【物語】さんまいのぱんけーき 前編
むかしむかし。
あるところにまほうつかいと、その『でし』がいました。
でしは、げんきなおとこのこです。
おとこのこはゆうしゃになりたくてたびをしていましたが、であったまほうつかいのおじいさんがすきになりました。いまは、おじいさんとくらし、まほうのしゅぎょうをはじめるところなのです。
あるさむいひのひるさがり。
おとこのこはまほうつかいから『となりやまのまじょに、とどけものをしてほしい』と、ぱんけーきをさんまいあずかりました。
おとこのこはまじょのいるやまへ、でかけました。
はじめていくところでしたが、すぐにかえることのできるきょりなので、じぶんのにもつはこうちゃのはいったすいとうだけにしました。
とちゅうのみちで、かれはおなかをすかせた、いっぴきのようせいにであいました。ちいさなようせいは、しくしくないています。
おとこのこはかんがえて、ぱんけーきをいちまい、あげました。
ようせいはそれをたべ、げんきにそらへ、とんでいきました。
おとこのこは、まじょやおじいさんへの『いいわけ』をかんがえながら、みちをすすみます。
つぎに、こわいらいおんにあいました。らいおんは「ぱんけーきをくれないと、おまえをたべちゃうぞ!」ぎらぎらしためで、おどしてきました。おとこのこはらいおんにかてないので、ぱんけーきをいちまいあげました。ところが、らいおんは「やっぱりおまえをたべる!」と、おおきなきばをみせてほえました。そうしてすごいいきおいでおそいかかってきたではありませんか。
おとこのこはこわくなってにげました。とにかくはしってにげました。
いっしょうけんめいにげたせいか、きがついたときには、らいおんはいなくなっていました。
あんしんしたおとこのこ、ではありましたが、くらいたにへまよいこみ、つかれてうごけなくなりました。かえりみちもわかりません。
おとこのこはだんだん、おなかがすいてきました。
ふところに、さいごのぱんけーきをもってはいます。
でも、たべたらまじょにとどけることができません。おとこのこはとてもなやみました。
さあ、どうしたらよいのでしょうか?
(つづく)