白い部屋に居るんだか
馬鹿な二人の話です。
「刺されてるぞ!」
「イヤァアアァアァ!」
胸にナイフが刺さってる死体の横に座り、少女は小さく呟いた。
「嫉妬させようと思っただけなのに……」
〜〜〜〜〜
「ッ!!?!」ガバ!
部屋の端で仰向けに倒れていた青年が、目を開けると同時に勢いよく起き上がる。
「……」キョロキョロ
青年は周りを見渡し何かを探すが、見当たるのは椅子とブラウン管テレビのみ。
「何処だここ?」
青年は落ち着く為に椅子に座ろうとするが、椅子の上に紙が置いてあった。それを手に取り裏側を見るとこう書かれていた。
『やり直したい・やり残した・人生を思い浮かべろ。
それからテレビを見ろ。』
青年が思い浮かべたのは、この部屋に来る前に見た彼女の顔。
それからブラウン管テレビを見つめていた。数分が経ったぐらいに、突然テレビの電源が勝手に付く。
「?」
テレビの画面はただある映像を映していた。それは笑顔の彼女が、駅前で誰かを待ってる姿だった。眩しい程の光がテレビ画面に映し出せれ目を閉じる。
〜〜〜〜〜〜
「隼人どうしたの?!」
あれ、さっきまで何も無い白い部屋で、彼女が映ったテレビを見ていたのに。
「隼人ったら聞いてるの?」
「あ、あぁ大丈夫だよ咲綾」
夢だったのか?
でも痛みが有ったし。
「いきなり倒れたからびっくりしたのよ!」
「すまない」
取り敢えず状況を確認しなければ。えーと日にちは夢の出来事の二日前か。だとすると彼女の相談を受けてる最中だったな。確か相談内容は……
「モテすぎて困るのよ」
そうそうこれだ。
「ほら、イケメンで噂の人からデートに誘われちゃってさ〜!」
彼氏に話す事かよと思うよ本当に。これで「そうか」とか適当に流すと機嫌が悪くなるんだよ。
「もちろん断ったよな?」
「どうしよっかな〜、こんなデートより楽しそうだし行こっかな〜?」
今回は言い返してみるか。
「なら行っていいよ」
「え!?」
「だから行っていいよ」
「……え?」
おーおー、ニヤニヤ顔から一変してこの世の終わりみたいな顔しちゃって。
「い、いいわよ!返事してくるわ!」
バタン!
咲綾が部屋から出てった後、ポケットから小さな箱を出して机の上に置く。
「ふぅ、渡せなかったな」
この相談を受ける前に渡そうと思ったのが、指輪だったが相談内容を聞いた瞬間に渡せなくなっちまった。
「どう渡すかなぁ」
〜〜〜〜〜〜〜〜
次の日。
よし今日こそ渡すぞ、と学校に行く道を歩きながら息巻いていると、目の前に咲綾とイケメンで噂ーー事実イケメンだが女子前だけーーが二人で歩いていた。
それを見た俺は逃げたしたくなるが、逃げたら夢と同じになってしまう、なら聞きに行くかな……
タタタタ
「咲綾ー!」
名前を呼びながら駆け足で行くと、彼女は勢いよくこちらを振り向き笑顔で手を振ってくる。
「あっ隼人!」
「昨日はごめんな、放課g「咲綾、こちらの方は?」
あっ、イケメンのこと忘れてた。
「彼は私の……友達だよ」
「お友達さんですか…彼氏の康也です」
そう来たか……。
「…彼氏さんですか……」
「そ、そうそう」
咲綾の態度がなんか変だ……嫉妬させようとしてるのか…?
「咲綾、放課後いつもの場所で」
「え?わ、分かっt「いつもの場所?」
康也が会話に割り込んで来たが、それを無視して学校に走っていく。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
放課後。
いつもの場所…それはある公園だ。ここは初めて咲綾とあった場所であり、告白した場所でもある。
俺は一人ブランコで揺れて待ってると、彼女が来た。
「は、隼人待った?」
「隣に座って」
咲綾は隣のブランコに座る。
「なぁ」
「何かな?」
俺は立ち上がり咲綾の前に行き、ポケットから指輪が入った小さな箱を取り出す。
「卒業して生活が安定したら結婚しよう」
「ふぇ?」
彼女はかなり驚いているようで、口を開けて固まってしまった。
「駄目か?」
「だ、駄目J「咲綾!やっと見付けた!」
この声は康也くんではないか。なんで割り込んで来るんだよ。
「どうしたの康也?」
「いや、これからデートに行こうかなと思って、探してたところ」
あれ?ガチで付き合ってるのかな?
てか駄目なのか……えっ?じゃあ浮気されてた?
「ははは…あぁ…そうか」
「隼人?」
「ごめんな…さっきの忘れてくれ」
「え?は、隼人何言ってるの!?」
「さっきの?とはなんだ咲綾?」
「じゃあな」
「えっちょっと待って!」
タタタタ
〜〜〜〜〜〜〜〜
夢の日と同じ日。
夢だと今日誰かに刺されるのだがな、今日は部屋を出ない絶対に出ない。と思ってたのに……。
「なんでデパートにいるかな」
そう、部屋に閉じこもってたらいきなり、母親に買い物を頼まれた。嫌だと言ったらエコバッグとお金を持たされて、追い出された。
「まぁいいや、早く買って帰ろ」
〜〜〜〜〜〜
「重い!」
なんだよ米二十キロって。
「早く…帰ろ」
「あっ!隼人ぉぉぉ!」
なんで、咲綾が此処に居る?
それよりすごい形相だな…。
ドス!
「ぐふ…!…なんだ…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
咲綾目線。
昨日はイケメンーー女子の前だけーーのせいで、隼人からのプロポーズが無しになってしまった。
嫉妬させようとなんかせずにすれば良かったなぁ。
「…あっ!」
「隼人ぉぉぉ!」
数メートル先に隼人が居た。昨日のこと誤りに行かなきゃ。
あれ?なんか帽子の男が隼人に近付いて行く。
帽子の男が離れて目にしたのは、隼人の胸にナイフが刺さっていて、隼人が倒れ込むものだった。
「刺されてるぞ!」
「イヤァァァ!」
私は直ぐに倒れ込んだ隼人に近付いて座り込み、ある事を言う。
「嫉妬させようとしただけなのに」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
またこうなったか!
またやり直しだ!
彼のこの三日の記憶を消してっと。
次に彼女の記憶もまた同じように消して。
彼は白い部屋に…そこから始めよう。
よし!彼と彼女が幸せになるまで永遠にね!
読んでいただきありがとうございます。
最後は誰かはご想像して下さい。