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不思議世界   作者: コウサカ火兵
1/4

学校のそのまた向こう

ここは一変変わった不思議な世界・・・


ここでは普通なんてものは存在しない


ちょっとした出来事もたちまち大きな、不思議な、物へとなってしまう


そんな不思議な世界──

いや、これが普通なのかもしれない・・・


これはそんな世界での物語である・・・


「ふわぁ〜...眠い...」


「まーた、寝不足ぅ〜?」


「そーかもな〜...ぐぅ...」


「な、寝ただと...!?」


 彼らは、私立 繰目(あやめ)高等学校一年六組の

栗柄(くりから) 西尾(さいお)” と “細川(ほそかわ) 紗羅(さら)”だ。


 栗柄は普段は眠そうにしている。本人曰く、深夜アニメの見すぎで寝る時間が無いそうな。

 そんな彼だがクラスの中ではそれなりに人望はある。学級委員に立候補するも投票で負け、生活委員になったがそれをきっかけに皆と仲良くなった。


 彼女、細川はショートより少し長いくらいの茶髪に小柄な体格、それでおいて元気な事からなかなかのクラスからの人気はある。

 その可憐な姿から告白は度々されるがいつもキッパリと断ってるらしい。理由は明白だ。相手はそれに気づいてないようだが。


 そんな2人は幼稚園時代からの幼なじみというやつだ。2人はとても仲が良いが関係は恋人のそれとは違うようだ。


「おーい、授業始めるぞ〜。席につけ〜。」


「ほら、起きろ〜」


 そういいながら、栗柄の頬をペチペチ叩く。嫌々ながらもしっかりと起きたようだ。



 授業半ば、先生が淡々と授業を進める中細川は


「...今日こそは、こ、告白するんだ...」


 そう思いながら今日も西尾の方をチラ見。分かるように、細川は栗柄に片思いをしている。毎日のように告白を決意をするも最後の最後に勇気が出ず未だに引きずっているようだ。しかも、驚くことにこの思いは小学生からだと言う。


「こら!細川、よそ見するんじゃない!ま〜た赤点ギリギリ取りたいのかぁ〜?」


 慌てて振り返り勢いよく首を横にふる。クラス中で笑いの中耳を赤くさせながら俯いていた。



 授業がそろそろ終わる。先生が少し余った時間で雑談と言う名の自由時間、そんな時に事は起きたのだ。

 刹那、周りが大きく縦に揺れたのだ──地震だ。


 辺りは騒然とした。

 慌てふためく生徒、なんとか冷静に机の下に隠れようとする生徒、生徒以上にビックリして机の下にガッチリと隠れている先生、様々な人で乱れていた。

 そんな中でも栗柄はぐっすりと机の上で寝ていた。


「ちょ、ちょっと起きなよ西尾〜!!起きないってどゆこと!?」


 そう言いながら、必死に自らの頭を抱えながら地震よりも強く揺らす。


 「ふわぁ〜、おはよ。...何かあったの?」


 そう言って目を擦りながら周りを見渡す。


「何があったじゃないの!地震だよ、じ、し、ん!!いくら何でも気づくよね?!」


「え?あ!そういえば揺れてるような...隠れなきゃ。」


 彼は呆れるほど鈍感なのである。


「そ、そうね。とりあえず隠れましょ。どうしてそこまで冷静なのよ...」


 そう言いつつ2人は机の下に隠れる。少し経ち揺れが収まりつつあった。その時間は軽く5分はあっただろう。


 「ぴ、ピンポンパンポーン・・・え、えー生徒の皆さん大丈夫ですか?校長です。先程の地震が少し落ち着いてきたので急いで校庭に避難してくだい。」


が校長からの放送だ。校長の自らのお知らせ音か放送そのものなのかは分からないが、そのおかげか周りの皆が少し落ち着いたようだ。


「もう一度いいます。落ち着いて校庭に避難してください。近くに先生がいる場合は先生の指示に、いないようなら周りのみんなと一緒に避難してください。それでは、お近くの先生よろしくお願いします。」


 そう言って放送は終わった。それと同時に先生が机の下から出てきた。それに合わせて生徒も顔を出す。


「はい、皆さん。落ち着いて廊下に避難してください。出席番号順に一列に並んでください。」


 先生が呼びかけ始めた。生徒は扉に近い人から廊下に出ていく。栗柄と細川の2人は窓側中央の席なので出ていくのには時間がかかった。


「おい、アイツら遅ぇな……なかなか出れないぞ…」


「ま、まぁ並びながらだし突っかえるのも仕方ないよ……ね?」


 栗柄は渋々納得をし、列に並ぶ。


「──38、39、40...先生40名全員います。」


 学級委員が点呼をとってたようだ。


「よし、全員いるな。一年六組行くぞー。みんな“お・か・し・も”を守ってついてくるように。」


 そう言って先生は出発した。


 一年六組のクラスは4階の端だ。端っこにあるが階段はすぐ近くだ。ただ、4階にあるため1階と2階にいる二年と三年が詰まっていてなかなか進まない。また、地震が強くなったら大変だ。


 そう、地震はまだ微弱ながらも続いている。いや、正確には続いてるのてはなく余震が起きているのだ。体感にして震度2から4と言った所だろう。そんなのがさっきから起きたり止んだりしている。


 ずっと揺れているので気持ち悪くなってきている生徒も度々見られる。


「ね、ねぇ西尾。大丈夫かなぁ...ちゃんと無事に降りられるよね?」


 細川が弱々しく話しかけてきた。地震に恐れて腰が引けたのか少し屈んでいて、ずっと袖を掴んでいる。西尾はそれには気に止めず辺りを見渡す。

 気付いたらずっと止まってるせいで名前順に並んだにも関わらずぐちゃぐちゃになっていた。


「うーん、大丈夫じゃない?最初の揺れもそこまで大きいものでもないし。建物にも実質被害は見られないから。」


 彼の言うように、この建物は数年前に耐震工事を行っているため揺れを除く被害が見られないのだ。耐震工事と言うのも今から10年ちょっと前に起きた大規模な地震によって全ての建物に工事を課せられたためだ。

 無駄な事だと思われていたが、それが今回は役に立ったようだ。


「うー、怖いよ〜。てか、なんで西尾はそこまで冷静にいられるのよ!!」


 少々涙を見せながらそう問う。


「いぃや、怖いよ。ただ、そこまでビビりはしないかなぁ〜ははは。」


 軽く馬鹿にするような喋り方をしながら話した。それに対して少し頬を膨らませたが栗柄は気づかなかった。


「ほら、お前らしっかり並べ!列が進むぞー!」


 前が進みだした。どうやら二年と三年を先に避難させたようだ。皆は一斉に階段を降りだした。


「しかしまぁ、4階だから降りるの時間かかるなぁ...たく、二、三年は時間かかり過ぎだよ...」


 そう先生が後ろの生徒に対してそう言いながら階段を降りていく。


「ほんと時間かかりすぎだよなぁ〜。先生もっと早く降りよーぜー。」


 そう言ったのは、出席番号1番の生徒だ。一番前だからなのか先生とは仲がいい。


「そうもいかないんだよ。五組も五組で遅いしなー。まだ若干揺れてんだから早くして欲しいよなー。」


 先生は生徒と雑談しながらゆっくりと降りていく。

 そして、ようやく六組が2階に差し掛かりそうになった時だった。


 ──『ガタガタガタガタッ!!!!』


 また、揺れだしたのだ。それもさっき以上に。

 あまりの大きさゆえ、耐震工事した学校もきしみ始めた。


「せ、先生!!ヒビが!」


 階段の踊り場に立っていた最後尾の生徒がそう叫んだ。

 耐震工事とはいえ建物を頑丈にする工事が故に地震の揺れは抑えられない。

 そう、硬いものほど脆いのだ。あまりにも大きすぎた揺れが建物を崩壊させていく。


 上の階から壁が、窓が、天井が崩れる音が聞こえる。


「このままでは不味い!前の進み具合も悪い。どうしたんだ!」


 下の階への進み具合がさっきより遅い。

 理由は簡単な事だ。この揺れは震度7に匹敵する程の揺れだった。こんな大きな揺れの前には本来なら立つことも困難なのだ。

 しかも、今回は階段だということがありより一層厳しい状況なのだ。生徒は皆、階段の手すりに必死に捕まりながら背を低く慎重に降りていく。そんな時間もないと言うのに。


 ──『パリーン!』


 踊り場の窓が、割れた。

 その割れた窓の破片が最後尾の何人かに当たる。腕などに軽くかすり傷を浮かべている。


「ああぁぁ、痛ぁあああい!!!」


 最後尾の生徒が悲鳴を上げている。大きな破片に当たったようだ。頭から血が流れ落ちている。


「くそっ、待ってろ!今すぐ行く!」


 先生はなんとか必死に階段を上る。とても大変だ、手すりは生徒で埋まってるため掴むところがない。


「待ってろ、今すぐ止血する。」


 先生はポケットのハンカチを取り出し頭を巻いていく。


「簡易的な止血だ。結び目が弱いからしっかり抑えろよ。揺れが収まってきたとはいえこれじゃあ...」


 今回の揺れはだいぶ長い横揺れだ。最初の地震の余震の中で最大だ。


「先生!進んだぞー!」


「しっかりとついて行くんだ。安堂!」


 そう言われてゆっくり慎重に降りていく。


「うぅ...辛いよぉ...西尾ぉ...」


 細川はそう言いながら前の生徒についていく。そして、栗柄が2階についた時だった。


 ──『ガラガラガラガラッ!!』


 建物が本格的に崩れ始めた!3階の床が落ちてくる。壁が崩れていく。その中の瓦礫が栗柄に当たりそうになった──刹那、瓦礫が栗柄の頭上で止まったのだ。


「?!な、なんだ!!?たす、かったのか...?」


 しかし、辺りを見回すと


「お、おいみんなどうしたんだ!なんでみんな動いてないんだよ!」


 そう、瓦礫が止まったのは──世界が止まったからなのだ。


「お、おい紗羅!どうしたんだよ!」


 そう言いつつ思いっきり揺さぶる。栗柄はいくら揺すっても動かない細川を見て徐々に泣き出した。泣きながらも揺すり続ける。その涙が目から溢れ、頬を伝って垂れていき──落ちる。

 落ちた涙が細川に着いた。


 その時、少し光ったと同時に──


「!?...え、あ、な、何が起きたの?!うわっ、瓦礫が降って...こない!?」


 急に動き出したのだ!


「紗羅!!よ、良かったあぁぁ...うっ...」


 泣きながら細川に飛びついた。そのいきなりの行動に驚いて細川は顔を赤くしたが、何かを感じ優しく栗柄を抱きしめた。


 それから幾分か経ち落ち着いてきたころ


「ふむ、西尾の涙が私に当たったら元に戻ったと...じゃあ、みんなに涙を」


「無理だよ!!そんな泣けねぇし、そもそもこんな量無理だ。なにか他の方法があるはず...」


 そういって、2人は考える。すると栗柄が瓦礫を触った。すると、


「おぁ!危ねぇ。落ちてきやがった」


「もう、本当に危ないじゃない。小さかったからまだイイけど…でも、なんで動いたのかしら?」


「……うーん、あれじゃね?浮いてるのを触ったから…とか?」


 適当な考察を言って笑う。細川が呆れて、栗柄から振り返ろうとした時


「!!」


 細川が急に2階廊下の先を見つめる。2階階段前はちょっとした十字がたになっており、階段の先は別棟と繋ぐ渡り廊下になっている。その渡り廊下の先をただただ真っ直ぐと見つめる。


「紗羅、どうしたんだ?」


細川の顔の横に近づけて聞く。咄嗟に我に返ったかのようにびっくりし


「え、いやなんか向こうの方から声が聞こえた気がしただけ...気のせいかな?」


 と、答える。


「そんな訳ないだろ。時間止まってんだし。」


 さぞ当たり前のように栗柄は言った。


「わ、わかんないよ!もしかしたら私達以外の人が──」


「ぁぁぁぁぁ...」


「「ひぃぃぃいいい!!!」」


 かすかに何処からともなく声が聞こえてきた。そんな声に2人はビビって抱き合う。こんな姿はもう彼氏彼女のお化け屋敷内のそれである。


「ちょ、ちょっと西尾変な声出さないでよぉ...」


「な、ちょ、俺じゃないよ!第一あれ、女性の声だろ。だったらお前じゃ──」


「ああああああ...」


「「うわぁあああああ!!!」」


 さっきよりも声が大きくなっている。

 確実に“何か”が近づいてきている。その声はお化け屋敷などの低い、うめき声と酷似している。


「ちょ、今の何なのよ!ま、まさかお化けじゃないよね?!」


 またも半泣きになりながら問う。


「し、知らないよ!うぅ...たく、く、来るなら来いy──」


 そんな時だった


『ウガァァアアアア!!!』


 2人の目の前に、女性が“上から”現れたのだ。その姿はロングヘアーの黒髪に白いワンピースのような装束、肌の色は白く、顔は青ざめており目元や口周りに赤い血のような物が見られる。まるでテレビなどで見る貞子のようだった。


「「うわぁぁぁぁああああああ!!!!!」」


 2人はビビり抱きしめ合っていた体をはなし、後ろへ勢いよく下がっていく。泣きながら頭を抱えしゃがんでいた。そして、次見た時にはその女性の姿は無くなっていたのであった。


「えっぐ...な、何だったのよアレは...うっうっ...」


「お、おばげじゃないのぉ...?うっぐ...」


 2人は大のお化け嫌いなのである。2人で遊園地のお化け屋敷に入ったとき、余りのビビりように入口から戻ってきた事もある。


「な...なぁ、あれっで...ななぶじぎのざだごみだいじゃなかった...?うゔっ...」


 未だに泣く西尾。


「な、七不思議って、あの七不思議...?」


 こちらはもう泣き止んでいる。それはそうと、七不思議と言えば何処の学校にもあったあの七不思議だ。勿論、この学校にもある。少しオリジナルのも含まれているが。


「七不思議って確か...音楽室のベートーヴェンと、理科室の人体模型、校長室の校長の写真、美術室のモナ・リザのレプリカ...あとなんだっけ...?」


「え、えーど...ゔっ...」


 まだ泣いている。さすがの細川も呆れている。


「一旦、深呼吸しなよ...」


 そう言われ、栗柄は深呼吸をする。どうやら落ち着いたようだ。


「ご、ごめんな。それで七不思議でしょ...えーと、動き出す二宮金次郎像と...女子トイレの花子さん...あとは...」


「「校舎裏の井戸の貞子さん!!!」」


 ここ、私立繰目高等学校の本棟校舎の裏には昭和時代の学校の名残として井戸が残っている。50年前に大規模な改装をする時に記念にと残してあるのだ。そして、何時からなのか七不思議の一部に取り入れられたのである。


「て、事はさっきのは七不思議の貞子...ってこと...?」


 当然そうなるなるのは自然な流れである。


「うーん、どういうことだ...お化けの癖にこの時間の中を動けるのか...?一体どうすりゃあ...」


 頭を抱え考え込む栗柄


「...とりあえずさぁ、全部の七不思議の場所行ってみない?さっきのもそうだし、する事もないし?」


「うぅ...怖いけどそうするしか無いかぁ...よし!こう見えても男だ!やってやるぞ!ついてこーい!」


 さっきまでびびってた栗柄が急に威勢よく進みだした。それを見て細川は頬を緩める。


「ふふっ、そうね。行きましょ。...何処までも。」


 最後の方を少し濁して話して、2人は出発した。

今回は初めて書く小説だったので至らない点が多かったとお思いでしょうが、そこは暖かい目で見守ってくださいませ。

軽く見ていたものですが想像以上に大変ですね。しかも、こんなに大変なのにまだこれしか無いという...ほんとプロは凄いですね。

今回は不思議な世界と言うことで色々な事が起きる世界となっております。それ故、ほとんど何でもありと言う状況ですね。

まだまだ続く予定ですのでどうかこれからも読んでくださいませ。

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