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専属奴隷

フーボ・ラインベルク5歳。

茶髪の癖っ毛が目立つ太っちょの怠け者。


そんな俺の朝は遅い。

太陽が真上に昇るころに起きると、まだ寝ぼけている俺の部屋に誰かが入ってきた。


「フーボ様。もうお昼です。いい加減起きてください」

「うーん。まだ寝てたいんだけど」


俺を起こしに来たのは、セミロングの銀髪が特徴的な美幼女だった。

名前はルネ。狼の耳と尻尾がある獣人族の女の子だ。


俺の専属奴隷でもある。

一般の奴隷は主人の命令に絶対だが、専属奴隷はそれが主人のためなら命令に反してでも行動できる。

専属というだけあり、主人となる者に一生付き従う奴隷なのだ。

要は、できた忠臣って感じかな。


家にこもってばかりの俺を心配して、父上が身の回りの世話と遊び相手として買ってくれたのだ。


「わがままを言わず急いでください。食堂で旦那様たちがお待ちですよ」


相変わらず真面目な奴だ。

これで俺と同い年のガキなのだから、この世界の子供は早熟だな。


「ルネ〜。足元がふらつくから肩かしてぇ」

「もうっ。今日は大切な日なのですから、おふざけはダメですよ!」

 

仕方ない。

面倒くさいが起きるか。

叱られた俺は、ルネに急かされて食堂へ向かった。



食堂に着き、扉を叩く。


「フーボ・ラインベルクです。ただ今着きました」

「おぉ、やっと来たか。早く入ってきなさい」


渋い声に促がされて扉を開ける。

家族が全員揃っている。

最後に到着したようだ。


「おはようございます。父上」

「おはよう、フーボ。しかし、またそのような格好で来るとはな」


嘆息する父上。

髪をオールバックにしたこの男こそ、俺の今世のオトンで、ラルフ・ラインベルクという。


どうやら、この時間に起きてきたことに文句はないらしい。

まぁ、いつも通りだからな。

父上が言いたいことは、俺がルネにおんぶされて来たことのようだ。


貴族は体面に気を使う。

奴隷で身体能力が高い獣人族とはいえ、女の子のルネに同い年のデブがおんぶされているのは外聞が悪かろう。


「すみません父上。ルネがいいと言うので」

「違います。フーボ様がどうしてもと言うので仕方なくです」

「まぁいい。早く席に着きなさい」


俺とルネのやり取りに呆れる父上。


しっかり者のルネだが、俺に甘い。

総じて犬系の獣人は誇り高いが、主人かできると忠実になる。さらにルネの場合は、世話好きで母性本能が強いらしい。


できる女がダメ男にはまる典型だな。こいつの将来が心配になる。


「いつもありがとうな。ルネ」

「フーボ様は相変わらずです。もっと主人らしくしてください」


そう言うルネの尻尾は左右に振りまくっていた。


まぁ、こんな優良物件を手放すつもりはないがな。

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