石像
アクセスありがとうございます!ようやくヒロインが出せました!
俺は、フィーリアに下に降りる階段はないかと聞いたら
「・・・・ある」と
答えられたので、連れていってもらう事にした。その間、フィーリアに気になった事を質問していた。
「なぁ、ここすごい綺麗に手入れされているけど全部フィーリアがやっていたのか?」
「・・・・そう、魔法を使って」
「そうか、じゃあもう一つ。ここから出たら、魔物がいる戦う術はあるか?」
「・・・・・愚問。魔法を使える。だから前は任せた」
どうやら、完全に後衛タイプみたいだ。まぁ、戦えないよりかはマシだなと思った。このダンジョンは、誰かを守って生き残っていけるほど甘くはないからだ。
「任せろ。だから、背中は任せるぞ」
「・・・・うん」
それから、どちらから話しかける事もなく階段にたどり着いた。
「・・・・・ここ」
「みたいだな。覚悟はできてるか?」
「・・・・・・・・・うん。でも、ちょっとその前に」
長い沈黙の間に、何を思ったのかは分からなかったがフィーリアは後ろを振り返った。
そして
「・・・・・行ってきます」
フィーリアが、ここにいつからいるのか分からないが、たくさんの想いが詰まった言葉だった。
「・・・・・もう大丈夫」
フィーリアは、言い終わった後こっちを向きそう言った。
「そうか、それじゃあ外に出る為にダンジョン攻略しますか」
本当か?と無粋な事を聞くのはやめた。こっちを向いたフィーリアの顔には久々に外に出ることに対する楽しさがみえていたから。
階段を降りきり、俺たちはダンジョン攻略を開始した。
ちなみに、戦える力があるのにどうしてあの城から一歩も出なかったかと聞いたら
「・・・・・約束したから」
「誰と?」
「・・・・お父様と、あと1人は寂しかった」
後半の方は声が小さく聞き取れなかったが、フィーリアが言うには階段があってもここから出ては行けないという約束を守っていたらしい。
すごい良い子だなと思った俺であった。
降り始めたのエリアは、なんとも拍子抜けする内容だった。魔物が弱いというわけではないが最初に戦った奴らと比べるとどうにも見劣りした。
順調に、階段を降りていった。余裕があったのでフィーリアにどのくらい戦えるのか見せてもらい想像以上に戦力になる事が分かった。
次に行く階段を見つけ降りた瞬間、何とはいえないがこれまでのエリアとは何か雰囲気が違うと感じた。それは、フィーリアも感じたのか表情が少し強張っていた。俺は、この感じをどこか知っているように感じ思い出した。最初の頃に戦ったあの魔物達のいたエリアで感じたのを。
「フィーリア、油断するなよ。さっきまでのエリアとは別物だと思え」
「・・・分かった」
フィーリアも、何かを感じ取っていて危険だと思ったのかいつもより間が短かった。
俺達は、お互いの死角をカバーし合うように慎重に移動していた。今回のエリアは、西洋の街並みで魔物の脅威させなければ普通に住めそうな場所だった。水も枯れることなく流れているので食べ物さえなんとかなれば。
警戒しながら街並みを観察していると服を引っ張られた。
「どうした?」
服を引っ張ったフィーリアに、どうしたのか聞いてみるとフィーリアは指していた。
「・・あれ!」
初めて聞くフィーリアの切羽詰まった声を聞き、何事かと指を指していた方を向くと悪魔の顔をしている石の石像がこっちに向かって飛んできていた。
「なっ!・・・ガーゴイル」
地球でよく動く石像として空想の物語の中で出てくるガーゴイルが今目の前にいた。
ガーゴイルは、俺達の真上まで来るとその巨体で潰そうとしてきた。
「くっ!」
俺はフィーリアを、抱きかかえペシャンコに潰されるのを回避した。
「あっぶね〜、フィーリアはここから魔法で援護を頼む」
「・・・分かった。頑張って」
俺はフィーリアに簡単な指示を出し、フィーリアから応援されるとこれは無様なところは見せられないなと思いガーゴイルのところに戻った。
ガーゴイルは、その場から動いておらず待ち構えるようにして立っていた。
俺は手始めに手に入れたスキルの弾生成で、そこら辺の石を弾に変えガーゴイルに向かって撃った。ガーゴイルは、避ける事もせず弾はそのままガーゴイルにあたり弾かれた。
キィンッ!と固い物にあたった音を響かせ弾はどこかに飛んでいった。
「そう簡単にはいかないか、なら今度はこれで!」
俺は再び弾を生成し、その弾に硬質化を付与させ放った。ガーゴイルはニヤリと笑い、その笑いには、また同じ事をしてきたぞこの小さい蝿は、みたいな嘲笑っているように感じた。実際そうなんだろう。また、一歩もたりとも動くことなくさっきと同じ様にガーゴイルは弾を受けた。
しかし、今度は弾が弾かれる事なくガーゴイルの足に撃ち込まれた。さっきと同じように弾く気でいたガーゴイルはこの事に驚き一歩も二歩と後ろによろめいた。
今度は、俺が挑発するかのようにガーゴイルに向かってニヤリと笑ってやるとガーゴイルは馬鹿にされたと思ったのか(馬鹿にしている)悪魔の顔を歪めた。
怒ったガーゴイルは、後ろに付いている尻尾を左から右に振り攻撃してきた。俺は、上に跳躍して避けるとそれを読んでたのか、ガーゴイルは尻尾を振り抜きそのまま一回転して正面に向き直ると口を大きく開けて光の弾を撃った。
俺は、空中でなす術なく光の弾にあたり後方に吹き飛ばされた。
ドガァァァァンンンンン!!!!
「ぐっ!」
建物を壊して不時着した俺は、身体の損傷を確認する。幸い肋の骨が1、2本折れるだけですみ戦闘は続行できそうだった。ガーゴイルが、放ってきたのは属性魔法いわゆるファイアーボールとかではなく純粋な魔力の塊を圧縮したのを飛ばしてきたらしい。だから、傷もこの程度で済んだといえる。
「フィーリアに油断するなよとか言っておいて、俺が油断してどうするんだっての」
自分に悪態をつきながら瓦礫の海から出ようとすると、ガーゴイルが目の前まで迫ってきており次の攻撃に移っていた。
俺は、避ける事は間に合わないと判断し身体を硬質化させなんとか耐えようとした。
ドォォォォォォンンン!!!
大きな衝突音がして、ガーゴイルが後ろに吹き飛ばされた。
ガーゴイルが、その巨大な腕で俺を殴ろうとした瞬間離れた場所から魔法が飛んできた。
俺は、すぐにフィーリアの魔法だと気づき魔法が飛んできた方を見ると
「・・・・!」
フィーリアが、親指を立ててグッと向けてきていた。その顔には、僅かにドヤ顔も含まれている気がした。まぁ、それすらも可愛かったのだが。何にしても、フィーリアに助けられた事には変わりないので言葉は届かないと思い、フィーリアと同じように親指を立ててグッと向けた。
そんなやり取りの間に、ガーゴイルは起き上がっておりこちらを激しく睨んでいた。しかし、俺達はそんな事を歯牙にも掛けず再びガーゴイルとの戦闘に入った。今度は、俺1人ではなくフィーリアと一緒に戦った。その戦闘は、余りにも一方的だった。もちろん俺たちが。
俺は、鎌を取り出し硬質化させ斬りかかり、時折、弾生成をして硬質化させた弾をガーゴイルがイラつかせるように撃った。俺は、近接戦闘に全力を注ぎ込みガーゴイルが魔力の弾を撃とうとしたり、俺に攻撃が当たりそうな時に必ずフィーリアの援護が入り、俺に攻撃が当たる事はなかった。それも、ガーゴイルをイラつかせる一つの要因になっていた。
ガーゴイルがイラつき、攻撃の精度が落ちるたびに俺とフィーリアの連携は極まっていった。
この2人、性格も全く違う、会話をしているわけでもない、そしてまだ、知り合って一日も経っていないのにも関わらずここまでの連携、まさしく以心伝心、意気投合、この2人にぴったりな言葉だった。
ついに、攻撃に晒され続けたガーゴイルの体に、ヒビがはいった。俺とフィーリアはそこを重点的に攻め、ガーゴイルの身体の崩壊を狙った。
ガーゴイルは、焦った。最強だと頑丈だと思っていた身体ににヒビがはいりどんどん大きくなっていく事に。
そして遂に、2人の波状攻撃によってまず最初にガーゴイルの右足がフィーリアの魔法で粉砕された、ガーゴイルはバランスを崩し、転倒し自重に耐えられなかったのか地面に手をついた方の腕が崩壊した。ガーゴイルはひどく混乱した。まさか、自分の重さで腕が壊れるとは思っていなかったのだ。石像なので痛みは無いが、喪失感はあった。
ここを、仕留めるチャンスだと俺は思い
「フィーリア!!!!」
俺は大きな声でフィーリアの名前を叫んだ。要件は何も言わずとも伝わっていると確信して俺はガーゴイルの胸にある明らかなコアっぽいところに向けて生成し硬質化させた弾を撃った。フィーリアは、名前を呼ばれ自分が何をすべきか一瞬で理解し、魔法を発動させた。使ったのは、風の魔法。俺が撃った弾を風で加速させ、風の抵抗を極限まで無くしスピードが落ちないように、狙いがそれないように魔法を常に弾の周りで発動させている。
驚異的なまでの、魔力操作が可能にする芸当だった。
そのまま、弾はガーゴイルのコアに直撃し貫通した。貫かれた瞬間ガーゴイルの動きは停止した。俺はすぐさま悪食を使いガーゴイルを喰った。
そしていつものように、頭の中に声が響いた。
[悪食による捕食を、確認。ステータスが加算されます。スキル浮遊の取得に成功しました。」
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