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4話

 胃が痛いという表現があるが、ストレスの余り本当にキリキリと激しく痛んだことのある身としては、その経験以上の精神的圧力を感じているのに料理の味すら判別できるこの身が嬉しい様な怖い様な、ともかく魂だけでもいいから逃げ出したいと思った。


 広いテーブルに朝からずらりと並べられている大量の肉やスープ、メニュー自体に文句などは無い。むしろ肉メインとはいえ非常に美味しく、その点においては不満などは一切なかった。無論オートで上品に食事が行われていたが。


 これが騎士団なり昨日戦場に居た雑多な身形の男どもに囲まれてむさ苦しい程度であれば、中身男としては別段文句などは無かったであろう。一人ぼっちで後ろに控えるメイドさんのプレッシャーに耐える食事でもまあセーフだった。


 きらきら輝く金髪は見ただけで高貴さを醸し出している気すらする。青空のように澄み渡る蒼い目はとてもキュートで、微笑みを浮かべながらこちらを眺めている姿は、全く持って心の胃に良くなかった。がりがりと削られている。何かが確実に。


 現状対面する位置に座っている女の子の頭に載っている冠とか、実に見事なドレスに威厳たっぷりのローブなどを全部取っ払って、正体を知らないまま食事出来ていたなら後から死にそうになるかもしれないが今は問題なく過ごせたに違いない。


 ……明らかに、その、女王様とかそういう感じの方でいらっしゃいますよね? はい。きらっきらした目でこっちを凝視しているあれって女王様的存在ですよね? 一番偉い感じの。何故にそげな人と同じ食卓にいるんですかねぇ?


 いや、まあこじつければ、というか他に想像できないだけに理由はなんとなーくわかる。戦功的なアレがアレしてそんな感じなんだろう。具体的にどんな感じかはわからんけど、そらあんなばっさばっさ無双出来るのが在野だったら即スカウトするよ。


 思い出す血飛沫や断面図に精神的ダメージを負うも、身体に一切影響が出ないのは救いなのだろうか。王族の前でリバースとか非常に命に危険を感じるので確実に救いなのだろうけれども、なんとはなしにもやっとしたものを感じるのは仕方ない。


 どうやらこの身体は別段腹ペコ大食漢というわけでは無かったようで、普通にちょっと多め程度の量を食べてのんびり飲み物を飲み始めた。いや、そうじゃなくて、それ以前に重要視すべき事が前方に存在してると思うんだけどなぁ。


 内心そちらから目を逸らしているのがいけないのか、ゆっくりと食後のティータイムを堪能した後で、食事が次々と下げられていく。あ、もしかして食事中に会話するのはマナー違反的なアレですかね? だから普通に食事してたんですかねオート進行さん?


「ご満足していただけたかしら? 精一杯のおもてなしだったのですけれど」

「いや、久方ぶりのまともな食事でして。粗相が無かったかが心配なくらいですとも」

「あら、お冗談もお言いなさるのですね、ふふっ」


 ……大丈夫だよね? 無礼打ちとかされないよね?

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