幼馴染がざまぁされて戻ってきた。
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「和真ぁ~! 聞いてぇ~!」
「どうした、このは。そんなに分かりやすく凹んで」
ある日のことだった。
幼馴染の如月このはが、俺の部屋にやってきたのは。
栗色の髪に、やや攻撃的な印象を受ける整った顔立ち。しかし今はそれも、へにゃっとして、どこか元気がなくなっていた。ベッドに腰掛ける俺の隣に倒れこんで、大声で泣いている。
「うん、ひとまず落ち着こう?」
「……うん」
俺が声をかけると、啜り泣きながらも彼女は面を上げた。
「それで、どうした」
「あのね? 龍馬がね、今後一切自分にかかわるなって」
「龍馬が? それまたどうして」
そして、問いかけに答える。
龍馬というのは、もう一人の幼馴染で彼女と同じ高校に通う男子だった。
俺たち三人は昔から仲が良く、いつも一緒に遊んでいたのだが。それが今後一切かかわるな、というのはどういうことなのだろうか?
「えっとね? なんか、私の言葉遣いが気に入らないんだ、って」
「…………ふむ」
俺はそれを聞いて、少し考える。
なるほど。それならちょっとだけ、思い当たる節があった。
というのも、このはは非常に口下手であり、昔から仲が良くない相手には塩対応だと勘違いされてきたのだ。よもや龍馬までそれに気づかないとは、思ってもみなかったが……。
「ねぇ、和真? わたし、どうしたら良いんだろう……」
「うーん、そうだなぁ」
どうやら、なにか龍馬の勘違いがあったらしい。
それを解決するのは困難だと思えた。彼はどうにも、昔から思い込みが激しいところがあって、一時期は自分とこのはが付き合っていると思っていたくらいだ。
あ……、もしかして。今回も、それの延長なのだろうか?
「わたし、学校にも居辛くなっちゃった……」
「そっか。それなら――」
俺はそこでふと、幼少期のことを思い返すのだった。
◆
「わたしね、大きくなったらかずまのお嫁さんになる!」
幼いこのはは、満面の笑みでそう言った。
引っ込み思案の人見知り。無自覚に相手にキツく当たってしまう少女が、俺に見せた初めての笑顔だった。首を傾げていると、彼女はこう口にする。
「かずまといっしょだと、むねがドキドキするのに、あんしんするの。なんかこう、ふわぁ、ってあったかくなるんだっ!」
「えへへ、そうなんだ!」
俺はそれを聞いて、意味も分からずに嬉しくなった。
「だから、かずまのお嫁さんになりたい!」
そして、改めて彼女はそう言う。
対して俺は、大きく頷いた。
「もちろん! このはは、俺が守るよ!」
◆
「――このは。今日から、俺に甘えるといいよ」
「ふえぇ……!?」
俺の言葉に、このはは顔を真っ赤にした。
いったい何を言われたのか、それを理解するのに時間がかかっているらしい。
「昔言っただろ? このはは、俺が守るから、って」
「和真……」
目元を拭いながら、このはは俺の名を口にする。そして――。
「うん。ありがと……」
皺だらけのセーラー服を直しながら、俺の隣に腰掛け。
そっと、肩に頭を乗せてきた。
この話は、俺とこのは。
二人による、二人だけの物語。
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