第二皇女
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拳圧による風が止むと止まっていた時間が動き出した。
「あなた、やるわね。でも!まだまだ!」
赤髪の女性は、この状態からもまだ戦おうと蹴りを放とうとするとこの場で店を構えていた商人が止めた。
「お待ちください!皇女様!」
「何?」
「その者は、皇女様を助けに行こうとしていただけです。みんなも見ていただろう?」
「そうですね」
「その者の言う通りです」
ここにいる人達が俺の無実を証明してくれた。もう少し早めに止めてくれてもよかったと思うのだが。それにしても、気になる事を言っていた。皇女様って言ったよな?
「そうだったの。勘違いしてごめんなさい」
目の前の赤髪の女性は謝ってきた。
「いや、紛らわしい体勢で止まっていた俺も悪いからこちらこそすまなかった」
「それじゃぁ、お互い悪いという事で。あなたもそうだけど、ここにいるみんな、今日私がここにいたのは秘密にしといてね。それじゃ!」
赤髪の女性は、フードを被り直すと人混みの中に消えていった。嵐の様な女性だった。俺は、先程初めに無実の証明をしてくれた商人の元に向かった。
「先程はありがとうございました。」
「いいってことよ。にいちゃんは何も悪くないからな。それにしても、強いなにいちゃん!まさか、あの人に勝っちまうとは」
「その今日初めてこの国に来たんですが、あの人は誰ですか?」
「おっそうだったのか。そりゃ災難だったな。あの人は、この国の第二皇女アリシア様だよ。偶にああやって街の中を散歩しているんだ」
どうやら物凄い大物と戦ってしまったみたいだった。まぁ、もう会う事は無いだろうと思い気にしない事にして冷めてしまったお昼ご飯を食べながら宿に帰った。
アリシア視点
「それにしても、あいつめちゃくちゃ強かった。まだ、全然本気を出していなかったのにあんな簡単に捌かれた。また、会ってみたいな」
城の裏口から中に入ると、上着を脱ぎ部屋に戻りベッドの上に寝転がるとドアをノックする音が聞こえた。
「誰?」
「姫様。もうすぐ謁見の時間になります。なので、お着替えを」
専属メイドのサーヤが、そう言って部屋に入ってきた。
「もう、入っていいよって言う前に入ってくるんだからさっきの会話いる?」
「必要でございます。もし、姫様がお一人でナニをしていた場合気づける様に」
「なっ!そんな事はしないわよ!」
私に対して、砕けた感じで話してくれるのは助かるのだが偶にこうやってぶっ込んでくるから油断できない。しかも、私が慌てふためく事を分かってやっているから尚たちが悪い。
「ふふっ今日も可愛らしいですね。さて、早く着替えてしまいましょうか」
「サーヤのせいで遅れそうなんでしょ!」
「あまりにも姫様が可愛らしくて」
「もう!早く着替えるよ!」
私は、この話題を続けたら勝ち目はないと思い戦略的撤退をする為に話題を変えようとした。
「そういえば、今日街で強い男の子と戦ったわ」
「また、勝手に街に降りたのですね。皇帝様に怒られますよ。それで、またボコボコにしてきたんですか?」
「いいのよ。お父様だって気づいていて放置しているのだから。それがね、私が完全に遊ばれていたわ」
そう言うと、サーヤの手が止まった。
「サーヤ?」
「申し訳ございません。まさか、姫様程の実力者が遊ばれるとは衝撃的で」
「私はまだまだよ」
「そんな事を言っては城の兵士が泣きますよ」
「ふふっそうね。気をつけるわ」
「それにしても、その男の子は大丈夫なんですか?」
「えぇ、今のところは敵って感じはしなかった。見ず知らずの人を助けようとするぐらいお人好しだし」
「そうですか。敵に回らないで欲しいですね」
「そうね。多分本気を出されたら勝てないから敵ではなく味方になってほしいものよ」
着替えが終わると、謁見の間に向かった。そこで、初めて勇者と対面するのだ。
祥太視点
「王族ってのは、人格もしっかりしているんだな。勝手に自由奔放で我儘みたいなイメージを持っていたけどリリアも先程の第二皇女様も人がしっかりしていたしその点は良かったよな。王族がクズのパターンだと大変だからな」
兵士にでも聞かれたら問答無用で牢屋にぶち込まれそうな事を言いながら宿に帰った。一階の食堂では、すでに買い物から帰ってきていたフィーリア達が席に座っており俺を、見つけると手招きをした。俺は空いていた席に座った直後フィーリアが
「・・・・知らない女の匂いがする」
お前は犬かと思っていると、
「えっ!」
「どういう事ですか!」
ルシフェルとノートが、大きく反応し逆にアリサさんとベヒモスはニヤニヤしていた。
「偶然、女の人と街中で戦う事になっただけだよ」
俺は、簡単に説明すると
「・・・詳しく」
フィーリアが、そう言うと他の全員も頷いていたので相手が誰だったのか以外は説明した。
「どうして、いきなりそんな事に巻き込まれるんですか」
ルシフェルが、若干呆れながら俺に言ってきた。
「いや、俺だってできるなら巻き込まれたくなんてないよ!」
「・・・・怪しい」
何故か全員から疑いの目を向けられ居心地が悪くなり話を打ち切った。
「はいはい!この話は終わり!俺は部屋に戻るね!」
そう言って席を立つと、逃げるようにして部屋に戻った。
俺がいなくなってから
「結局誰かは聞けなかったですね」
「・・・あれは、知っているけど相手の事を考えて言わなかった感じだ思う」
「それじゃあ、相手の女性は高貴な身分って事ですか?」
「・・・その可能性は大きい」
フィーリア達の推測はしっかり的中していた。
「・・・まぁ、ショウタの事だから私たちも会える機会はあると思う」
「そうですね」
「それじゃあ、戻りますか」
フィーリア達も部屋に戻り、帝国2日目は平和に過ぎ去っていった。
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