表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者ではなく英雄に  作者: fusaberu
始まりのダンジョン
4/190

1ヶ月

アクセスありがとうございます!


今日はもう1話上がります!

コンっコンっ


扉がノックされる音で、目が覚めると見慣れない天井が目に写った。


「・・・・知らない天井だ」


定番の言葉を言うと、扉の外から声が掛けられた。


「立花様。朝食をご用意しておりますので準備ができましたら部屋を出てきてください。私が食堂まで案内しますので」


そこでようやく意識がはっきり覚醒すると、クラスメイトと共に異世界に召喚されたんだと思い出した。


「はい、すぐに出ます」


俺は返事をすると、待たせないように急いで準備をした。準備が終わり、部屋の外に出るとメイドさんが一人立っていた。秋葉原にいるようなメイドではなく、スカートは長く、白と黒の機能性を重視したちゃんとしたメイド服を着ており、しかもそのメイド服を着ている人も顔が整っており物凄く似合っていた。


(この世界の、住人は顔が整いすぎているよな〜)


心の中で呟きながら、メイドさんに挨拶した。


「おはようございます。え〜と・・・」


「おはようございます。私の名前はサリアと言います。気軽にサリアとお呼びください。」


俺が名前を分からずどう呼ぼうか迷っていると向こうから自己紹介してくれた。


「わかりました。あと、お待たせしてしまってすみません。サリアさん」


俺は待たせてしまった事を謝るとサリアさんは


「いえ、これくらいは苦に感じませんので。それと、私のことは呼び捨てで構いませんよ」


「いや、流石にそれは・・・知り合って間もない人を呼び捨てにするのは難しいです。それに、サリアさんみたいに綺麗な人だと余計に慣れないというか恥ずかしいです」


チキンな心を見せ、自分でも何言っているんだと思いながら熱くなった顔を冷ます為に手で顔を煽っていると。


「ふふっそうですか、分かりました。では、早く慣れてくださいね」


サリアは、柔らかく笑うと前を向き歩き出した。俺は一瞬その微笑みに見惚れると慌ててサリアの後を追った。



「こちらが食堂です。朝食を食べた後に訓練が始まるのでしっかりと食べてくださいね」


そう言ってサリアは離れて行った。食堂に入り何処に座ろうか思っていると、皇に手招きされている事に気づいた。すごく、目立っているがここで行かないと後が大変なので俺は覚悟を決めてそこに向かった。


「おはよう!立花くん!」


「おはよう。皇さん」


「も〜またさんってつける〜!・・・随分とあのメイドさんと仲良さそうだったね」


いつものやり取りが始まるのかと思ったが、今回は違った。

皇は顔は笑っているのに目が笑っていないを実践し食堂に連れてきてくれたサリアさんの事を聞いてきた。ここで、回答を誤ればただでは済まなそうだった。


「サッサリアさんは、ただ食堂に連れてきてくれただけだよ」


怖かった為、言葉に詰まりながらもなんとか答える事ができた。


「ふ〜ん、そういう事にしとくよ。・・さて!しっかり朝ごはん食べないとね!今日の訓練乗り切れないよ!」


俺はいきなりのテンションの違いに、驚いていると


「まぁ、慣れてくれ。お前にしか見せない面でもあるからな」


いつのまにか、横にいた朱堂にそう言われ俺は慣れるしかないんだなと思い席に着くと前の方から


「朝から大変ね笑」


全く心にも思ってもいない事を、赤城は俺に言った。


「そう思うなら助けてくれよ」


「いやよ、見ていて面白いのだから」


案の定、赤城は面白がっていた。俺は心の中で、ため息をつきながら朝ごはんを食べ始めた。



俺達は、朝ごはんを食べ終わって雑談をしていると鎧を着た兵士の人が食堂に入ってきて訓練する場所に連れて行くと言ったのでついて行った。


着いた場所は、外のグラウンドでサッカーコートが何個も入りそうなほどデカかった。どうやらここでやるらしい。


みんなが、広さに圧倒されていると先程案内してくれた兵士が前に出てきた。


「私はエルドリア騎士団所属副団長のオスカー・ハリルドだ。諸君の訓練の指導をするものだ!・・・本来ならもう1人いるはずだったのだが遅刻の為遅れている。・・・あの馬鹿が」


どうやら、兵士だと思っていた人は騎士だったらしくしかも副団長なので相当強いのだろう。もう1人いるみたいだが、遅刻をして遅れているらしい。最後の方に何か言っていたみたいだが声が小さく聞こえなかった。しかし、言葉に怒気が混じっていたので怒っている事だけは伝わってきた。


すると、後ろの方から


「すみませ〜ん。遅れました〜」


どこか気の抜けるような間延びした声が聞こえてきた。声の聞こえた方を向くとローブを着ており一発で魔法使いだなと分かった。


「初日から遅刻とは何事か!」


「すみませ〜ん!昨日飲みすぎて〜」


「あれだけ前日に飲むなと忠告したというのに!ほらっ!お前も自己紹介しろ!」


「は〜い、私は魔法師団副団長マリー・サラントです〜。皆さんには魔法の事を教える事になりました〜。よろしく〜」


「挨拶ぐらいしっかり喋らんか!」


「え〜」


「全く、お前は副団長の立場というものを分かっとらん!大体・・・」


オスカーがマリーに説教をし始めようとしたが、俺達がいる事を思い出したのか軽く咳払いをしこれから何をするのか説明をしてくれた。


「まず、君達には二つの班に分かれてもらう。一つは近接戦をするのに向いたステータスの者と、もう一つは魔法を、使うのに向いている者とだ。両方できて損はないが、あれもこれもと手を出すとどっちも中途半端になってしまうので最初のうちは分かれてもらう。ある程度慣れてきたら近接戦の者は更に生かすための魔法やスキルを逆に魔法に向いている者たちは自分の身を守る術を学んでもらう」


説明が終わると、みんな各々で判断したり、副団長達に相談しに行ってどっちに班に行くか決めていた。

俺も相談する為にオスカーの元に向かった。


「すみません。ステータスが幸運以外Fなんですけどどっちに行けばいいですか?」


自分で言って少し悲しくなっていると


「君がそうなのか・・・君はこっちにきなさい。魔法よりかは身になると思う」


王様にでも聞いていたのか、驚く事はなく真剣に考えてくれた。


「よろしくお願いします!」


真剣に考えてくれた事が嬉しく俺は頑張ろうと思った。


「さて、全員別れたな。これから訓練を始める、近接戦の者は私について来い」


「魔法を使う子は私に〜ついてきてね〜」


大体クラスの半々で別れ俺はオスカーについて行った。離れた場所につくと早速訓練が始まった。最初は体力をつける為に走り込む事から始まった。俺は頑張ると決意したもののステータスの差を嫌でもすぐに感じた。走り始めてから少し経つと俺は疲れて息を切らしているのに他の奴らは疲労こそ感じてるものの息を切らしていなかった。

最終的には、俺が走れなくなってからも走る事ができていた。

その後も、俺はついて行く事ができず完全に1人ボッチだった。近接戦には道本もおり、朱堂達がいたため絡んでくる事はなかったが何回かわざわざ近づいてきて馬鹿にしてきた。

物凄く悔しかった為、俺はどうせ昼間も1人ならと夜も訓練する事を決めた。


みんなが、今日の訓練の事について食堂で用意された夕食を楽しく話しながら魔法戦の者達とどんな事をしたのか情報交換している中、俺はサリアさんに申し訳ないと思いつつも部屋に夕食を持ってきてもらい一人で食べていた。


「食堂に行った所で、嫌な思いをするに決まってるからな。当分はこれでいいか」


少しでもみんなに追いつき馬鹿にされるような事がなくなるまではこのスタイルでいこうと決めた。俺は夕食を食べた後、少し休憩してから走り始めた。下手に素振りをして変な癖がついても嫌だな思い、何事にも体力は必要と判断しひたすら走る事にした。

きりのいい所で走るのをやめたら、部屋に戻り濡れたタオルで汗を拭くと、すぐにベッドに寝転がり意識を手放した。


次の朝、昨日のようにサリアさんのノックする音で目が覚めると部屋を出て食堂に向かった。


「あっ!立花くん!どうして昨日食堂にいなかったの?」


入って早々に皇に見つかり、昨日の事について聞かれた。聞かれると予想できていたので、俺はあらかじめ用意していた言葉を言った。


「訓練で疲れて、食堂で食べるより部屋で食べた方が楽なんだよ。だから、慣れるまではずっと部屋で食べるつもり」


「え〜!!そんな〜」


予想以上に落ち込まれた為、俺は慌てて


「朝はこうして、一緒に食べるから」


すると、急にケロッとして


「やった〜!!言質はとったよ!」


ニヤリと笑った顔を見て、俺はハメられたと理解した。


「あらら、梨華の方が一枚上手だったみたいね」


赤城にそう言われ、先程の俺の言葉があらかじめ用意していた物だと気付いていたみたいだ。


俺は諦め、訓練に備えしっかりと朝食をたべた。



訓練2日目


昨日のように、走り込みから始め今日は剣の使い方について学んだ。素振りの型を色々と教えてもらい決められて回数を直す所を指摘されながら振っていると1日が終わっていた。


その夜、俺はまず最初に走り込みを行いしっかりと思い出しながら教えられた通り素振りを行った。



訓練3日目


昨日と同じことをしながら、魔法を使える様にする為魔力を増やすにはどうすればいいか休憩の間にマリーさんに聞きに行った。どうやら、増やすには魔力を枯渇するまで使う事で魔力が増えるみたいだ。しかし、枯渇させると体がすごくだるくなるみたいなのでこれは慣れるかどうかは分からないが慣れるまでは夜に行う事にした。


そして夜になると、まず走り込みからの素振りをしてとりあえず魔力を枯渇させるためにスキルにある錬金魔法を使う事にした。俺は地面に手を当て錬金魔法を使い土を盛り上げようとした瞬間体が重くなり動くことができなくなった。使った結果を見てみると、目を凝らしてよく見るとほんの少ししか盛り上がっていなかった。たった一回使うだけでこの有様。Fというのは相当酷いんだなと改めて実感した。体が動かせるようになった時にはいい時間だったので部屋に戻り眠りについた。


訓練4日目


昨日と同じ事をした。とりあえず反復練習しかないと思い、ひたすら繰り返した。


訓練5日目


特に変わった事はないが、少しだけ変化があったのは魔力が上がったのか一回使っただけじゃ動けなくなるなんて事はなくなった。体が重くなる事には変わりないが。


そして訓練してから1ヶ月経った


今の俺のステータスはこんな感じだ。


---------------------------


立花 祥太 16歳 


異世界人


体力 D


魔力 E


力 E


素早さ E


器用 E


幸運 SS


スキル 

錬金魔法

EXスキル

悪食


---------------------------


体力はDまでいき、それ以外は一個ずつ上がった感じだ。1ヶ月ではこれが限界だった。なぜ、1ヶ月で限界かというと明日からグラウンドで訓練ではなく、実戦経験を積む為に王国にあるダンジョンに行くからだ。なので、今日が最後の訓練だ。明日に備え夜の訓練はやめとくつもりだ。

そしてこの1ヶ月の間、俺はただひたすら訓練するだけでなく自分の生命線であるスキルについても図書室があったので調べていた。


まず、錬金魔法についてこれは戦闘系の魔法ではなく生産系の魔法だった。これに関しては、ある程度予想がついていたので大して落ち込む事はなかったがEXスキルについては何一つ情報がなく。さっぱり分からなかった。一度使ってみようと思ったのだがうんともすんとも言わなかった。

夜のグラウンドで1人スキル名を叫んだのは忘れたい出来事だ。なので、悪食に関して放っておき錬金魔法の使い方についてこの1ヶ月色々と試行錯誤していた。その成果はダンジョンで披露したいと思う。


こうして今日の訓練も終わり明日がダンジョンだからとサボる事はせず、俺はいつも通りに夜の訓練をする為にグラウンドに向かった。


そこで、思いがけない人と出会う事になるとは知らずに。



最後まで読んでいただきありがとうございます!


少しでも興味を持った方、続きが気になった方は


お手数ですが、ブックマークと下の方にある☆で評価をして頂いたら嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ