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幼馴染がざまぁされて戻ってきた。

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「和真ぁ~! 聞いてぇ~!」

「どうした、このは。そんなに分かりやすく凹んで」


 ある日のことだった。

 幼馴染の如月このはが、俺の部屋にやってきたのは。

 栗色の髪に、やや攻撃的な印象を受ける整った顔立ち。しかし今はそれも、へにゃっとして、どこか元気がなくなっていた。ベッドに腰掛ける俺の隣に倒れこんで、大声で泣いている。


「うん、ひとまず落ち着こう?」

「……うん」


 俺が声をかけると、啜り泣きながらも彼女は面を上げた。


「それで、どうした」

「あのね? 龍馬がね、今後一切自分にかかわるなって」

「龍馬が? それまたどうして」


 そして、問いかけに答える。

 龍馬というのは、もう一人の幼馴染で彼女と同じ高校に通う男子だった。

 俺たち三人は昔から仲が良く、いつも一緒に遊んでいたのだが。それが今後一切かかわるな、というのはどういうことなのだろうか?


「えっとね? なんか、私の言葉遣いが気に入らないんだ、って」

「…………ふむ」


 俺はそれを聞いて、少し考える。

 なるほど。それならちょっとだけ、思い当たる節があった。

 というのも、このはは非常に口下手であり、昔から仲が良くない相手には塩対応だと勘違いされてきたのだ。よもや龍馬までそれに気づかないとは、思ってもみなかったが……。


「ねぇ、和真? わたし、どうしたら良いんだろう……」

「うーん、そうだなぁ」


 どうやら、なにか龍馬の勘違いがあったらしい。

 それを解決するのは困難だと思えた。彼はどうにも、昔から思い込みが激しいところがあって、一時期は自分とこのはが付き合っていると思っていたくらいだ。


 あ……、もしかして。今回も、それの延長なのだろうか?


「わたし、学校にも居辛くなっちゃった……」

「そっか。それなら――」


 俺はそこでふと、幼少期のことを思い返すのだった。






「わたしね、大きくなったらかずまのお嫁さんになる!」


 幼いこのはは、満面の笑みでそう言った。

 引っ込み思案の人見知り。無自覚に相手にキツく当たってしまう少女が、俺に見せた初めての笑顔だった。首を傾げていると、彼女はこう口にする。


「かずまといっしょだと、むねがドキドキするのに、あんしんするの。なんかこう、ふわぁ、ってあったかくなるんだっ!」

「えへへ、そうなんだ!」


 俺はそれを聞いて、意味も分からずに嬉しくなった。


「だから、かずまのお嫁さんになりたい!」


 そして、改めて彼女はそう言う。

 対して俺は、大きく頷いた。



「もちろん! このはは、俺が守るよ!」







「――このは。今日から、俺に甘えるといいよ」

「ふえぇ……!?」


 俺の言葉に、このはは顔を真っ赤にした。

 いったい何を言われたのか、それを理解するのに時間がかかっているらしい。


「昔言っただろ? このはは、俺が守るから、って」

「和真……」


 目元を拭いながら、このはは俺の名を口にする。そして――。



「うん。ありがと……」



 皺だらけのセーラー服を直しながら、俺の隣に腰掛け。

 そっと、肩に頭を乗せてきた。






 この話は、俺とこのは。

 二人による、二人だけの物語。


 


https://ncode.syosetu.com/n3734jk/

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[良い点] えっ?ざまぁってこうゆうことじゃないのでは?
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