プロローグ
リメイクしたやつです。この作品を見つけてくれてありがとうございます!
どうか完結までお付き合いください!
明日の19時に次の話を投稿します!
ポタっポタっと顔にぬめりをもった水が当たっていた。若干の生臭さを感じ目を開けると目の前には俺を見下ろしている虎っぽい何かがいた。
「・・・おはよう」
気が動転していたのか、通じるわけもないのに挨拶をした。すると虎っぽい何かは前脚を上げた。挨拶に反応して人間でいう手を挙げたのかと一瞬思ったがそんなことはなく虎っぽい何かは勢いよく振り下ろした。
「うぉっ!!」
なんとか横に転がり避けることに成功したが、とんでもない威力だったのか地面に当たった直後突風が起き想定以上に転がっていった。
「いたたた・・」
転がるのが止まり、恐る恐るさっきまでいた場所を見てみると地面には振り下ろされた中心からヒビが入っており相当な威力だったのが予想ついた。
「おいおい・・どんな威力だよ。避けれてなかったら死んでいたな」
虎っぽい何かから目を離さず、体を起こし改めて相手の全体を見ることができた。姿は虎だと思うのだが決定的に違うのがサイズだ。とにかくデカかった。地球にいる虎より2倍ほどデカいと思う、観察していると虎は(めんどくさいので虎と呼ぶ)一瞬にして目の前から消え、気づいたら俺は壁に叩きつけられていた。
「っかは!」
肺から空気がぬけ、体の内側のどこかを痛めたのか一緒に血も吐いた。
「な・・に・・が・・・」
視界がぼやけるなか前を見ると、さっきまで俺がいた場所に虎がおり状況的に物凄いスピードで体当たりをされたんだと分かった。
(どう・・して・・・こんな・・目に・・・)
意識が朦朧とするなか、どうしてこんな状況になったのか走馬灯のように思い出していた。
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太陽が昇り、部屋の中に朝日の光がカーテンの隙間から入り込みその光を鬱陶しく感じると同時に目覚まし時計が鳴り響いた。
ピピピピっ!!!!!
俺は目覚まし時計を止め、もう一度寝ようとした瞬間今度はそんなことを許さないと言うかのように携帯から音が流れ二度寝を防がれた俺は体を起こしうるさい音を止めた。
「あ〜ねみぃ〜」
俺はベッドから降りると制服に着替えて、下におりた。リビングに入るといい匂いがして、いつも通り椅子に座っている父、エプロンをつけた母がいてそこにはいつも通りの日常があった。
「おはよう」
俺は朝の挨拶をすると椅子に座り用意されている朝ごはんを食べ始めた。
「いただきます」
「はい、どうぞ。あなた、いつも言ってるけど食事中は新聞読まないで!」
「あ、あぁすまない」
「全くいつまでも同じこと言わせないでよね」
そんないつもの会話を聞き、平和だなと思いながら朝ごはんを食べた。学校に行く時間になり父は仕事で先に家を出ているので母親に挨拶をした。小さい頃から挨拶はしっかりしなさいと教育されてきたのでしっかりと守っている。ちなみにそれを破ると物凄く怒られる。昔一度だけ怒られた事があり、しっかりと心に刻み込まれた。
「行ってきます」
「気おつけてね、行ってらっしゃい」
この挨拶が母親との最後の会話になるとは知らず、俺はいつも通りに家を出た。
学校に着き自分の席に座り、授業が始まるまで携帯を触っていると俄かに教室が騒がしくなった。
(あいつらがきたな)
俺はこの教室いや、この学校中から人気な者たちが登校してきたんだと察した。
最初に教室に入ってきたのは、この学校だけでなく他校の女子からも告白された事がある。名前は朱堂 結城、ちなみに校門で他校の女子に告白されたのは有名な話だ。
見た目は、もちろんの如くカッコ良く男の俺から見ても整っているなと思うほどそれに加え、性格もよく運動、勉強もできるというハイスペックな男だ。天は二物を与えずというが彼には3つ4つも与えたみたいだ。羨ましい!!
しかし、朱堂の浮ついた噂は聞いたことはない。
その後ろからは、朱堂とはタイプが違うイケメンが入ってきた。彼の名前は加藤 大輝。野性味の溢れるワイルドなイケメンだ。加藤は朱堂の幼馴染らしくよく一緒にいる。そのせいで、一部の腐った女子からは違う意味での悲鳴が上がったりする。うちのクラスにも腐った女子がおり今も二人を見て顔をニヤつかせている。
さっきまでは、女子のキャアキャアと騒がしい声だったがそこに男子の声も混じり始めた。
加藤の後ろからは、うちの学校の2大美少女と言われているうちの1人 赤城 玲奈。彼女はクールで凛としているため可愛いと言うよりは綺麗と言ったほうがあっている。彼女の特徴であるポニーテルに少し釣り上がった目が彼女の綺麗さを引き立たせてる。そんな彼女は男子にはもちろん女子からも人気がある。よく色々と相談されているのを見たことがある。
そしてその横には、もう1人男子の視線を一身に集める女子がいる。名前は、皇 梨華。艶やかな綺麗な黒い髪をストレートに下ろし、おっとりとした垂れ目は保護欲をそそられる。彼女は有名な皇財閥のお嬢様なのに、分け隔てなく色んな人と接しておりそんな性格も人気の一つだ。
この4人が、うちの学校の中心人物達だ。
そして4人は、喋りながら俺のいるところまで来た。1番最初に声を発したのは皇だった。
「おっおはようございます!立花くん!」
「おはよう。皇さん」
挨拶をされたので挨拶仕返すと、何を不満に思ったのか皇は頬を膨らませこっちを睨んできたが、全く怖くなく逆に可愛いらしいと思った。
しかし、睨んできた理由が分からず頭を傾げると
「前から、さん付けなんて距離を感じた嫌だこら名前で呼んで欲しいって言っているじゃないですか!」
皇自身から不満に思った理由を聞いて納得はしたが、それをやってしまえば帰り道に気をつけなきゃいけなくなるのでやっていない。今でもこうやって喋っているだけでも針に刺されたような視線を感じるというのにそんな事を思っていると横から助けが入った。
「梨華も無理強いしちゃダメでしょ。距離なんてゆっくりと縮めていけばいいのよ」
「そうだね!無理矢理迫って嫌われたと嫌だし!ありがとう玲奈ちゃん!流石、私の親友!」
「どういたしまして」
助けが入ったと思ったら、火に油を注ぎさらに燃やしにいった。そのせいで、更に視線は厳しくなり殺気なんじゃないかと思うほど強烈だった。
俺は苦笑いを浮かべながら、勘弁してくれと心の中で思った。
「梨華も玲奈もそこまでだ。立花が困っているだろう」
朱堂が2人に注意してくれた。神はここに居たのかと思い心の中で手を合わせて拝んだ。そして、注意された2人は
「困らせてないもん!」
「私はアドバイスしただけ」
2人はなぜ注意されたのか、分からず文句を言った。皇は素だが、赤城に関しては少しニヤけていたのでわざとだと確信した。意外と赤城はこういう悪戯をする。まぁ、本当に仲が良い人にだけらしく、仲が良くなったんだなと思いながらも勘弁してほしいとも思った。
「がはははは!!!相変わらずお前達は面白いな!」
加藤はこっちの気も知らないで能天気に笑っていた。そして、未だに視線を向けられ有名人4人に親しげに話しかけられる俺が誰かというと5人目のカッコいい男子同じ有名人・・・というわけではなく至ってどこにでもいる普通の男子高校生だ。そんな俺の名前は立花 祥太。何か得意な事もなければ苦手な物もない。よく人からお前は普通だなって言われるが自分でもそう思う。
そんな俺がどうしてこの4人と親しげなのかはある事がきっかけで知り合うことになった。まぁ、その話はまた今度にしよう。
今は、この視線をなんとかすることに尽力しなくては!平穏な学校生活のために
とりあえずこの4人が俺の席に集まっているのが原因だと理解し、席に着くよう話を持っていく。
「4人とも、そろそろ先生が来るから席に着かないと」
話しかけただけで、さっきより視線がキツくなった。しかし、ここでめげては先生が来るまでこの視線に晒されると思うと我慢できた。
「そうだな、3人とも席に着こうか」
さらに、朱堂からの援護も入りここで解散することが決まった。
「おっそうだな!じゃあ、また休憩中!」
「注意されるのは嫌だからここは素直に戻るかしらね」
「そうだね・・また後でね!立花くん!」
「3人とも悪気はないから許してやってくれ」
「あぁ、大丈夫。わかってるから」
加藤は元気よく、赤城は少し文句を言い、皇は素直に戻り、最後に朱堂がフォローをしてそれに俺が返事を返すと4人とも席に戻った。
1人になると、視線は幾分か和らいだが今もずっと見てくる奴がいる。そいつはうちの学校の不良の道本 アツシだ。悪い噂が耐えない人物だ。そんな不良が取り巻きたちと一緒に睨んでくるので物凄く怖い。今の所なんの危害も加えられていないのは、流石に暴行すればヤバいのと道本が好きな皇に嫌われると思っているから何もされていないだけで何かきっかけがあれば道本は牙を剥くと思っている。
そう思ったことがフラグになったのか、チャイムがなるその瞬間床が唐突に光輝き始めた。教室の中は当然ながらパニック状態、みんな席を立ち教室を出ようとするが
「おいっ!扉が開かねぇぞ!」
「窓もだ!!」
なぜか、扉も窓も開ける事ができなかった。光はどんどん強くなっていき俺は床を見てみるとそこには幾何学模様が描かれていてそれは教室全体に広がっていた。この非現実的な光景に呆然としていると皇たちが集まってきた。
「立花くん!!」
「これは一体何が起きているんだ?!」
珍しく朱堂も狼狽えており、珍しい物を見たと思った。
「いや、俺にもさっぱりだ」
俺が異様に落ち着いているのを見て少し冷静になったのか朱堂たちは周りを見渡して状況を把握しようとするが何か分かるわけもなく光はさっきより強くなった。今ではなんとか目を開けていられる程度だ。
「立花は落ち着きすぎだろ!?」
「いやあれだよ。周りが自分よりパニックになっていると逆に冷静になるやつ」
「あ〜なるほどね」
「みんな、何が起こるか分からないからお互い近くに寄って服なんかを掴んでおこう」
加藤や赤城と話をしていると、朱堂がそう言うと皇が真っ先に服を掴むどころか腕を取ってきて、この非常時にも関わらず腕に感じた柔らかさに頭がいっぱいになった。頭の中がパニックになっていると赤城も俺の服を掴み、朱堂や加藤までも俺の服を掴んだ。
「おい!お前らどうして俺を中心にしているんだ!」
文句を言うと
「いいじゃない別に減るもんじゃないし」
赤城が反論してきた。
(いや、こんな光景見られたら俺の寿命が!)
そう心の中で思ったが、この眩しさの中なら見えないだろうと思い安心した。見られていたとも知らずに。
すると、ドン!ドン!と扉を叩く音が聞こえそっちを見ると担任の先生がいるのが辛うじて見えた。
「あっせんせ」
俺が先生と呼ぶ前に、光の強さは目も開けれないほど強くなり体に浮遊感を感じた瞬間一つのクラスが担任の先生の目の前でその姿を消した。
床にはうっすらと幾何学模様が浮かんでいたが、役目を終えたかのように消えていった。
この日、世界から30人の高校生が姿を消した。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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