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ツゥーオ・コルノイ

 眠気を誘うはずの四時限目の授業だが、今はクラスメイトの全員が私に注目していることが分かる。先ほど「それじゃあ、水津みずさん。この問題を解いてみてくれる?」と言って、私を指名した安藤先生も、自分で黒板に書いた一次関数のグラフをちらちらと何度も見直しており、少し緊張している様子が見て取れる。

 ごく普通の市立中学校のありふれた数学の授業のはずなのに、教室中が妙に静かになった。

 私は教科書に挟んでおいた一枚のトランプ、ピエロが逆立ちをしているジョーカー、を右手でゆっくりとつまみ上げ、静かに机の左端に置いた。そのまま、ジョーカーに向かって語りかけるように口を開く。

「こんなことをしていて、何になるのかしら……。ジョーカーズはもう動き出しているっていうのに、気づいていないのはあなたたちエンラージッド・ブレインの住人だけ。もっとも、ここがカウンター・ワールドだからこそ、あなたたちはこれまで生きてこられただけだけど」

 私を見ている生徒の一人が、隣の生徒と何か話しているのが見える。安藤先生は困った顔をしながらも、私の確信に満ちた話し方に圧倒されたのか、口を挟まない。

「だけど、ジョーカーズが動き出した今、平穏な場所はどこにもないのよ。やつらがマター・ワールド、リッパーズ・ブレードに干渉を始めたということは、じきにカウンター・ワールドであるエンラージッド・ブレインにも影響が現れるということ。そうなったとき、シックスセンスを持たないあなたたちは何ができるの? こんなことをやっていても、ジョーカーズの引き起こす災厄に対して、何も抗えずにただ死ぬだけよ?」

 私が長々としゃべり終えると、安藤先生は何かを感じ取ったのか、私にもう席に着くよう言った。私はジョーカーを教科書に挟みなおし、席について椅子を引く。教室からは

「ただ問題がわからなかっただけじゃないの?」

「水津って成績悪かったよな」

「あんなやつがよくてたまるかよ」

「まあ、あいつ曰く、ジョーカーズが来たら成績なんて関係ない、なんだろうけどな」

「それ言いそうー」

 絶え間なくひそひそ話す声が聞こえていたが、安藤先生が一言、「静かに」と言えば、すぐにおさまった。

 四時限目の数学はそのまま滞りなく終わり、五時限目の理科は、私が指名されずに終わった。理科の先生はもう二ヵ月も私を指名していない。面倒なことになると思っているのだろう。

 私は、下校のベルがなるとすぐに家に帰った。


  ◆


 玄関の鍵を開け、開けたドアをゆっくりと閉めてから、靴をそろえて私は家に上がる。きちんとそろえておかないとパートに出ている母が帰ってきた際に小言を言われてしまう。

 几帳面な正確はおそらく私にも受け継がれているだろう。

 母がパートから帰ってくるまでは、自分の部屋のパソコンをチェックするのが私の日常だ。パソコンが立ち上がると、ブックマークの一番先頭に登録された『ミルキーウェイ』とタイトルのついたページを一番に開く。

「閲覧数……増えてる!」

 嬉しかったので誰も聞いていないのにもかかわらず声が出てしまう。なにせ、『ミルキーウェイ』は私自身が作り出した世界なのだ。

「ジョーカーズは今もマター・ワールドで活動しているのよ。ふふっ、でも彼らに対抗するミルキーウェイの作戦は順調に進んでるわ。今日はミルキーウェイに疑問を感じながらもマター・ワールドからレイヤー・ナビゲーションしてきたヘレネスが、カウンター・ワールドで別のレイヤー・ナビゲーターと運よく出会っちゃうよ。しかもそれが熱血漢タイプの女性! 名前は……アルカでいこう。ミルキーウェイに懐疑的で、ジョーカーズにも半ば諦めているようなヘレネスが、やたらと明るくてジョーカーズをまったく恐れていないようなアルカに出会ったら、ミルキーウェイはどう進展するのか? カウンター・ワールドの住民たちはマター・ワールドからのメッセージを受け取れるのか? うー、楽しみは尽きないわね! とにかくコメントを返していこうかしら」

 我ながら興奮していると思う。だけど、これが興奮せずにいられるだろうか。

 ネットにホームページを開設し、何気なく書いてみた物語が『ミルキーウェイ』の始まりで、以来、私はこのホームページの物語や設定を更新することが何よりの楽しみとなっている。それに、

「こんなことをやっていても、ジョーカーズの引き起こす災厄に対して、何も抗えずにただ死ぬだけよ?」

 私は今日の授業中に自分で言ったことをもう一度言ってみる。言った後、笑う。現実と幻想の狭間に生きている私、水津風香みず ふうか。『ミルキーウェイ』に登場するフューリーという少女は、私自身をモデルとしている星間航行者インターステラー・ナビゲーターだ。過去から解放された彼女は、自由である喜びと共に星間航行を繰り返す運命にある。といっても、フューリーはミルキーウェイやジョーカーズにあまり関わっていないため、エピソード自体はほとんどない。もっとも、その理由は話の大筋から外れているというだけではなく、私自身がちょっぴり恥ずかしいからでもあるのだが。


  ◆


 夜遅くまで『ミルキーウェイ』を更新していた私は、寝不足の目をこすりながら学校へ向かう羽目になってしまった。とはいえ、誰も私に声をかけてはこないので、一向に問題はない。

 私の通う中学校では、水津風香は触れてはいけない存在、『リッパーズ・ガール』として知られている。もっとも、マター・ワールドがリッパーズ・ブレードと呼ばれていることから思いついた、この二つ名は自分でつけたものであるが。

「意外といいかもしれないわね」

 突然声を出したため、近くにいた男子生徒がぎょっとした顔で私の横を通り過ぎた。

 自分で言うのも変だが、私の作った『ミルキーウェイ』の世界はよくできていると思う。そのためかどうかはわからないが、私を取り巻く環境が以前とは大きく異なっていることは事実である。例えば、と考えていたら昇降口に着いた。いつものように私は自分の上履きを取り出そうとする。すると、一枚の紙がひらりと上履きの上から落ちていった。

 四つ折にされたそれを開いて中を見ると、「イタイアマ キモイ」とだけ書かれていた。

 この程度なのだ。私が層間航行者レイヤー・ナビゲーターと名乗り、『ミルキーウェイ』の世界の住民となったことで、気味悪がられたのか、私はそれまでの死んでしまいたいほどのいじめの被害者という立場から逃れることができた。虚構の中に生きるのも、案外悪くないものだしね。


  ◆


 ホームルームが始まるまで、教室の中は妙に騒がしく、チャイムがなると私はその理由を知った。

 クラスの担任である安藤先生が見知らぬ生徒を連れて教室に入ってきたのだ。転校生だ。何人かはこのことを知っていたのだろう。ただ、その容姿を見て、教室の中は主に女子を中心にざわめきたった。

 転校生はすらりとした長身で、いかにもスポーツができそうな爽やかな印象の顔立ちをしていたのだ。

このルックスなら『ミルキーウェイ』に出すときは正統派のイケメンで出すべきなのかなぁ、などとすまし顔で考えていると、転校生が黒板に名前を書き始めた。

 宙野彼方。

 あやうくふき出すところであった。転校生が漢字の横にふりがなをふる。そらのかなた、と読むらしい。何という中二くさい名前だろうか。彼方君は嫌じゃないのかしら。

 クラスメイトのざわめきも先ほどとは違った意味で大きくなったが、彼方君の自己紹介が始まると、それは静寂に変わった。

「はじめまして。宙野彼方です」

 聞き取りやすく、よく通る声だった。『ミルキーウェイ』がもしもアニメ化などされようものならぜひとも起用したいほどの声である。

 彼方君が、趣味はスポーツ全般、特技はピアノと言うと、教室中の女子のテンションが目に見えて上がっているのがわかった。男子は諦めと羨望と妬みが入り混じったような表情をしている。

 すごい人がやってきたものだ。

 品が良く、頭のよさそうな話し方をする彼は、おそらく成績もいいのだろう。私とは対極に位置している彼方君は、自己紹介が終わり、空いている席に座るやいなや、周りの生徒に話しかけられていた。それは授業を始めるからと先生が注意するまで続き、授業が始まっても、彼方君は先生に指名されるとすらすらと問題に答えるものだから、その度に教室中の注目を集めていた。

 全員が眠らずに一時間目の授業を終えるなどいつ以来だろう。その後の休み時間に、転校生の周りに三十人以上が集まることなどこれ以降あるのだろうか。

 彼方君に近づいていないのは私を含めて数人だけで、他の生徒は彼の机の周りに輪を作っている。

 私はその様子をちらりと見て、すぐに窓の外へ目を向けた。私の机は窓際にあるため、大きな窓越しに、太陽の光が注ぐ土のグラウンドと、それを静かに覆う青い空が広がっている。

 私にとっては、いつもと同じなのだ。誰が来ようと層間航行者の私には関係ない。エンラージッド・ブレインの人間がどうであれ、私の役目は他の層間航行者を見つけ出し、共にミルキーウェイを成功させるために、この世界の住人のシックスセンスを発現させること。そんなことを思いながら私は自らが作り出す『ミルキーウェイ』の展開を考える。ヘレネスとアルカの物語、そしてフューリーは次にどこで登場するのか。

いつもこうやって窓の外を見ながら、考えた話がおもしろければ時々クスリと笑い、私の休み時間は終わるのだ。

「君が水津さんだよね?」

 そんな風に物思いにふけっていた私は、聞き取りやすくよく通る男の声によって強引に現実に引き戻された。

「ちょっと、彼方君、その子は……」

 私が振り向くと、彼方君が私を見ていた。その周りには何人かの女子が困った顔をしている。

「彼女がどうかしたの?」

「いや、なんというか、ちょっと……変わってる?」

「あんまりしゃべらないっていうか……」

「でも彼女もクラスメイトなんだろ?」

「そうだけど……」

 周りの女子は言いにくそうに目を伏せたり、さりげなく彼方君に目配せしたりしている。

 だが、彼方君はそれに気づいたのか気づいていないのかわからなかったが、爽やかな笑みを浮かべて話を続けた。

「はじめまして、水津さん。宙野彼方です」

「……はじめまして」

 返事をするのになぜか少し詰まってしまった。

「もうすぐ授業始まるよ、彼方君。席にもどろ」

 彼方君の右隣にいた女子が私を一度睨むように見て、横から口を挟んでくる。

「え、何で? まだ時間あるじゃん」

「なんでって、ほら。あたし、彼方君に勉強教えてほしいから」

 いくら彼方君の頭が良いからといって、転校初日の相手には苦しい理由だ。

 私はなぜだかいらついていた。私はいつも通り、物思いにふけって休み時間をすごしていただけなのに、彼らはその平穏をあっさりと奪い去った上に、私に関係なく話をしているのだ。

 周りの女子は自分の印象が悪くなるのを嫌がり、普段の私のことを言わず、態度にも出さない。彼方君は何も知らずに私に話しかけてくる。所詮、エンラージッド・ブレイン、カウンター・ワールドの人間でしかないくせに。

「あなた、知っているの?」

 私は机の上に置きっぱなしにしておいた教科書を開き、中からジョーカーのカードを抜き出した。周りの女子の顔色がさっと変わったのがわかる。

「あなたたちに宿る、ジョーカーズに対抗するための力、シックスセンス。いまだにあなたたちはそれを発現させていない。ミルキーウェイにはそれが絶対に必要だというのにね。私は世界の危機に際しての、自然発現を期待していたのだけれど、この状況じゃあ私たち層間航行者の介入が必要なのかしら?」

 私はあえて彼方君の目だけを見て話していた。私は触れてはいけない危ない存在、リッパーズ・ガール。はっきりしないこの子たちに代わって、私がそれを転校生に教えてあげる。

 彼方君は二、三回まばたきをした。

 そして口を開いた。

「……見つけた」

 微かな声でそう言うと、彼方君は私の両腕を突然つかんできた。

「君が層間航行者だったのか」

 今度は私が二、三度瞬きをする番だった。

「そうか、そうだったのか……僕は何て運がいいんだ……。星間航行してすぐにリッパーズ・ブレードの人間に会えるなんて」

 彼方君がぶつぶつと何か言っている間、周りの女子は状況がわからず呆然としていたが、私は何とか気を取り直して立ち上がり、彼方君の腕をつかんで、強引に教室の外へ連れ出した。

「ちょっと、どういうつもり!」

「あんた何してんのよ!」

 周りの女子が私の行動を見て騒ぎ出したが、今はそれどころではない。

 私は何も言わずに彼方君を連れて階段を昇り、屋上へのドアを開けて、彼方君を放り出すようにしながら屋上に出た。

 全力で階段を駆け上がったため、私の息はぜぇぜぇとあがっていた。対象的に彼方君は軽く息をついただけで、まったく疲れた様子を見せていない。

「水津さん」

「……何?」

「何って、こっちが聞きたいんだけど」

「いえ、聞きたいのはこっちよ」

 私はドアから離れ、屋上の中央へ向かって歩きだした。彼方君もついてくる。

「あなた、何者なの?」

 私はあえて彼方君の方を振り向かずに尋ねた。

 これは新手の嫌がらせなのだろうか。私のことを誰かが先に彼方君に教えていれば不可能ではない。だが、そうだとすれば先ほどの女子生徒たちと彼方君の会話がおかしなものになってしまう。

「もしかして、警戒しているの? ま、無理もないか」

 私の運営する『ミルキーウェイ』はそれほど知名度が高くない。だからこれまで誰もあのサイトのことを知らなかった。彼方君はあの場所を知っていたのだろうか。そうだとしても――

「層間航行者同士が使う合言葉があるよね。リッパーズ・ブレードで使われていたとても古い言語だから、エンラージッド・ブレインの人は存在すら知らない合言葉。それを言えば信じてもらえるよね?」

 層間航行者は、カウンター・ワールドで同士を見つけた際に合言葉を使って自分を証明する。それは確かに設定として存在している。

「ツゥーオ、コルノイ」

 意味はグッド・ラック。そしてこの設定は、私が現実の世界で一度も口にしていないものだった。

「ミルキーウェイを必ず成功させないとね」

 宙野彼方は自分で『ミルキーウェイ』を読み、その世界の中で暮らしていたのだ。


  ◆


 大変なことになった。

 私は二時間目の授業をろくに聞きもせず、宙野彼方が『ミルキーウェイ』に関する発言をしないか、ずっとはらはらしていた。

 結局、他の人の前では絶対に言ってはいけないと屋上で約束しておいた効果もあったのか、宙野彼方があれ以降に教室の中で変な態度をとることはなかった。それどころか、朝のホームルームと同じように、もうクラスに溶け込み、いつでも誰かと気さくに話しているような人気者となっていたのだ。

 そのような状況だったので、私と宙野彼方は、もうすぐ放課後という今の時間まで一切の会話もなく、私としては、何事も起こらずよかったという思いである。

「じゃあ、今日はこれで終わりね。帰りの挨拶をしましょう」

 安藤先生が言うと、学級委員長が「起立」と言いながら立ち上がって、「礼」と言っている時に下校のベルが鳴り、解散となった。

 掃除当番の人のために椅子を机の上にあげ、私はそそくさとかばんを持って教室の外へ出る。

 宙野彼方のことはどうしても考えてしまう。これまで『ミルキーウェイ』のことを知っている人がいるようには見えなかったし、いるとしてもそれを話してくる人など彼ぐらいだろう。

 私にとって『ミルキーウェイ』は娯楽であり、つらいことから逃れるための避難所でもある。今は楽しさの方が勝っているし、層間航行者あるいはリッパーズ・ガール水津風香という肩書きによって、私は救われたのだ。それが積極的な方向ではないことぐらい、自分でもわかっているけど、私は今の私が幸せであると言える。

 それなら、宙野彼方はどうして『ミルキーウェイ』の世界に生きようとしているのだろうか。私と同じように何かから逃れようとしているのかな。

 あれだけ完璧な人に辛いことなどなさそうだけど。

 そんなことをつらつらと考えながら、下駄箱から靴を出していたものだから、

「水津さん」

 と、例のよく通る声を聞いたときは、思わず声が出そうになってしまった。

 できるだけ平静を装って横を向くと、長身の宙野彼方が、靴を出すために屈んでいる私を見下ろす形で立っていた。

「何かしら?」

「いっしょに帰ろうよ」

 近くにいた同じクラスの女子がぎょっとした表情をするのが見えた。

 こいつは、馬鹿なのだろうか。

「あなた、わかっているの?」

 男子が一人の女子に、いっしょに帰ろうと誘う意味を。しかも転校初日の男子がそれをするなんて、さらに水津風香と宙野彼方は一時間目の後に二人でどこかへ行ってしまったのに。

「わかってるよ」

 いや、わかってない。たぶん違う意味のわかっている、だ。

 絶対にいっしょに帰ってはいけないだろう。どんな噂が立つかわからない。私は学校で面倒事など起こしたくないのだ。

「……嫌よ。まだあなたのことを信用してないもの」

「僕がジョーカーズの者だって言うのかい?」

 真剣な顔で宙野彼方は続ける。

「君の疑いは朝に屋上で晴らしたはずじゃないか」

 その話を蒸し返すな。先ほどから近くにいる同じクラス女子があきらかに聞き耳を立てているのを見て、私は心の中で毒づく。

 どうやらこのやり方ではだめらしい。私はとっさに次の策を講ずる。

「それに、あなたが層間航行者だったとしても、仕事以外で私は他人と関わりたくないのよ」

 てっきり、宙野彼方に仕事の話だと言われるのかと思えば、彼は何も言わずになぜか考えていた。

「そ、そういうわけだから、帰れないの」

「待って」

 そそくさと靴を履いて、歩きはじめようとした私は、宙野彼方に短く呼び止められた。

「何よ」

「君と同じようなことを言っていた星間航行者がいるって噂、聞いたことある?」

「何の話かしら?」

 ここで初めて私は失言したことに気がついた。先ほど私が言った言葉は、過去に『ミルキーウェイ』でフューリーが言った言葉にそっくりだったことを思い出したのだ。

 マター・ワールド間を行き来する星間航行の発見は、同時にジョーカーズのような全世界間に影響を及ぼす組織を生み出し、それまで保たれていた世界のバランスを崩壊させた。そのため、各世界に生まれた星間航行者は、全世界間を守護しなければならなくなったのだ。

 それは、彼らにとって望んだものではなかったが、必要なことであった。

 フューリーは幼くして自身の素質に気づき、孤独な星間航行者としての人生を歩み始めた。彼女の仕事は星間航行者の専用道路ともいえる、スター・ゲートの維持である。そのために彼女は決められた時期に何度も星間航行を繰り返す。スター・ゲートを維持するための方法は、錆びた金属を磨くかのようなこの作業だけであるが、そのために彼女は一つの場所に長く留まれず、たった一人で別の世界へ旅立たなくてはならない。

 だからフューリーは他者と関わるのをやめた。自分は孤独な任務の中で死んでいくのだと考え、他者を排除し、言葉は発さず、発しても冷たく無慈悲なもので、黙々と星間航行を繰り返していた。あることが起こる日までは。

 そのようなことを、もう少しぼかしながら私は書いたのだ。

宙野彼方は考え込んでいた私をじっと見たまま、結局何も言わずに残念そうな表情をして、一人で帰っていった。

 残された私は息を一つつき、少し間隔をあけて昇降口を出た。

 宙野彼方は私がフューリーと似ていると言ったのだろうか。それともフューリーそのものだと思ったのだろうか。

 いずれにしても、フューリーは私をモデルとはしたが、今となっては似ても似つかない。

彼女は『あることが起こった日』を経て、今では自由を愛し、星間航行者としての自分を受け入れ、明るく生きている。私はまだ『あることが起こった日』を書いていないのだが、その理由は、何も思いつかないからなのだ。

 私はフューリーのように自由には生きられない。私と彼女の決定的な違いはそこなのだ。

 転校初日にいろいろとあったものだから、私はそれ以降、宙野彼方の動向に常に目を配るようになった。しかし、その日から週末まで、彼が私に接触してくることは一切なかった。私は少し驚いたが、特に問題を起こさないのならそれでいいと思い、いつも通りに金曜日の下校のベルを聞き、土曜日は家でだらだらとすごし、日曜日の朝を迎えた。


  ◆


 何を思ったのか日曜日の朝七時に目を覚ましてしまった私は、またまた何を思ったのか、外出することに決めた。

 行き先は本屋である。九時から開いている大型のブックセンターなのだが、開店十分前に着いてしまったので、私はしばらく待たされる羽目になってしまった。

 あれこれと『ミルキーウェイ』について考えていると、やっと自動ドアが開き、私と同じように開店を待っていた十数人が中へ入っていった。

 私の一番の趣味はもちろん『ミルキーウェイ』に関わることだが、本を読むこともかなり楽しんでいる。そこから『ミルキーウェイ』の構想やアイデアが生まれてくれば最高だ。

 店頭に積まれた『占い特集』や『自分を見つめなおす』といったコーナーはすっぱりと無視し、私は本屋の奥へ向かう。途中、高校入試の対策過去問集、通称赤本や参考書が並べられたコーナーを横目に見て、少し憂鬱な気分になりもして、文庫本のコーナーへたどり着いた。

 私が読むのはもっぱら小説である。ハードカバーは高いので、文庫となった物のみが家の中に山積している。私は気に入っている作家の新刊を手に取り、パラパラと中をめくってみる。そして本の裏側に書かれた値段を確認する。

 これを何冊か繰り返し、最終的に一冊の本を買うか買わないかを決める。これがいつもの私のスタイルだ。

 五冊目の本をパラパラとめくり、本棚に戻したところで、今日は買わないと決めた。こうなると私はざっと本棚をながめるだけで足早に本屋を出る。

 なので、今日も文庫本コーナーから離れ、出入口へそそくさと向かった。

そして、店頭の『占い特集』の前で私は足を止めることになった。

「あ」

 そこには、宙野彼方が真剣な顔をして立っていたのだ。しかも、手に持っているのは、『血液型から推測する人の過去』などという本を持っている。

「水津さん? 奇遇だね」

「そうね」

 宙野彼方は占いの本をパタンと閉じ、平積みにされた場所にそっと置いた。

「占いとか好きなの?」

 私は少し馬鹿にしたように言う。

「いや、エンラージッド・ブレインの人間について調査するための資料だよ」

「そう」

 言われれば確かに、さきほどの真剣な表情もあいまってそのように思える。しかし私は、宙野彼方の意外な一面を見つけた気になって、少しおかしかった。

「どう? 興味深い事実はえられたのかしら?」

「おもしろい発見があったよ。これを見て」

 宙野彼方は先ほど戻した本を再び手に取り、慣れた手つきでページを開く。

「血液型は性格に関係しないけど、先入観ってあるよね? これをうまく使えればさ、僕たちがこなさなきゃならない任務もうまくいくんじゃないかな」

「どういうこと?」

 宙野彼方は嬉しそうに話す。やっぱり血液型占いとか好きなのか。

「だからさ、エンラージッド・ブレインの人間と良い関係を築くことができるかもってこと。相手の性格を把握するために、血液型の先入観を使うのさ。うまく仲良くなったら、シックスセンスの発現につながるかもしれないし」

 なんとなく強引な理由だ。

「ふーん。私はこちらからの介入は不要と思ってるんだけど。ジョーカーズの危機が、彼らの潜在能力を引き出すと考えられない?」

「そのことなんだよ、水津さん。リッパーズ・ブレードから少し情報を持ってきたんだ。僕以外の層間航行者がすでにこっちに来てることは知っていたから、うまく伝えられたらいいなって思ってたんだよ。そのチャンスがこんな早くに来るなんて、僕はとても運がいいよ」

 宙野彼方が口を開くたび、周りの視線が徐々に冷ややかな、あるいは無関心を装うものとなっていくことがわかる。あ、私の会話もおかしいのか。

「私も新たな層間航行者が来るとは思ってなかったわ。それで、情報ってなんなの?」

「それだけどさ、立ち話もなんだし、外で話そうと思うんだ。いいかな?」

 またしても抜け抜けとそんなことを言うのか。

 この本屋は私の家から近い。それの意味するところは、公立中学である私の学校からも近いということだ。

 私は今こうして宙野彼方と話しているだけで、誰かに見られていないか不安になっているというのに。

「仕事の話だからいいよね?」

 なんなんだこいつは。私なんかに気でもあるのか。それとも、天然でこんな感じなのだろうか。まあ、きっとそうだろう。架空の世界に生きている人間がまともであるわけがない。

 宙野彼方は馬鹿なのだ。まともに取り合っても仕方ない相手だ。周囲を気にしないでいられる性格がうらやましい。同じ世界に生きているはずなのに、決定的に私と宙野彼方は違う。

 にこにこしながら答えを待っている宙野彼方を見て私はため息をつき、なぜかこう言った。

「リッパーズ・ブレードからの情報っていうのは、気になる話ね」

「じゃあ決まりだね」

 宙野彼方は手に持っていた『血液型から推測する人の過去』を再度特集コーナーに戻し、私を手招きしながら出口に向かっていった。


  ◆


 なりゆきで近くのコーヒーショップに入り、私はキャラメル・ラテ、宙野彼方はカプチーノを頼んだ。チェーン展開している店なのでそれほど高くない。

 注文したものが届くと、宙野彼方はリッパーズ・ブレードから持ってきた情報を語った。

 私は、その話を聞いたときから、この前に更新したジョーカーズの動向の話だと気づいていたので、何の驚きもなかったが、宙野彼方はその情報を知ったときびっくりしたらしい。カプチーノに注がれたミルクの泡で、口元を白く染めながらそのときの驚きを表現していた。

 私の書く文章のせいなのだが、宙野彼方は時々、間違った認識をしていた。それについては、私が正しい解釈をさりげなく示していたので、結構長い時間、話し込んでいたことになる。

 宙野彼方の話はあっちこっちに飛び、マター・ワールドの中で最大の力を持つハーモニクスとジョーカーズの争いの話をした後、フューリーの話が始まった。

「――フューリーは今、どこにいるんだろう」

「星間航行者の居場所なんてそうそうわからないわよ」

「そうだけど……フューリーは幸せなのかな」

「さあ……」

 私のそっけない答えを聞き、宙野彼方は続ける。

「久しぶりにリッパーズ・ブレードに来たときは、すっきりした表情をしていたけど、どうしてなんだろう。前はあんな感じじゃなかったよね」

「私はそれまでに層間航行したから、フューリーに会ってないんだけど……彼女が幸せそうならそれでいいと思うわよ」

「星間航行者って大変なんだよね? 僕はフューリーともう少し話がしたかったのに彼女はすぐに別のマター・ワールドへ旅立っていっちゃたんだ」

 宙野彼方はため息をつく。

「僕は、彼女がジョーカーズに入るんじゃないかって思ってたんだ」

 ジョーカーズに? なかなか鋭いじゃないか。

 それは私も考えていた。自分の居場所を見つけられず、孤独に生きていたフューリーにとって、ジョーカーズは自分という存在を見てくれる組織に映ったかもしれないのだ。

「謎だよね、彼女。幸せそうには見えたけど、その理由がわからない……星間航行者って、幸せになれるのかな」

 宙野彼方の独り言のような問いかけに、私は答えなかった。

 私はフューリーに何があったのかを知らないし、星間航行者が幸せになれるかも知らない。私が言えることは、これまで私が書いてきた『ミルキーウェイ』の事実を話すことだけなのだ。

「でも、私たちには関係ないわ」

「あらら、冷たいね、水津さん。本当に昔のフューリーみたいだ」

 宙野彼方の視線がまっすぐ私をとらえていた。

 私は全てを見透かされているような気分になってしまい、さっと目をそらしてしまった。

「宙野くんみたいに軽くない分いいでしょ」

 軽口をたたいて場をごまかしてみる。

「あれ? 僕って軽い? あ、僕のことは名前で呼んでよ」

「そういうところが軽いのよ、宙野くん」

 最後はわざと語気を強めた。

 結局、コーヒーショップでは一時間も過ごし、宙野くんと別れた後も適当にぶらぶらしていたので、家に帰ったのは昼前となっていた。


  ◆


 週明けの学校は特に何事もなく終わった。

 宙野くんも学校では特に何もしてこず、相変わらず女子を中心に高い人気を誇っていた。もう、クラスの中心となっている節もある。

 そんな彼が底なしの馬鹿だなんて、みんな知らないんだろうなあ。私はそんなことを時々考え、心の中で笑う。

 いつものようにほとんど他人と会話することなく、月曜日は過ぎていった。

 しかし、次の日学校に行った私は、下駄箱にあるはずのものがないことに、朝一番に気づくことになった。

「上履きが……」

 下駄箱には六枚の紙が丸められて入れられている。私はもうこの時点で予想がついていた。

 紙は中を開かずごみ箱に捨て、下駄箱の上に放られていた上履きを、掃除のために常備されているほうきを使ってなんとか取る。上履きは泥だらけで、振ると砂がたくさん出てきた。

 おおよそ、教室の中も私の想像と大して変わらないのだろう。

 しかし、私の机は見かけ上は普通だった。机の中には水にぬらした紙くずが詰まっていたが。私は教科書等をきちんと持って帰っているのでそこまでのダメージはない。

 教室の後ろにある、ロッカーに置いていたリコーダーは掃除用具入れにあった。ロッカーの中は一度ひっくり返したようにぐちゃぐちゃになっており、なぜかちりとりを底に見つけた。

 他の人の目が届かない、届きにくいところでの嫌がらせ、常套手段であるが、私はここで気づいた。

 日曜日、私と宙野くんがいるところを誰かに見られていたのだと。その証拠に、宙野くんの周りの女子がこちらをちらちら見ているのがわかる。

 私にとって『ミルキーウェイ』はこれから逃げるための手段だった。でも、今となっては、『ミルキーウェイ』があったから宙野くんと知り合ってしまい、状況は悪化してしまった。もはや私にとって『ミルキーウェイ』は何の意味もなく、ただ私を苦しめるものになってしまった。

 嫌がらせをしたと思われる女子の一人がわざとらしく私の肩をたたくようにぶつかってから話しかけてくる。

「水津さん、ジョーカーズはいつ来るのかしら?」

「ジョーカーズは、来ないわ」

 私は決然と言った。

「彼らはもういないもの」

 その日以降、私はほぼ毎日続けてきた『ミルキーウェイ』の更新をやめた。


  ◆


 私が『ミルキーウェイ』の更新をやめ、今までのような妙な態度をあまり取らなくなっても、もちろん私に対する嫌がらせが減るわけでもなく、むしろ徐々にエスカレートしてきた節もある。

 もっとも、私はもう慣れているからあまり嫌な思いをしないのだが、それ以上に『ミルキーウェイ』を更新しなくなったことによる、日常のリズムの変化が、私にとって大きな違和感になっていた。

 さらに、宙野くんに見かけ上は何の変化もないことも、私にとって驚きだった。彼は普段のように普通の爽やかで好印象な中学生であり続けていた。

 結局、宙野くんも『ミルキーウェイ』は架空のものだとわかっているのではないか。そう考えると、私は何かに負けたような悔しさをなぜか感じていたが、すぐに、架空であることなど当たり前だと言い聞かす。

 所詮、彼にとっても、『ミルキーウェイ』はお遊びにしかすぎないのだ。私よりも深くあの世界にはまっているように見えて、普通の生活もできる。その程度だったのだ。

 そう思うと、なぜか心が軽くなった。リッパーズ・ガールの私や層間航行者の宙野彼方が消えていく感覚。

 その軽さは、どこかに飛んでいってしまいそうなほどのものだった。


  ◆


 週末を迎え、日曜日になると私はなぜか再び本屋に行くことにした。

 特にほしい本があったわけでも、お小遣いがたくさん残っているわけでもなかったが、何気なく足が本屋へ向かったのだ。

 一週間では特集も変わっていない。相変わらず『占い特集』と『自分を見つめなおす』をやっていた。

 先週と同じ光景が私を迎え入れる。しかし私は、すぐに文庫本のコーナーへは行かなかった。

 特集コーナーに宙野彼方がいたからだ。

 私が近づくと、宙野くんは気づいてゆっくりと顔をあげた。

「やあ、また会ったね」

「そうね」

 今日は『自分をみつめなおす』特集の『状況が性格に影響しているんだ!』を手に持って、宙野くんが立っていた。

「……毎週来てるの?」

 私が聞くと、宙野くんは首を振りながら

「いいや、たまたまだよ」

 と答えた。

 私はそれに相槌を打たず、一瞬黙った。そして、ある問いかけをするために、

「宙野くん」

 私は声をかけた。

「私たちは層間航行者で、ミルキーウェイを遂行しなければならないんだけど、もしも、それが全部嘘だったら、宙野くんは明日から何して毎日を過ごす?」

 私はかなり真剣な顔をして言ったと思ったのだが、宙野くんはこちらが何を言っているのか全然分からない、とでも言いたげな、ぽかんとした表情をしていた。

「自分の居場所がなくなるっていうか、やってきたことが全部嘘になっちゃうの。それって怖いことだと思わない?」

 宙野くんはあごに手をあてて、少し考えていた。

「僕たちががんばってもエンラージッド・ブレインの人間がシックスセンスを発現させられないで、ミルキーウェイが失敗しちゃうってこと?」

 真剣な顔で言う。

 全然違うわよ。私が言いたいのは、そういうことじゃないのよ。

「僕は自分がやってきたことが間違いだとは思ってないよ」

 私が何も話さないと、宙野くんは自分から話し出した。

「層間航行者になろうと思うのは確かに勇気がいたけど、僕はジョーカーズを正しいとは思ってないから。だから層間航行者に志願したんだ」

 まるで遠い過去を振り返るかのように話す。演技だとしたら百点満点だ。自分を偽っていると思われる要素が一つもない、自然体だ。

 まさか、本気なのか。

「宙野くん」

 私は再び呼びかける。

「ミルキーウェイを信じてるの?」

「へ? 作戦はジョーカーズに通用しないってこと?」

 思わず頭に手をあてそうになった。

 こちらの話がまるで通じないじゃないか。

 本当の馬鹿なのだ。それも底なしのものだ。話が通じないのは、理解力がないからとか、こちらの伝え方が悪いからとか、そういうことではなく、生きている世界自体が違うからなのだ。

 何度か思ったことがある。宙野くんは本当に『ミルキーウェイ』の中に生きているのではないか、と。それと同時に、何度もその考えを否定してきた。ホームページの中の世界が本当に存在していると考える人間などいないだろう、と。

 だが、私の目の前にいるこの男は、世界にどっぷりつかっていて、自分が間違っているとはまったく思っていない。まさに本物の

「……馬鹿でしょ」

「え?」

「馬鹿なのよ。大馬鹿。前に私の言ったことがフューリーに似てるって言ってたわよね。あなたの方がよっぽど似てるわよ。自分勝手すぎ」

「そう?」

 自分で言ったことに納得した。そうなのだ。宙野くんはフューリーに似ているのだ。私に似ていたフューリーはもういない。今のフューリーは、自由とは程遠い立場にありながら、誰よりも自由を愛し、その中で精一杯に生きている。

「そうよ……もういいわ」

「何が?」

 私の中で何かが吹っ切れた。私は『ミルキーウェイ』の世界を作り出し、そこに逃げ込むことで自分を隠してきた。でも私にとって『ミルキーウェイ』はそのためだけのものだったのか。

 更新をやめてからの違和感は喪失感だ。私は『ミルキーウェイ』の世界に生きる私と、その世界を作り出す私を楽しんでいたのだ。

「さっき言ったことは全部冗談よ」

 宙野くんは当たり前だろうという表情をしていた。

 平凡な中学生の私も、層間航行者の私もどちらも水津風香であることに変わりはない。それなら、それを隠したりやめたりする必要はないどころか、できないじゃないか。

 私は宙野くんやフューリーみたいにはなれないのかもしれないけれど、自分の好きなことを諦めることはしたくなかった。

「作戦会議しましょう。私たちの任務を果たさなければならないわ」

 宙野くんの表情がぱっと明るくなった。まったく、もしもこのまま私が『ミルキーウェイ』の更新をとめ続けたら、こいつはどうなってしまうのだろう。リッパーズ・ブレードからの連絡が絶たれた、などと言って騒ぎ出すのだろうか。

 私はその時の宙野くんを想像して、少し笑ってしまった。

 まあ、今日は久しぶりに『ミルキーウェイ』を更新しておこう。フューリーの物語にぽっかりと空いた、彼女にとって重要な一日を埋めるための、いいアイデアが出てくるかもしれないわ。


(了)

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