表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
46/114

カノジョとの何気ない時間はかけがえない。







「かぁずまぁ? ぎゅー、して」

「ん、はいはい」


 夏休みも終わり、いよいよ二学期が始まったある日のこと。

 久しぶりにこのはが甘えてきた。俺は彼女のことを抱きしめて、ポンポンと頭を撫でる。するとこのはは、今日日モモでもしないくらいに頬をすり寄せてきた。


 熱っぽい瞳で俺のことを見上げて、小さく首を傾げる。

 俺はそれを見て思わず――。



「ちょっと待ってな?」



 すっと立ち上がり、引き出しからある物を取り出した。

 そして、それを彼女の頭に装着。



「ん、和真。これって――」

「前にこのはが買った猫耳カチューシャ。そういえば、俺の部屋に置きっぱなしだったな、って思ってさ」

「そ、そうだけど! いま付けるの!?」

「え、だって――」



 俺は、猫耳をつけた恋人を見て素直な感想を述べた。




「このは、凄く可愛いし。似合うなって」




 すると――。




「ひゃうっ!?」




 久々に――ボフン! と。

 彼女の頭から、煙が上がった。

 見たままのことを褒めるだけでこうなるとは、やはりウブだ。このはさん。




「むむぅ……!」

「ん? どうした、このは?」




 しかし、今日に限ってはこれで終わりではなく。

 このはは頬を膨らませ、なぜか四つん這いの体勢になった。そして、





「にゃあ、ご主人様。ごはんを下さいだにゃ?」

「ぶはっ!!」





 甘えた声で、そう言った!!

 手で顔を撫でるように、モモの仕草を真似しながら!!

 仲間ができたと思っているのか、このはのもとにやってくるモモ。しかし俺にはもう、恋人の姿しか映っていなかった!!



「どうしたにゃ、ご主人様ぁ?」

「う、うぐぐ」



 堪えろ、俺。

 耐えろ、理性。

 ここで手を出しては、色々とヤバい!



「このは、ご主人様に甘えたいにゃ!」

「――――――」

「――って、あれ? 和真?」



 俺は心頭滅却した。

 そして、どこか遠くを眺めていると……。




「悟りを開いたの……?」





 このはが、首を傾げて適切にツッコミを入れるのだった。







「いやぁ、まさか。このはに一本取られるとは……」

「わたしだって、たまには、ね! えへへ!」


 帰宅の時間になり彼女を玄関先で見送る。

 猫耳を手に持って、このはは俺を見て笑うのだった。今日もいつも通りに時が過ぎていく。こうして、いつまでも続いてくれたら……。



「ねぇ、和真……?」

「どうした、このは?」



 そう考えていると、不意に彼女が俺の名を口にした。

 俺が答えると、しかしこのはは――。



「う、ううん! なんでもない! それじゃ!!」



 そう言って、駆け足で去って行ってしまった。

 俺は声も出せずにそれを見送り、呟く。




「こんな時間がいつまでも、か」――と。




 そして、おもむろにスマホを取り出し電話をかけた。



「それを守るためなら、俺はなんでもするさ」




 呼び出しの音が切れて、相手が要件を訊ねてくる。

 俺はふっと息をついてから、こう言った。







「アリス、少し話がある。今から会えないか?」――と。



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「推しの推し……の、推しが自分だったんだが。」こちらも、よろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
[一言] なんかり・・・竜・・・? 竜なんとかさんの後ろではガカァッとか言って雷が落ちてそう(不穏エフェクト話)
[一言] 本当の幼馴染ざまぁが始まる予感
[一言] まあそりゃあ先にケンカ売ってきたのは名前も知らないなんとかさんですからね。和真がカレシになった以上放置するわけない。 ボコられるのはなんとかさんって未来も確定してる事ですし、盛大にお願いしま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ