表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビが出て終わったと思ったらデスゲームかよ⁉︎  作者: 異世界の猫
第1章 高校編
5/13

新たな脅威

 


 晴人side



 現在、ある会議室に生徒達が集められていた。中々広い部屋のため、今いる100人程度なら入るほどの部屋だ。生徒達はこれから聞かされる報告に希望を見出し、ざわついている。そんな中、1人の少年が生徒達の前に歩み出た。



「あー、よし。それでは報告を始めようと思う。俺は今回調査に行ったメンバーのリーダーだった3年の川崎だ。よろしく頼む」



 川崎、そう名乗った少年から受ける印象はどこか普通の生徒とは違う。まるで生き死にの、命のやり取りを終えたような、そんな独特の雰囲気を醸し出していた。



「それじゃあ報告するぞ。まず調査に行った俺たちは校門から外に出られるかを見に行ってきた。...結論から言うと、校門から出るのは不可能に近い」



 その報告にざわつく生徒達。そして川崎はこう続ける。


「それは何故か。理由は信じらない量のゾンビ達だ。10や20じゃない、おそらく200ぐらいいた筈だ」




 その報告にさらにざわつきが大きくなる。



「ただ、別の報告もある。こっちは信じられないかもしれんが、ここを出て行くためには最重要となる報告だ」



 その声に少し落ち着きを見せる生徒達。その様子を確認してから川崎は話し始めた。



「俺たちは今回の調査の際、1体のゾンビを殺すことが出来た。その時、ゾンビを殺した俺たちの頭ん中に変な声が聞こえてきた。『レベルアップおめでとう』ってな」



 その報告に、生徒達は訳がわからないといった顔をする。一体この男は何をいっているのだろう。ここにいる生徒達は彼の言うことを理解することができなかった。


「あの〜、すいません」



 そうおずおずと手を挙げたのは1人の男子生徒だった。



「なんだ?」


 そう答える川崎に質問をぶつける生徒。



「えっと、どういう事ですか?」



 そう聞くのも、仕方ないといえば仕方ないものだった。突然こんな事を言われ、はいそうですか、と信じる者の方が稀だろう。


 その質問に川崎は答える。



「そうだな。突然こんな事言う奴は頭がおかしいと思われても仕方ないと思う。ただ事実なんだ。おそらくこの世界はゲームみたいな世界に変わっちまったんじゃないかと俺は考えている」



 そう答える川崎により一層不信感を募らせる生徒達。中には馬鹿馬鹿しいと言い部屋を出て行こうとする生徒もいた。しかし川崎のある発言で彼らは考えを改める事となる。



「俺の事を信じてくれとは言わない。だが心の中で念じてみてくれ!〈ステータス〉と。それで俺の話が嘘かどうかわかる!」



 そう言う川崎を馬鹿にする生徒がほとんどだったが、実際にそう念じ、目の前に現れたステータスバーをみて、生徒のほとんどが黙り込んでしまった。




 それは晴人も例外ではなかった。


(なんだこれ、俺、夢でも見てんのか?)



 多くの生徒が現実を受け止めきれていない中、川崎は話を続ける。



「......どうやら納得してくれたみたいだな。それじゃあ今から外に出るために何をするべきかを発表する」




 辺りは静まり返っている。しかし、生徒達の反応は色々なものである。怯えながら話を聞こうとする者、川崎に対して不信感を抱いた視線を向ける者。



 そういった者達を川崎は気にも留めず、淡々と話始める。



「いいか、まず俺たちに必要なのはゾンビを殺せる力と食料だ。まず先に解決すべきなのは食料だな。もうすぐに、何も食わないまま2日目になっちまう。流石に食わないといけないだろう」



 そう言う川崎に、当然質問も飛んでくる。



「食料って言ったってどうするの?ここらには食べ物なんてないわよ?」



「それについてだが、次はストアと念じてみろ。そしたらネットショップみたいな画面が出るはずだ」



 それに従いストアの存在を確認する生徒達。



「そこに表示されてるポイントを稼ぐためにはゾンビを狩るしかない。つまり俺たちはどう足掻いてもゾンビを殺すしかないってことだ」



 その川崎の言葉に、大半の男子生徒や女生徒も目の色を変える。



「いいか、生きたければ戦え!ただ無理はするな!以上が俺たちからの報告だ」



 後で簡単に班を決めて早速ゾンビを片付けにいく。準備しておいてくれ。


 そう言い残し川崎は部屋を出て行った。残された生徒達は生き残るために僅かな殺意を胸に宿し始めていた。



(アイツの言う通りだな。生き残るためには戦いは避けられない。やってやるぞ)



 晴人も決意を固め、ゾンビを倒しに行く時を今か今かと、待ち望んでいた。



(まぁ俺のステータスじゃ無理は禁物だな)



 ――――――――――――――――――――――――


 篠宮晴人(しのみやはると)

 職業:なし

 LV:1

 体力18

 魔力0

 筋力20

 素早さ16

 耐性15


 特技:なし

 魔法:なし

 レベルアップ特典:なし――――――――――――――――――――――――




 数分後




 晴人は5人に分けられた班の中にいた。その5人のまえには川崎がいる。



「よし、次に行くのはお前らの番だな。気をつけろ、既に何人かの犠牲者は出ている」



 そう言われ、強張る5人だったが腹をくくり教室の外へ足を踏み出した。



 晴人の班は、晴人を含めた3人の男子と、2人の女子で構成されたメンバーである。それぞれ手には桐生のしたように箒を加工したものや、野球部が持っていた金属バットを握りしめている。



「それじゃあまずは、階段を下って行こうか」



 先導するのは晴人であり他の4人も異論はないようであった。


 息を殺し、ゆっくりと階段を下りていく。彼らがいるのは2年生の棟の三階である。


 そうしてゆっくりと下へ下へと降りて行き、ゾンビに、遭遇することなく一階にたどり着いた。


「にしても、ゾンビいないな」


 そう声を漏らすのは野球部の男である。その意見に晴人も


「確かにな。気配すら感じない」



 晴人はこの状況に嫌な予感がしていた。何故あれほどまでいたゾンビがいないのか。そう考えながら歩く晴人達を背後から観察するナニカがいた。




 ――――――――――――――――――――――――


 数分後



「はぁはぁ、どうだ?だいぶ狩れたんじゃないか?」


 そう息を切らしながら言う男子生徒に、晴人も息を切らしながら答えた。



「はぁはぁっ、そうだな。結構狩ったはずだ」



 ――――――――――――――――――――――――


 篠宮晴人(しのみやはると)

 職業:なし

 LV:5

 体力32

 魔力12

 筋力35

 素早さ29

 耐性30


 特技:なし

 魔法:なし

 レベルアップ特典:物理攻撃強化 身体能力強化

 神からの祝福

 ――――――――――――――――――――――――



 彼らはこの数十分で多くのゾンビを倒すのに成功していた。最初は人と同じ見た目のゾンビを倒すのに抵抗があったが、人間の慣れとは恐ろしいものである。



「ねぇ、そろそろ戻らない?私お腹空いちゃった」



 その女子生徒の言葉で全員のお腹が鳴り出した。



「確かにな、よしじゃあ帰るか!」


 晴人がそう言い、5人が教室を目指し帰ろうとした時だった。ヤツが現れたのは。



 ヌチャ、ヌチャ、と不快な音を鳴らしつつ自分達の元へ歩いてくるそれを見て彼らは思わず目を背けそうになる。



「な、なんだよ、コイツ⁉︎」


 男子生徒のうち1人がそう声を上げる。



 その化け物には、皮膚がなく筋肉が剥き出しになっていた。それだけではなく注意をひくのはその右手である、筋肉に覆われ異様に発達している。



「グギョワァァアア!!」


 咆哮を上げ化け物は晴人達の元へと走りこんできた。その速さは異常であり、誰一人反応する事は出来なかった。


 化け物はその隙を見逃さず、大きく発達した右手を振り上げ、



「えっ?ヒイィ」



 一人の男子生徒を、()()()()()



 辺りに飛び散る血、恐らく即死であろう。その光景を目撃し、彼らの思考は止まってしまう。



 そんな中真っ先に意識を取り戻した晴人が大声で張り裂けんばかりの声で叫ぶ。


「っっ!!ぜ、全員走れぇぇーー!!!!」


 その声により意識を取り戻した3人はすぐさま走り始める。しかし、運悪く1人女生徒が転んでしまう。


「キャ⁉︎い、嫌、死にたくないよぉぉ」



 それを見た晴人は、


「悪い、先行っててくれ」



 他の走るメンバーにそう言い、1人女生徒の元へ走り出していく。



「お、おい!晴人⁉︎」



 呼び止めようとする男子だが、それを女生徒が止める。


「ダメよ、止まっちゃ!今私たちがすべきなのは、戻って川崎にこの事を報告する事でしょ⁉︎」



 大丈夫よ、篠宮君なら。そう男子生徒に告げ、2人はそのまま来た道を引き返して行く。




 ――――――――――――――――――――――――



 ヌチャっとした不快音とともに、女生徒にゆっくりと近づいてくる化け物、それを見た彼女はすっかり腰が抜けてしまっていた。





「い、嫌、来ないでよぉ」



 涙を流しながらそう訴える彼女だが、そんな事はこの化け物には一切関係のない事であった。



 化け物はその右手を振り上げ、まさに彼女を叩き潰そうとする瞬間、その顔をとてつもない衝撃が襲い、化け物は倒れる事を余儀なくされた。




「ふぅ、間に合ったな」


 晴人は金属バットを振り切った体制のまま、そう呟いた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ