走馬灯
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喰われてから、少し経ち目を開けると真っ暗な暗闇が広がっていた。なんの光もない、正真正銘の暗闇だ。
「何とか、潜りこめたな。けど、気付くのも時間の問題。急がないとな」
俺は、アツシの力の源である七つの大罪を探して暗闇の中を歩きだした。
どうして、俺がここで完全に喰われずに自我を保てているかと言うと、少し時間は遡り
『主よ、このままでは体力が先に底をついて・・』
(分かってる。でも、ここで踏ん張るしか)
『少し賭けになるが、一つで提案がある』
(なんだ?)
『奴にわざと喰われ、中にある力の源を中から喰らうんだ』
(!?確かに、それが出来たら凄いけど、喰われた時点で自我が)
『そこは、俺が代わりに喰われる。そうすれば、主は奴の中で少しの間だけ自由に動けるようになるはず』
『俺がいなくても、主は暴食は使える。そのくらい、今の主の身体に暴食は馴染んでいる。だから、なるべく早めに助けに来てくれよ』
その瞬間、ベルゼブブが一瞬だけ体の主導権を奪ったのか、膝から地面に崩れた。
そして、喰われ今に至る
「どこにあるんだ。それに、ここが広いのか、狭いのかも暗すぎて分からん」
予想以上に早く、タイムリミットが近く気を抜けば一瞬で自我が飲み込まれそうだった。そのため、焦りが生まれ、余裕がなくなっていった。
闇雲に、歩き回っていたが中々見つける事が出来ず遂に、足の感覚がなくなった。足が実際に無くなったのではなく、そこに、足はあるのに認識できなくなった。その結果、俺はその場に倒れ動くことができなくなった
「くそっ!!どこだ!どこにある!」
俺は、腕の力ではいずりながら前に進むが見つける事は出来なかった。次第に、意識が薄れていき過去の思い出がフラッシュバックした
『祥太、我が儘を言っちゃいけないとは言わない。その、思いはどこから来るのかをしっかりと分かってないとダメ。人の為なのか、それとも、自分の為なのか』
それは、いつかの日の母親との会話だった
『分からない。お母さんは分かる?』
俺がそう聞くと、母親は首を横に振り
『それは、お母さんにも分からないわ。その答えはね。あなたの、ここが知っている』
そう言って、母親は俺の胸の所に指を当てた
『だから、起きなさい。大切なものを失くしてしまう前に。私とお父さんの子ならできるはずよ!!!』
俺は、その言葉で意識が戻り目を開けた。
「今のは・・・過去にあんな事言われたか?分からないけど、それでも助かったのは事実だ。このまま闇雲に探してもさっきと同じようになるのがおちだ。考えろ、考えろ」
考えに没頭する中、さっきまで見ていた光景で聞いた母親の言葉を思い出した
「答えは、俺の胸が知っている」
俺は手を胸に当て、目を瞑った後目を開けると
そこには、七色の光が煌々と輝く炎が当たりを照らしていた
「最初から、そこにあったんだ。けど、俺が勝手にここにはないと思っていたから周りは真っ暗で探すはめになった。ここは、胸の中。自分の見たいものが見れる場所」
俺は、腕を炎の方に向けると
「一滴残らず、喰らい尽くせ 暴食」
俺の体から、出た黒い靄は炎をあっという間に飲み込みアツシに持っていた力が全て俺の中に入ってきた
「遅くなった」
『全くだ、ひやひやしたぞ。目の前にいるのにフラフラと周りを歩いているときは、しまいには自我を持ってかれそうになって』
「ごめん。けど、何とかなった。後は、反撃するだけだ」
『そうだな。今は怒るのはやめとこう。出るぞ』
「もちろんだ」
俺は、崩壊していく空間から脱出するために出口である光の先に向かった
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