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不思議世界   作者: コウサカ火兵
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音楽室の肖像画

 2人は生物室からでてそのまま廊下を突っ切っていく。


 音楽室は生物室と同じB棟2階、中央の階段を対象に反対側にある。


 音楽室へは、生物室方面と違って道中は荒れていなかった。窓ガラスは割れていたものの他には目立った外傷は無かった。


「おい、紗羅……見てみろよ」


 そう言って細川に中を見せる。中は驚くほどに無傷。一切乱れていなかったのだ。

 教室内にある机や椅子、ピアノやドラム、木琴などの楽器、どれも一切乱れていなかった。何処を見ても普段と何一つ変わらない光景だ。


「あら、ここだけ無傷なのね?どうしてかしら?」


「うーん、なんでだ……ここだけ特殊なバリアでも貼られているのかな?」


 笑いながらジョークを言う。すると細川はなにか閃いたかのように指を鳴らす。


「それよ!」


「へ……?バリアの事?あれは、冗談だよ?」


「それは分かってるわよ、でもバリアに近いものはあるわよ。ほら」


 そう言って細川は教室の前方、グランドピアノを指す。一見ただのグランドピアノだ。しかし、細川はこのグランドピアノから謎を解いてみせたのだ。


「ねぇ、西尾。どうして、音楽室にはピアノや楽器があるのに外には音は伝わらないのか分かる?」


 細川は栗柄にそう質問する。しかし、当の本人は突然の質問に答えられず黙ってしまった。


「ブッブー時間切れ……正解は、防音よ」


「防音……そうか、防音用の設計で壁とかが少し特殊な作りになってるのか!」


「そういう事……だけど、それでは三角――いえ、不正解ね」


「え、どういう事だ……?」


 自信満々に答えたのに三角と言う返事に不満を持つ。そのまま細川は得意気に話を続ける。


「さっきの答えではグランドピアノが入ってないわ。どうしてあんな重たいものがあっても平気なのかな?」


「そうか、床もそれ用に頑丈に作られているのか!! さすが、紗羅だな!そこまで見通すとは!」


 大きく腕を振り称賛する。それには細川は顔を赤くして照れている様子だ。


「ちょ…そんな大した事は無いわよ……あ、当たり前のことじゃない……だれにでも出来る…わよ…」


 早口口調になり最後の方で尻すぼみしていたが相当褒められた事が嬉しかったようだ。


 その後、2人は音楽室の中をくまなく探したが何ら異変はなかった――と、思っていたが。


「なぁ、紗羅。おかしくないか?」


「何のこと?特に異変は無いけど……?」


 細川の言う通りこの教室は廊下や生物室に比べて被害が少ない。故に物を探すのには最適だ。そう、物を探すのには。


「そうか!すっかり忘れてたけど、七不思議だよ!」


 2人は、物を探すことに夢中になりすぎて目的の物自体が何なのかを忘れていたのである。この数十分間、2人はただただ無意味に目的も無く──否、目的を忘れ辺りを探していたのだ。


「え、えーと。西尾、何探すんだっけ?」


「いやいや、それ忘れちゃいかんでしょ。ベートーヴェンだよ。ベートーヴェン」


「そ、そうね。ベートーヴェンを探さなきゃ……えーと、確かどこかに絵が飾ってあったはず……」


 2人は天井付近――壁上部を見て回る。上を向きぐるりと探す。


「うぉっ!!」


「きゃっ!」


 上を向いていたため2人は気づかないうちに一周し、ぶつかってしまった。2人は転んだ拍子で倒れてしまったが、その体制のまま話を続けた。


「で、あった?」


「ねぇ、再尾。わざわざ回らなくてもここから見渡せば――」


「まぁまぁ、過ぎた事は別にいいの。で、あった?」


 栗柄は座り込んだ姿勢から細川に近づく。近すぎる顔に顔を赤く染め、それがバレぬよう顔を背けた。


「う、うぅん。無かった…」


「そうかぁ……こっちにも無かったから何処行ったんだ……」


「うーん、何処にあるんだろう…あ、そうだ」


 何か閃いたようで手を叩く。「ズバリ」と前置きをし、栗柄を指で指す。


「ここ、音楽室にも準備室はあるでしょ」


「なるほど、さっきと同じって言う訳か! よし、早速見に行くぞ!」


 2人はそのまま準備室に入る――が、また問題が起きたのだ。


「あ、開かない!鍵が閉まってる」


「……うそ、でしょ」


 細川がドアノブを確かめる。しかし、変わらない。ドアは閉まっていたのだ。――いや、これが普通なのかもしれない。


「ここで開かないとか、無いだろ……」


「じゃあ、さっきのはたまたま開いてたってこと……?」


「そう……だな。普通は閉まってるもんな……」


 いくらドアノブを弄っても開かない。無理に開けようとしたが出来るはずがなかった。2人は途方に暮れ座り込んだ。


「はぁ……どうする?」


「どうするって……諦めるしかないでしょ。他の場所に行くって手もあるんだし」


「そうだな……」


 栗柄はよほど残念だったのか先程から下を向きっぱなしだ。ただただ下を俯いている。


「ほら、再尾。下向かない。別にここで終わるわけじゃないでしょ?」


 栗柄の顔を掴み顔を正面へ向ける。惚ける顔と鋭い眼差しの赤くした顔が向き合う。しばらくの内に栗柄の顔が笑う。


「……紗羅。 うん、そうだな……ありがとう、元気でた!」


「そう、良かった。再尾が元気なら私も嬉しいわ」


「……ふふっ」


「…はははっ」


「…うふふっ」


「…あはははっ」


 2人は互いの笑顔に笑い床に倒れ込む。ただただとても楽しそうに、とても幸せそうに、いつまでも続くかのように――笑顔で笑った。

時間がかかってしまった割に内容がそうでもない…すんません…

ははははははははは

※誤字を訂正いたしました。

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