バケモノ
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中に入ると、そこは映画なんかで見たことのある内装だった。正面に大きなステンドグラスがあり、そこから段々と横に長い椅子が沢山並んでいた。
「本当にここに牢屋が?」
「あぁ、ここのはずだ」
ダリューが、そういうがそれっぽい入り口らしきものは見当たらないのでみんなで探す事になった。
「時間がない。いつ騎士達が戻ってくる分からないから急ごう」
少し経ってから、
「あったよー!!」
皇の声が聞こえてきた。向かってみると、そこは神父様が使うステージ上の台のところだった。
「見て、ここ!」
指が、さした方をみると僅かに横に何かを引きずった後があった。もしかしたら、ただ移動させて傷ついただけの可能性もあるが可能性は高いと思った。
「よし、同じ方向にずらしてみよう」
俺、朱堂、加藤で協力しながらずらしていくと下から、扉が出てきた。
「これは、当たりだな。よくやった!皇!」
「えへへ」
「それじゃあ、早速中に」
俺が扉に手をかけ、開いた瞬間
「うっ!」
「っ!!?!」
「おえっ!」
「この匂い・・・」
扉を開けた瞬間、強烈な腐敗臭と血の匂いが濃縮されたものが漂ってきた。
「ベヒモス。悪いがフレンと皇、赤城を頼む」
「任せろ。此奴らにはいささかキツかろう」
「ありがとう。」
「何、大した事はないわ」
「朱堂と、加藤は行くぞ。男なんだからな。逃げねえよな?
」
俺が煽ると
「当たり前だろ!」
「ここで、逃げたら男じゃねえ!」
2人とも青い顔をしながら、強がっていた。かくいう俺も、気持ちが悪く、この下にどんな光景が待っているのかと思うと行きたくなかった。
「マックスさん達も、残った方がいいかと。想像する限り、かなりショッキングなものを見る可能性があるので」
「分かった。できるだけ、生きてきたら頼む」
マックスさん達も、下にいる仲間が絶望的な状況にいるのを察したのだろう。
「分かってる。生きている限りは任せろ」
そうして、階段を降り中に入っていくと更に匂いはキツくなった。
鼻と口を押さえながら、なんとか階段を降り切ると中には沢山の牢屋があった。手前の牢屋を覗いて後悔した。中には、体を内側から食い破られた死体があり、ウジ虫が湧いていた。最早、誰だったのか判別できないほど損傷が激しかった。
「うぉぇぇぇ」
「うぷっ」
流石に、耐えきれなかったのか朱堂は耐えたが加藤は吐いてしまった。
「2人とも、上に戻っていいぞ。これは、想像以上に酷い」
「で、でも立花1人にするわけには、」
「大丈夫。一応奥まで行って生きている人がいないから見てくるだけだから」
「・・・分かった。けど、立花もヤバくなったら帰ってこいよ」
「分かってる」
朱堂と加藤が上に戻っていくのを見送ると、俺は覚悟を決めて先に進む事にした。
気持ち悪さを、堪えながら牢屋の中を見ていった。その中には、様々な死体があり全身が紫色だったり。顔が肥大化していたらと見るに耐えれない者ばかりで引き返したくなりながらもなんとか奥の方まで来れた。
「ここで、最後か」
最後の扉は、今までとは違い頑丈な鉄の扉になっていた。
「ひよっててもしょうがない!」
俺は覚悟を決め扉に手をかけ、押して開いた。
中は薄暗く、入ると意外と広い事が分かった。周りを見渡すと至る所に血痕の後や傷がついており警戒しながら進み続けると
「クチャクチャクチャ」
何かを、咀嚼している音が聞こえ始めた。更に近づいていくとうっすらと姿が見えてきた。
後姿が、見えてきて人間の姿をしていた。しかし、何も着ていなかった。警戒しながら更に近づいていくとそいつは人の手を食っていた。
俺は驚きで、後ろに一歩大きく下がってしまった。その際に、下にあった血溜まりを踏みつけてしまい大きな音が鳴った。
そいつは、音に反応してこっちを向いた。目はギラギラとしており、口元は血で真っ赤に染まっていた。
まさしく、バケモノという言葉がぴったりだった。
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