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カノジョの父を襲った悪夢。
短いです。
明日も更新する予定。
――だが、そんなある日のことだった。
「あ、れ……?」
宗一郎は曖昧な意識を持ち上げる。
どうしたのだろう。どことなく、身体が痛かった。
たしか、自分は会社から車で移動していたはず。そう思いながら、彼は目蓋をゆっくりと開いた。クラクションの音が鳴り響いている。
その合間を縫って耳に入ってくるのは、悲鳴だった。
「…………え?」
頭が割れるように痛い。
宗一郎はそこで、自身の額が大きく裂けていることに気付いた。
おびただしい血が流れており、拭っても止まらない。だが、そんなことよりも周囲の様子が気になって仕方がなかった。ゆっくりと、前傾姿勢だった身体を起き上がらせる。そして、そこに至ってようやく彼は事態を把握した。
「う、そ……だ」
自分の運転していた車が、人通りの多い歩道に突っ込んでいる。
「え……?」
ひしゃげたガードレール。
傷を負った歩行者が、うずくまっている様子が見えた。
周囲には野次馬が集まっており、その中の数人はどこかに電話をかけている。
寒気がした。
宗一郎は、事態を呑み込み切れないでいる。
いや、判っていた。それでも、信じたくなかったのだ。
「あ、あああぁ……!」
自然と漏れ出した声。
喉を震わせた言葉にならないそれは、空しく響き続けていた。




