自我
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「天魔の力!!」
ルシフェルは、使おうとしたが何も起きなかった。
「やっぱりダメ見たいですね」
「そうだな、俺から見ても何も変化はなかったな」
「そうですか」
ルシフェルが、落ち込んでしまった。
「何か使えない原因があるはずなんだが。ダンジョンでは俺達が戦った時はルシフェルじゃない奴が戦ってたんだよな?」
「はい、あれは今の私ではありません」
「もしかして、今2人に力が分離しちゃってるんじゃないのか?ルシフェルには、天使の力がもう1人には悪魔の力が」
「!?・・・それは盲点でした」
「なら、解決策としては力を使う時に入れ替わりをするか、元に戻るかだな。まぁ、前者は問題を先送りにしているだけだし、協力的かも分からないから危険だし、後者は結局今の状態に戻ってきただけだ」
「そうですね。結局変わらずです」
「ちなみに、入れ替われそうなのか?」
「いえ、怖くてそれはやっていません」
怖いか、EXスキルは希少性ゆえによく分かっていない部分も多々あると本に書いてあった。その本には、感情も少しは影響してくるのではと考察が書かれており今のルシフェルの状態を聞くかぎりそれは正しいのかもと思った。
「一回だけ、試してみないか?」
「・・・でも」
「俺がついてる」
「・・・・・分かりました」
ルシフェルは、長い沈黙の後入れ替わる決意を固めた。それでも、顔には不安がいっぱいだと表れていた。
「不安だったら手でも握ってやろうか?」
俺が、緊張をほぐす為に冗談のつもりで言ったら
「お願いします」
ルシフェルは、即答し俺の手を握ってきた。ルシフェルの柔らかい手の感触を感じいつまでも感じていたいと思ったが、今の状況を思い出しなんとか戻ってきた。
「少し、不安が和らぎました。それじゃあ、いきますね」
すると、すぐに変化はおきた。ルシフェルの髪が真っ白から黒に変化したのだ。髪は一瞬で真っ黒になった。
一向に瞑った目を開けないルシフェルを心配していると目を開け始めた。
瞳の色が、黒色から金色に変わっていた。
そして、
「ようやく表に出てこれました」
そう言ったのはルシフェルではなく、あの時戦った天使だと雰囲気ですぐに分かった。
俺は警戒しながら、話しかけた。
「敵対する意思はあるか?」
「ありませんよ。私はルシフェルを守る為にあの時戦っていましたから、あなたが安全な人物だと分かっているので安心して下さい。今回、こうして表に出てきたのもあなたに伝えたい事があったからです」
「伝えたい事?」
「私のせいでも、あるのですがルシフェルは今無意識に私の力を恐れています。その状態で使ってしまうと暴走する危険があったので使えなくしていたんです」
「それじゃあ、ルシフェルがEXスキルを使えなかったのはお前がルシフェルを守る為に使わせなかったって事か?」
「そうです。なので、ルシフェルに伝えて下さい。長年にあなたの身体を勝手に使ってごめんなさいと。あと、恐れなくてもいいと、私の力は決してあなたや周りの人を傷つけないと」
そう言った、天使の表情には愛おしそうな守りたいというルシフェルに対する愛情が感じられた。
「分かった。伝えとく」
「ありがとうございます」
「一つ質問いいか?」
「いいですよ」
俺は少し気になった事を聞いた。
「ルシフェルが、完全に力を使いこなせるようになったら今のお前はどうなる?」
「それは、もちろん消えますね。私はEXスキルの力を使って存在しています。なので、ルシフェルが使いこなせるようになったら私が存在できるだけの力は使えません。あくまで、主導権ははルシフェルですから。なので、消えます」
天使の答えで疑問に感じた事がいくつか解けた。
「そうか。お前はやっぱりルシフェルのもう一つ人格とかではなく、EXスキルなんだな」
「はい、そうです」
肯定の返事を聞き、納得した。ルシフェルのもう一つの人格にしてはルシフェルに対する思いが強すぎると感じ、まるで妹を守る姉の様に感じたのだ。
「ずっとお前って呼ぶのは不便だから、名前とかないのか?」
「ありません。強いて言うなら天魔の力でしょうか?」
「いや、長いし呼びづらいわ」
「では、あなたがつけて下さい」
「俺?ネーミングセンスとかないんだがそれでもいいのか?」
「はい、お願いします」
上目遣いで、可愛い女の子に頼まれちゃ断れない。なので、頭をフル回転させ考えた。
「天使・・・知恵のある・・・優しい・・・う〜ん」
5分くらいうんうん言いながら考えたその間天使は俺の方をじっと見て、どこか期待している様な雰囲気を醸し出していた。
「・・・・ウリエル、ウリエルなんてどうだ?」
「ウリエル・・・いいですね!ちなみにどんな意味が?」
「確か4大天使の1人で知恵を司っている天使だった気がする。雰囲気的にぴったりだと思うんだけどどうだ?」
「はい!とても気に入りました!ありがとうございます!」
その時、ルシフェルの顔がぼやけ別の可愛いルシフェルに似た女の子が笑顔を浮かべた様に見えた。
瞬きすると、元に戻り気のせいかなと思いながらも一瞬見えたあの子に会ってみたいと思った。
「本当にありがとうございます!では、私は戻るのでルシフェルに伝えてくださいね」
「あぁ、伝えるよ。あと、ウリエルが消えなくてもいい方法を探しとく」
俺は、咄嗟にそんな事を言った。すると、ウリエルは
「・・・はい!期待して待ってますね!」
一瞬ぽかんとした後、笑顔を浮かべてそう言って身体の主導権をルシフェルに戻した。
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