閑話 私のヒーロー
アクセスありがとうございます!
あと二話ほど閑話が続きますがお付き合いいただければと思います。
少し不快な表現があると思うので気をつけてください。
私達と立花くんが仲が良くなったのはある事件がきっかけだった。
中学二年生の頃、私は自分の容姿が整っていることを自覚していた。そのことで、女子に疎まれることもあったけど中学で出会った怜奈ちゃんと幼馴染の朱堂くんつながりで加藤くんと仲良くなった事で周りの女子は何も言わなくなった。朱堂くんや加藤くんに嫌われたくなかったのだろう。その頃には、二人とも人気があった。
それでも、余程気に入らなかったのか私はある女子達にハメられた。
学校が休みの日、いつも使う道を使い本屋さんに行こうとした時横からいきなり声をかけられた。
「君が皇 梨華ちゃん?」
いきなり、名前を呼ばれ横を見ると全く知らない大人の男の人が立っていた。そこで、立ち止まらず歩き去ればよかったのかもしれないが、私は歩みを止めてしまった。それで、私が皇 梨華だとバレた。
「やっぱり君がそうなんだね!写真で見た時も可愛いと思ったけど生で見ると一段と可愛くみえるね!!」
男の人は、鼻息を荒くして話しかけてきた。誰の目から見ても、興奮しているのは明らかだった。
「だ、誰ですか!あなた!」
「今日、会いましょうって!チャットくれたじゃないか!」
「そんなの私は知りません!!」
男の人が言っていることは全く知らない事だらけでした。出会い系アプリで知り合い、その中で直接会いましょうと言ったみたいだが私はそもそもそんなアプリ事態をやっていないので全くの別人だと言えば男の人は証拠だ!と言ってスマホの画面見せてきた。
そこには、話しているアイコンに私の写真が映っていた。誰かと喋っているのを遠くからとったような写真が。
私は、これがすぐに学校で盗撮された写真だと気づいた。私は写真を撮られた覚えもないし、撮られていたら気付いているはずだ。
私は、この写真の可笑しい点を男の人に説明したが聞く耳を持たなかった。
「そんなことは些細な問題だよ!こうして会えたことが僕たちの運命だったんだよ!」
「些細な問題ではないし、運命でもありません!私はもう帰ります!」
ここで、人の一人でも通ってくれたらよかったのだが外を歩くたびに誰かしらに声をかけられるのを嫌った私は人が全く通らない道を使っていた、それが今回裏目に出てしまった。
「待って!!」
私が帰ろうとすると、男の人に手を掴まれ路地裏に連れ込まれてしまった。
「痛いっ!何をするんですか!」
恐怖にかられながらも、何とか抵抗しようとしたが大人のましてや男の人の力に中学二年生の女子がかなうはずもなかった。
「ここなら誰にも邪魔されないよ!最初が外ってのはハードルが高いかもだけどいいよね!!」
私は、男の人の言っている事が理解できなかった。しかし、男の人の手がスカートの内側に入って来たときとてつもない嫌悪感が走った。本能でこのままではマズいと思い叫び声を上げようとしたが口を押えられてしまった。
「おい。声を上げるな」
先ほどまでとは全く違う低い威圧の籠った声に私は怖く何もできなくなってしまった。
「いい子だね」
そう言って、男の人の手が私の胸を触った。
「っ?!?!?!」
先ほどの事があり、声は出さなかったが強烈な不快感と嫌悪感に襲われた。
「女の子のおっぱい初めて触った!!」
男の人は興奮していて私の反応なんて見ていなかった。
「どうせなら、キスもしちゃおうね」
そう言って、男の人は顔をゆっくりと近づけてきた。逃げられないようにしっかりと顔を掴まれ避けることはできそうになかった。
私は、悔しくて悲しかった。抵抗のできない自分になすがままの自分に。私の、初めてを全て最悪な形で失う事に。
私の目から涙が流れ落ち、あと数センチでキスされるというところで男の人の頭にカバンが当たりそのまま横に転倒した。
「がっ!」
私は腰を抜かしてしまい地面に座りこむと、カバンが飛んできた方を見ると学ランを着た男の子が立っていた。
「ギリギリセーフ」
男の子はそう言って近づいてくると
「大丈夫?」
優しい声で聴いてきた。私はそこで助かったんだと安堵し、見知らぬ男の子の胸の中で大きな声を上げ泣いてしまった。その時の事を思い出すと今でも恥ずかしくなる。
そして、その男の子こそが立花、祥太くんだった。
それから、警察がきて私は保護され男の人は捕まりつれてかれた。警察が来たら立花くんはすぐにどこかに行ってしまった。親が迎えに来て事情を聞いたお父さんとお母さんは泣きながら私の無事を喜び抱きしめてくれた。その温かさに、私も一緒になって泣いてしまった。
次の日、学校に行くと怜奈ちゃんや朱堂くん、加藤くんにすごく心配され無事だった事を喜んでくれた。
学校でも今回の事が問題となり、事件の詳細は流石に伝えられなかったが、後日罪悪感に耐え切れなかったのか今回に事件の主犯格の取り巻きの一人が先生に言いに行きその子たちは転校を余儀なくされた。
私にも、そのことが伝えられたがその時にはあの時助けてくれた男の子の事で頭がいっぱいで左から右に流れていた。
私は、すぐに会ってお礼を言いたかった。話したいことが沢山あったが名前を知らないので探すこともできなかった。
それから、一年経ちまさか高校の入学式の時にまた会える事になるとはこの時は思いもしていなかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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