ステータス
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俺達がステータスカードを受け取り元の場所に戻ると
「私以外の、紹介がまだだったな。少しだけ時間をもらうぞ」
王様はそういうと横にいた人達の事を教えてくれた。
「まず、君達から見て右にいるのが私の妻のリリアンヌだ」
紹介されたリリアンヌは席を立ち一礼をした。
「そして、その横にいるのが宰相のキリスタン・バラントだ」
こちらも同じように一礼をした。
「で、君達をここに連れてきたこの子は私とリリアンヌの娘で第一王女リリアだ」
「皆さん。リリア・エルドリアです。改めてよろしくお願いします」
そう言って一礼をした。
改めて見ると、この人たち全員顔が整っている。王様は大人の男性って感じでキリスタンは渋くてカッコいいおじいさんだ。あんな風に歳をとっていきたいと思ったほどに。
女性陣は日本にいればテレビで引っ張りだこレベルだ。リリアンヌは綺麗な金髪に碧眼でスタイルもめっちゃいい。その娘のリリアも良いところを全て引き継いだのか綺麗な金髪で碧眼だが、ある一部分に関してはリリアンヌに劣るもののリリアンヌは大きいので未来に期待だ。
そんな事を考えていたら、気のせいではなかったらリリアがこっちを見て睨んでいた。俺は直前まで変な事を考えていたので咄嗟に目を逸らした。
しばらく視線を感じていたが、視線を感じなくなったので恐る恐る顔を向けると、もうこっちを見ておらずホッと一息ついた。
「どうしたの?」
「なんでもないよ」
近くいた皇に何かあったのか聞かれたが、俺は至った冷静に返事を返した。
すると、カードが全員の手に渡ったのを確認したキリスタンがカードの使い方を説明してくれた。
「では、皆さん。カードを手に持ち胸に当てて下さい」
俺たちはそう言われて素直に、カードを胸に押し当てるとカードが一瞬だけで光った。先程まで、何も書かれていなかったカードに文字が浮かんでいた。嫌な胸のざわつきを感じながらも見ると、そこには
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立花 祥太 16歳
異世界人
体力 F
魔力 F
力 F
素早さ F
器用 F
幸運 SS
スキル
錬金魔法
EXスキル
悪食
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こんな文字が書かれていた。幸運以外明らかに低そうな感じがしつつも、もしかしたらみんな同じかと淡い期待を抱いているとキリスタンが文字について説明をしてくれた。
「きっと皆様のカードには文字が浮かんでいると思います。その文字について説明しますね。まず、表記される文字は全部で8つあります。下からF、E、D、C、B、A、S、SSとなります。一般の兵士ですと訓練を真面目に行い大体CかBよくてAが1つあるかないかです。でも、勇者達のステータスは最初からそのぐらいあり、Aを持っている人もいるかと思います」
俺はその説明を聞き絶望した。俺のステータスは幸運以外が全部F確実にこの中で最弱だろう。
「ちなみに先ほど説明したSはこの世界にほとんどいません。現在確認できているだけでも5人しかおりません。さらにその上のSSになると本当に実在するのか怪しいところです。私は生きていた中で見たことはありません。なので、SSは神の領域と言われています」
キリスタンの説明が右から左に流れていっている時、嫌でもクラスメイトのステータス情報が耳に入ってくる。
「俺、Bが3つもあるぞ!」
「私なんてAが一つあったんだから!」
聞きたくなかった。みんな俺と同じくらいかそれより少しだけ上だと期待していたのに結果は残酷だった。俺は絶望した。
そんな中、朱堂がキリスタンに質問した。
「あの、このスキルとはなんですか?」
「それは、ステータスとはまた別です。皆様の世界に魔法があったかどうかは分かりませんがこの世界には魔法があります。そのスキルは魔法を使ったりするときの補助だと思っていただければと思います。ちなみに、魔法以外のスキルもあります」
「補助ということは、このスキルがなくても魔法とかは使えるということですか?」
「その通りです。ただ、補助なく魔法を一発撃つと頭に相当な痛みがくるそうです。それは何故か、魔法とは世界に事象を上書きして使う事になります。なので、魔法を補助なしでやろうとするといきなりトップスピードで走り始めてずっとその速度を維持しながら走っている感じです。要するに脳のキャパを超えるということです。安心してほしいのは魔法は適正さえあればあとからでも身につける事ができます」
「なるほど、ありがとうございます」
次にEXスキルについて質問するかなと思っていたら、朱堂は質問しなかった。代わりにキリスタンがそれに触れた。
「あと、もう一つ。スキルにはEXスキルと言われる他のスキルより強力な物があります。これに関しても持っている人物は片手で足りるほどなので無くても落ち込まないでくださいね」
その説明を聞いて、幸運SSのおかげかスキルには恵まれたらしいが、ステータスが貧弱すぎて果たして本当に幸運だったのかは微妙なところだと思った。
そんな微妙な思いを抱いている時、皇達から離れていたためか、道本が後ろから近づいて来ておりステータスの確認に夢中になっていた俺は気づかなかった。
「おいおいおい!!マジかよ!お前!」
いきなり後ろからの大きな声にびっくりした俺は、後ろを振り返るとそこには道本がいた。
「お前ステータスがほとんどFじゃねぇか!!」
よりにもよって1番最悪な奴にステータスを見られてしまった。道本は普段の鬱憤を晴らすかのように俺の事をバカにしまくった。どうやら、道本が見たのは幸運より上だったようでEXスキルの存在やSSの事はバレなかった。俺はこの時知らなかったが、道本にバレなかったのは幸運SSのお陰であった。
「お前この中で1番弱いんじゃねぇの!!」
道本が俺のことを馬鹿にするとそれに気づいた皇が道本に反論した。
「人の事をバカにするのはやめなさい!」
皇が人を馬鹿にした道本に注意をしようとするが
「皇〜こいつはいわゆるハズレって奴だろ!そいつと仲良くするんじゃなくて俺と仲良くしといた方がこの世界では生き残れると思うぞ!」
「私が誰と仲良くしようが勝手でしょ!」
道本と皇が言い合いをしている中、その周りから誰かがポツリと言った。
「ざまぁねぇな」
それは小さい声だったが、悪く口と言うものはよく聞こえる。その言葉は浸透していき言葉には出さないが俺を蔑むような目でクラスメイトは見てきた。
俺は、スキルのことは言う気にはなれずステータスに関しては事実であるが故に何も言い返す事ができず、顔を伏せ視線に耐えていると
「今、ステータスが弱い、強いあると思う。しかし、いくら強かろうがそれを扱う技術がなければ宝の持ち腐れだ。それに、弱いものには弱いものなりの戦い方があるのだ。そう、馬鹿にするでない」
その王様の言葉を聞くと、クラスメイト達はバツの悪そうな顔をし、皇はよく言ったといわんばかりに首を縦に振っていた。
俺はと言うと、王様の言葉を聞き心が軽くなり、その場の雰囲気を一瞬で変えたこの王様を改めてはすごい人だなと思った。
すると、皇達が俺の周りに集まってきて励ましの言葉やいつも通りに話かけてきてくれた。俺は、それが嬉しく周りの目を気にせず皇達と喋った。
そんな俺を、視線だけ人を殺せそうな程、睨んでいる道本に気付くことはなかった。
すると、王様が
「さて、慣れない環境に疲れているだろう。一人一人に部屋を用意したのでそこで各自休んで欲しい。明日から訓練してもらうので今日はしっかりと休んでくれ」
自分では気づかなかったが人に言われて、自分が結構疲れている事に気づいた。
「ありがとうございます。明日からよろしくお願いします」
クラスメイト達は言われて自覚したのか顔に疲労が浮かんでいた。そして、朱堂が代表してお礼を言うと俺たちはそれぞれ用意された部屋に移動して休む事にした。
俺は用意された自分の部屋に入るとすぐにベッドの上に寝転がった。
「あ〜疲れた〜。知らない間に気を張ってたみたいだな。それに、あんな視線に晒されたら神経ガリガリ削られるよな。本当にあの王様には感謝しかないな。・・・弱い者には弱いものなりの戦い方がある・・か。明日からの訓練頑張らないとな、じゃないと確実に足を引っ張る事になる。それだけは嫌だ」
俺は今日の事を振り返りながら、明日からの事を考えているといつの間にか眠りに落ちていた。
みんなが寝静まった後
「あの野郎、絶対に後悔させてやる・・・」
ある部屋の中では誰かに対し恨み言吐き
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「リリアどうだ?勇者達は」
「そうですね。今回の召喚は当たりかと。全体的に能力が高く戦力になると思います」
「そうか。なんとか次の戦いまでに勇者達は強くし、各国との協力も取り付けなければな」
「そうですね。彼らには頑張ってもらわないと」
「うむ、リリアよ。勇者達のサポート頼んだぞ」
「はい、お任せください。お父様」
城の一室では、これからの事をリリアとキリスタン、王様が話し合っていた。
こうして、色々な思いが交錯しながら異世界生活1日目が終わった。
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