表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/114

幼馴染の頭を撫でてみた。








「おかえり! 和真っ!」

「ただいまー、って。なんでウチに、このはが?」

「えへへー! おばさまに言ったら、待ってても良いよ、って!」


 少し離れた場所にある自分の高校から帰宅すると、近所の学校に通っているこのはが先に俺の家に来ていた。母さんも何も言わない辺り、分かっている。


「そっか、それなら何して遊ぶ?」

「ううん。遊ばなくていいの」

「ん?」


 鞄を下ろして俺が首を傾げると、このははそう言った。

 そして、俺の手を握る。


「どうしたんだ、このは?」

「えっと、こっちに来てくれる?」


 彼女に言われるまま、俺はベッドに腰掛ける。

 するとこのはも、嬉しそうに座るのだった。


「…………」

「…………」


 そのまま、静かな時間が流れる。

 このはは俺の肩に頭を乗せて、目を細めていた。



「今日は、このままでいいの」



 そして、小さく言う。

 どうやら学校での辛さを紛らわせるために甘える、を実行しているようだった。俺はそれに気づいて、少し考える。

 この状態だったら、もう少し前に進んでも良いのだろうか。


 正直、この子が俺のことを今でも好きでいるのかは分からない。

 だから手をつなぐ以上のこと、していいのか分からなかった。だけど――。


「このはは、本当に――」



 ――これは、可愛い彼女のせいだ。



「ふにゅ……」



 俺は、そう心の内で言い訳をしながら。

 優しく、最大限に優しく、このはの頭を撫でるのだった。



「かずまぁ……?」



 すると、ウットリとした表情になる少女。

 こちらの肩に頬をこすり付けて、小さく、何度も俺の名を呼んだ。



「ホントに、これだけで十分、だな」





 彼女のことを愛でる。

 そう決めた翌日は、それだけで時間が過ぎていった。


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「推しの推し……の、推しが自分だったんだが。」こちらも、よろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
[良い点] デレ具合が素晴らしい!
2020/03/11 17:00 退会済み
管理
[一言] 糖尿病ものですなこりゃ。 だがそれが心地よい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ