脅威
アクセスありがとうございます!
最近短くなってしまっているので、長くしていきたいです!
昼頃に目が覚めた。窓から外を見て、何も異常が無いことにホッとしながら外に出た。
「死亡者はいないけど、怪我人が多いな」
医療機関が、一杯一杯な為野外に野戦病棟みたいにテントが張られそこに負傷した者達がいるのだが、そのテントの数が多かった。
ギルドの方に歩いていくと、アリサさんが職員に指示を出していた。
「お疲れ様です。アリサさん、おはようございます」
「あっ、立花くん。おはようございます。まだ寝ていても大丈夫なんですよ」
「ぐっすりと寝たんで大丈夫です。それに、この状態でゆっくり寝るのはちょっと・・それにアリサさんこそ、寝てます?」
「しっかりと寝ないと、いざという時に戦う力が出ませんよ。私はいいんです。街の中にいるだけなのだからこういう時は進んで仕事をしないと」
俺は、タイミングが良かったので質問してみる事にした。
「一つ聞いてもいいですか?」
「いいですよ。ちょうど指示を出し終わって休憩しようとしていたところなのでそこのベンチで座って話しましょう」
アリサさんは、そう言ってベンチのもとに向かい座るとその横を叩いた。
「それじゃあ、失礼します」
「それで、聞きたいこととは?」
「・・・どうしてあれだけ強いのにアリサさんは戦わないんですか?」
「やっぱり気になるよね」
「はい」
「そうだな〜、何から話せばいいか。私はね、エルフの中でも特段に寿命が長いのだからこれでも300年は生きてるの」
「えっ!」
「ふふ、驚いた?」
「はい、全然そんな風に見えなかったので」
「嬉しい事言ってくれるね。話が逸れちゃったね。それでね、あれはまだ私が16歳だったころかな」
この世界は闇に包まれそうになった。人々は、抵抗したけど奴らは圧倒的だった。世界中のみんなが絶望していた。そんな中、ある1人の若者が立ち上がった。若者は、最初一人で戦い続け次第に仲間が増えていった。その若者は、勇者と呼ばれるようになった。若者は、人々の希望となって戦い最後のボスとの戦いで相打ちとなって死んでしまった。そのパーティーにね、私もいたの。まだ16歳だった私はそのパーティーでは1番若かった。そして、子供だった。仲間が1人1人殺させていく中、勇者と呼ばれた若者も私の手の中で冷たくなっていった。
「それからかな、戦おうとすると手が震えだすようになったのわ。だから、私は戦わないのではなく戦えない。お荷物になってしまうから、どれだけ強くても」
俺は、アリサさんの過去を聞いて何も言えなかったし、軽々しく言っちゃいけないと思った。
けど、
「アリサさんは、生き残った事を後悔しているんですか?」
「ううん、後悔していない。あの人が守った平和な世界を見る事ができた。無駄じゃなかったって思えたから」
「そうですか、俺もアリサさんに生きててもらえて良かったです」
「え?」
「じゃないと、ノートにも会えなかったし何より強くなる事ができなかった」
「 あっ!」
「だから、見ていて下さい。俺達が守ってみせますから」
そう言って、笑いかけるとアリサさんは目に涙を溜めてお礼を言った。
「ありがとう、」
それから少しだけたわいもない話をして、宿に戻ろうとした時
カーーン!!!カーーーン!!!
街の鐘が鳴った。今度は昼間にきたようだ。
「それじゃあ、守ってきますね」
「お願い」
俺はアリサさんにそう言って、音の鳴っている方に向かった。
すでに戦闘は始まっており、前線ではフィーリア達が戦っていた。俺は積まれた土嚢を飛び越え抜けてきた魔物を殺しながらフィーリア達の元に向かった。
「悪い!遅れた!」
「いえ!大丈夫です!ただ、少し問題が」
ルシフェルは顔を険しくして今の現状を伝えた。
「明らかに、昨日より魔物が強くなっています。それに、上位種も増えてきました!」
確かに、ルシフェルに言われて周りを見ると俺達からしたらそこまでだが、普通の冒険者から見れば強そうな魔物が増えていた。
「ルシフェル!ノートを連れてアリサさんにこの事を伝えてくれ!」
力の加減ができず、いつ疲弊してもおかしくないノートは危険だと判断してルシフェルに報告させるついでに下がらせる事にした。
「分かりました!すぐに戻ってきます!」
ノートも渋々納得して、ルシフェルと一緒に戻ろうとした時ソイツはいきなり現れた。
「おやおや。せっかく来たのに逃げる事ないじゃないですか」
俺達は、今までに感じたことのない大きなプレッシャーを感じ身体を動かす事ができなかった。
動けば死ぬと本能が悟ったのだ。
「ふむ、動けませんか。残念です。少しは戦えるのかと期待したのですがね。罰として、死んで頂きましょう」
そう言って姿形は人間の男は、フィーリアに近づいていき何処からか取り出した剣で斬ろうとした。
「我が剣のサビになる事を光栄に思いなさい。女」
俺の目の前で、フィーリアが斬られそうになるのをただただ見ていることしかできなかった。
(動け!動けよ!どうして!なんで!?)
思いに反して、身体は全くいう事を聞かなかった。景色はスローモーションになり、フィーリアはこっちを向いて微笑んだ。
俺の中で、何かが弾けた。
身体が動くようになり、心の思うまま行動しようとした時、
「ダメよ、落ち着きなさい」
目の前の男と同じくらいのプレッシャーを放ちながらアリサさんが現れた。
そのお陰で、フィーリアに向かっていた剣は止まった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
少しでも興味を持った方、続きが気になった方は
お手数ですが、ブックマークと下の方にある☆で評価をして頂いたら励みになります!