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3話

 どうやら夢ではないと気が付いたのは、次の日王城のベッドで目が覚めた時だった。王城の、と言っても無論文字通りのキングベッドなどではなく騎士階級的な貴族の住む兵舎的な場所ではあったが、それにしても一等上等な物のように思える。


 弾力は余り感じないもののふかふかとしたベッドの脇に整頓されている鎧や剣を見れば、着け方など知らないものの多分何とかなりそうな感覚を覚える。やりたいと思えば大概の事がオートで行われる現状は安心すべきなのか判断に苦しむ。


 癖である腕を組んで片手を顎に持っていく姿勢を取る中で、腕に多大な違和感を感じる。いや、腕というか、胸部が圧迫されるような……目線を下に持っていき、絶句する。こんもりと盛り上がる胸部装甲は、果たして男性についているようなものだっただろうか?


 よく見れば全体としてほっそりとして色白な手、脚など、明らかに異常事態としか言えない。肩から垂れ下がり背中に流れる髪を掬い上げてみれば輝くような銀がさらさらと流れていく。多分鏡を見れば今の自分の顔は余程の間抜け面を晒しているに違いない。


 夢ではないと先程考えたが、やはり夢なのではないだろうか。頬をぐにぐにと引っ張ってみればもちもちとした弾力と確かに感じるほんのりとした痛み。


ひゅめひゃなひゆめじゃない


 凛とした声は果たして元の自分からは想像も出来ない声で、鏡を探すも無いので上手い事反射しないかと剣を鞘から走らせる。刀身に映る赤い目をした麗人は、頬をうっすらとピンクに染めながら困惑していた。


 コンコン


「傭兵殿! 起きておられますかな!?」


 ドアのノックと共に部屋の外から掛けられる声に、跳び上がって大声で喚かなかったのは果たして自制心の賜物なのだろうか。如何な返事をしようかと悩んだところで、口から勝手にすらすらと返事が流れ出ていた。


「ああ、起きているとも。とはいえ身支度が未だに整っていない、少々待たせるが構わないか?」

「いや、無論構いませんとも! 支度が終わればお知らせくだされば!」


 構わない以前にこっちが構うんだけども! 訳が分からないんだけども! と声を大にして叫びたくはある。肌着に近い服から勝手に昨日着ていた防御力高そうな服を着て、てきぱきと鎧まで着こむのにかかった時間は1分足らず、無論オート進行。


 何処で回収したかもわからないが袋に入った荷物まで持って部屋に掛かった鍵を開けて出るまでにかかった時間は3分もかかっていないんじゃなかろうか。インスタント製品も真っ青の支度である。本当に少々しか待たせていないというかむしろもう少し位時間をかけても良かったとは思う。


「すみません、待たせましたね」

「いえっ! 朝食の準備が出来ておりますのでどうぞ着いて来てください!」


 すたすたと歩いていく騎士さんについていく。正直現状把握できていないけれども、一体何がどうなっているんだろうか?

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