
俺たち2人は、みんなの所に戻り亜人であるベヒモス達に意見を聞いた。国に入る条件として、1人では行動できない旨を伝えたが、元から1人行動する気なんてなかったのか全員即答で大丈夫と言ってきた。他にも予想される、人の視線についても
「我が何年生きてると思っておる。その程度、気にもならん」
「私も、人の視線には慣れていますから」
「あの時の絶望に比べれば、全然」
上からベヒモス、アリサさん、ナタとみんな色々な修羅場をくぐり抜けてきたからなのか心構えがしっかりとできていた。
「その様子なら、大丈夫そうだな」
リリアは、先程の門番に条件を呑む事を伝えた。門番は、一瞬、嫌な顔したが自分がだした条件を呑んで入ると言っているのにそれを拒否するのは他にも示しがつかないと思い、渋々俺たちを中に入れた。
こうして、俺たちは何とか聖国に入る事ができた。
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