御触れ
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「これが、私の知っている全てです」
フレンは、何処か泣きそうな悔しそうな顔をしながら話していた。
「フレンもその場にいたんだな」
「・・・はい」
話には、枢機卿とカーラしか出てこなかったが話している視点が完全にその場にいた第三者の視点だった。
「カーラとは、友達だったのか?」
「親友でした。聖女候補に選ばれてから周りに同年代の子はいませんでした。辛い楽しくない日々の中、カーラと出会ってから毎日が楽しかったです」
そう言うフレンの表情は、本当に楽しそうな出会えて嬉しそうな顔をしていた。
「けど、あの時私は何も出来なかった。怖くて動けなかったんです。体に力が入らなかったんじゃなくて、足がすくんでしまったんです」
「じゃが、その時お主はまだ聖女候補だったんじゃろ?なら、仕方ないんじゃ」
「違うんです!」
ベヒモスが、フォローしたら突然大きな声でフレンは否定した。
「違うんです・・・男の人が死んでもらうと言った時、捕まっているのがカーラで良かったと思ってしまったんです!無意識でしたが、そんな事を思った自分に腹が立ちました!」
その話を聞いて、仕方がないと思った。誰だって死ぬってなったら自分を守るものだ。そこで、人を守れる奴なんてごく少数だ。
「だから、私はせめてもの罪滅ぼしとして枢機卿の言う事に従ってきました。けど、また私は我が身可愛さに逃げたんです!」
この問題は、当人の問題で俺達があーだこーの言っても結局本人が自分でしっかりと落とし所を見つけないと後悔の日々が続いてしまう。
だから、俺達はただフレンの話を聞き続けた。
「私はっ!すみません!こんな愚痴みたいな事」
「いいんだよ。溜めていたものを出す必要だってある」
「そうじゃ、我慢せずもっと話せ。話せば気が楽になる」
「なんで、お二人はそんなに優しいんですか?今日初めて会ったのに・・・」
俺とベヒモスは、顔を見合わせて考えてみたが
「なんでって」
「なんでじゃろうな?」
答えは、出なかった。
「そんなはず・・・」
「まぁ、強いていうならほっとけないからかな」
フレンは俯き、小さく
「あなた達の方がよほど、聖職者らしい」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も」
「そうか、とりあえずみんなの所に戻るか。それから、フレンの今後を考えよう」
「えっ!今後って、ここでお別れなんじゃ・・」
「なわけ、ないだろう。そんな事したら、俺が仲間に怒られちまう。話を聞いてはい、さようならなんて薄情なマネしないよ」
「そうじゃぞ、あまり我らを甘くみてもらっては困る」
「あ、ありがとうございます」
「涙脆い娘じゃな」
俺達は、フレンを連れて宿に戻る途中人が集まっているのを見かけた。
「どうしたんだろうな?」
少し気になり、周りの人に聞いてみると
「どうしたんですか?」
「いや、急に御触れがあってこの国から完全に亜人の人たちが入らなくなるらしい」
「なっ!」
「急じゃのう」
「どうして・・・」
それは、驚きの知らせだった。
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