トラップ
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ようやくプロローグの最初に戻りました!
ダンジョンの訓練は、順調に進んだ。まぁ、当たり前なのだが。一層目は、ゴブリンやスライムなどの雑魚しか出てこないからだ。集団に遭遇したら少し危険度はかわるが。ゴブリンやスライムが出ると最初に聞いた時は少し不安だった。最近の、ラノベとかではゴブリンやスライムが強く書かれることが増えてきたのでもし、強かったらどうしようかと思っていたが、よくよく考えたら、そんな所に俺達を連れて行くわけないとすぐに気づいた。
なので、俺は今絶賛間引きされたゴブリンと対峙している。
いくら弱いと言われているゴブリンでも持っている棍棒に殴られれば痛いし、当たり所が悪ければ最悪死んでしまう。しかも、日本にいたころなんて喧嘩なんてしたことなかったのだから。ドクドクと、心臓の音がうるさい。
「ふ~」
俺は、深く息を吐くと地面に手をあてた。すると、ゴブリンが突っ込んできた。今この瞬間、訓練の成果を見せる時がきた。
俺は、錬金魔法を使いゴブリンが踏むであろう地面を尖らせた。いくら、ゴブリンが弱くても致命傷にはならないだろう。だが、痛みを感じたその一瞬、意識は俺から急な痛みを感じた足元に向くその瞬間を狙い俺は刃のついた剣を抜きゴブリンに斬りかかった。ゴブリンは、俺が斬りかかってくるのに気付いたがもう遅い。俺の剣は、ゴブリンの胴を深く切り裂いた。ゴブリンは、大量出血で死にすぐに体が消えていきそこには何もなかった。
「ふ~」
俺は、緊張のあまり息を止めていたのか貯めていた息を吐きだした。
「お疲れ様!やるじゃないか!」
ハルがそう言って話掛けてきた。
「たまたまだよ、ゴブリンだから上手くいっただけで」
「まぁ、そう卑下するなって。生産職向きの魔法をあんな使い方する奴なんて見たことないぞ!」
「そうよ!それに、初めての戦闘であれだけ動けるなんて大したものだよ!」
ハルとアメリアが俺のことを手放しに誉めてくれて、何もいわないがタリスも同じ思いだったようで首を縦にふっていた。
褒められて悪い気がするわけなく、今までやってきた訓練が無駄にならずにすんだと嬉しくなった。
「でも、手をつきながらなのが少し危ないかな。そこをなくせばもう少し強い奴にも使えると思う」
ハルは、褒める所は褒めて、言うべきと所はしっかりと言ってくれるので非常に助かっている。正直今の自分がどこまでの相手と戦えるのか分からなかったのだ。
俺は夜の訓練の時、この魔法をどうにかして使えないかと考え、思いついたのが敵の足元に尖った物を生成し踏ませるのと、くぼませて躓かせあわよくば転んでくれる事を願う。この二つを、思いついた。
ただ、現状どうしても地面に手をつけていないと上手く操作する事が出来ないので要改善ポイントだ。
ハルはたった一回俺の、この戦闘を見ただけで弱点の部分を見つけたのでアメリアの言う通り優秀なのだろう。
「さて、少し休めたところでもういけそうかい?」
どうやら、ゴブリンを殺した直後気分が悪いのを見破られていたらしい。いくら、魔物とはいえ肉を斬った感触が気持ち悪かったのだ。
バレていないと思っていたが、普通にバレていたみたいだ。
「はい、もう大丈夫です。バレていたのなら言いますけど斬った感触が気持ち悪く気分が悪くなってました」
「みくびるなよ!俺たちに隠し事をしようなんざ10年早い!・・・それに、誰もが通る道だ。慣れろとは言わない慣れてしまえばそれは殺人鬼と同じになってしまう。心に落とし込め」
「それは・・・」
「あぁ、なかなか難しい事を言っていると自覚はある。だが、それしか道はない。・・・敵を前にして、一瞬の迷いが自分の命や最悪の場合味方の命を失う事になる」
その時の、ハルや他の二人の表情は酷く辛そうな顔をしていた。
俺は過去に何かあったんだと気づいたが、今日あったばっかの俺が踏み入ってはいけないラインだと理解し気付かない振りををした。
「そうだね、そうならない為にもこの訓練頑張るよ!」
俺は明るく言い、前を歩き始めた。それに続いて雰囲気が暗くなっていたと理解しアメリアとタリスも続いた。
「そうね!行きましょう!隊長!」
「・・・・・!」
「・・・・ありがとう」
先ほど、俺の内心に気付いたハルが俺が気づかない振りをしたのを気付かないわけもなくポツリとお礼をいった。
その言葉は、前を歩いている俺には聞こえなかったが思いは伝わってきた。
ダンジョンに潜って、いい時間となりここで大きな休憩をとることになった。ハル達と離れ一人で休憩をしていると皇たちがやってきた。
「立花君!!」
大きな声で、皇が俺の名前を呼んだので周りで談笑をしていた男子たちが俺の事を睨んできた。そんな視線に気付かない振りをしながら皇たちの方を向くと皇が良い笑顔でこっちに近づいてきておりその後ろでは赤城がニヤニヤしながらついてきていた。朱堂たちがいないことにストッパーがいないなと思い、休憩できないかもしれないと覚悟を決めた。
「よう、そっちは大丈夫だったか?」
俺は二人に質問すると
「最初は、全く動けなかったし倒した時なんかは気分が悪くなっちゃった」
「私もよ、あれは斬った感触が気持ち悪かったわ」
皇は分かったが、赤城がこんな風に言うのは珍しくつい赤城の方を見てしまった。
「なによ、その表情は・・・私だって女の子なんだから」
赤城は、自分でもらしくないことを言っているのを自覚しているのか頬を赤く染めながらそう言った。
「そうだよ!怜奈ちゃんだって女の子なんだよ!この前怜奈ちゃんの家に遊びに行った時怜奈ちゃんの部屋にたくさんのぬいっもがもが」
「ちょっと!梨華!!なにを暴露しようとしているの!あれは、秘密でしょ!」
赤城は皇が何かを言いかけていた途中で口を手で塞いだ。先ほどよりも顔を赤くして、よっぽど恥ずかしい何かを皇は言おうとしたのだろう。
赤城が皇の口から手を離すと
「ぷはっ!ふ~ごめんね、秘密だったね怜奈ちゃん!」
「そうよ!危うくバレるところだったじゃない!」
「私は、バレて怜奈ちゃんの可愛さが伝わればいいのにな~って思うのに」
「絶対だめよ!」
二人の仲のよさげな会話を聞いて、笑顔を浮かべると。馬鹿にしていると思われたのか赤城からキッ!と睨まれた。
「まてまて、誤解だ。俺は二人の仲良さげなやり取りに笑っただけで、けっして秘密の事について笑ったわけじゃない!それに、その秘密が何なのかも知らないんだから」
「そうだよ!私と怜奈ちゃんは仲良しなんだ!!」
そう言って、皇は赤城抱きついた。
「ふ~それもそうね。疑って悪かったわ」
皇に抱き着かれながら、なんとか落ち着いてくれた赤城はそのまま皇の頭を撫で始めた。その目の前の光景に和んでいると。だいぶ時間が経っていたのか休憩の終わりを告げられた。
「それじゃあ、私たちは戻るわね」
「また、地上でね!立花くん!」
「あぁ、また後でな」
こうして二人と別れた後、ハルさん達と合流する為に立ち上がった。
全員の準備が終わったタイミングでオスカーさんから次の層について説明が入った。
「全員よく聞いてくれ!次の層からトラップが置かれはじめるなので先ほどよりも慎重に行動するようにそして、何か見つけた場合は近づかずすぐに騎士に伝えるように!」
オスカーさんがトラップの話をした瞬間背中に寒気が走った。それでも、一瞬の事だったので気のせいかと思いすぐに気にしない事にした。
こうして俺たちは、トラップに気をつけながら訓練を再開した。
訓練が再開してからしばらく経ち、未だにトラップを全員みてないでいると、誰かが宝箱を見つけたと騎士に報告した。俺たちは、トラップがどういったものなのか見るために一時集合することになった。
「今まで君たちは、運がよくトラップを見てこなかったが目の前にある宝箱がそのトラップだ。どんな、トラップかは発動させないと分からないが、宝箱系は近づくと発動するものが多いのでくれぐれも近づかないように」
俺は、よく見ようと前の方に行き説明を聞いていた。その結果あんな事になるとは思わずに。
俺たちが、トラップも見たので訓練を再開しよと離れようとした瞬間また、背中に先ほどよりも強烈な寒気を感じた瞬間
「うわっ!」
俺は誰かによって突き飛ばされた。
俺は前のめりに倒れて、手に何かが触れている感触があった。その直後皇の叫びに近い声が聞こえた。
「立花君!!!」
顔を上げて皇の方を見ると、何か焦ったような表情をしており、よく見ると朱堂たちやハル達騎士も慌てていた。俺は嫌な予感がし、さっきから手に触れている物を見た。
そこには、さっきトラップとして紹介された宝箱があった。そう認識した瞬間俺の足元に魔法陣が出現し眩い光を放った。その光は、この世界に召喚された時の光と似ていた。そして、俺はその場から消えた。
「立花君!!!!」
ダンジョンの中に、皇の悲痛な叫び声が虚しく響いた。
宝箱のトラップは、内容は決まっておらず完全にランダムである。なので、運が悪ければ即死級のトラップの可能性もあったのだ。今回の転移のトラップはまだ運が良かったのだろう。
飛ばされた場所を考えなければ
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