ある魔王一行、タイムトラベる
※ 人間界 側近のやらかしちゃった場所? ※
側 近 「あ、やばいかも」
魔 王 「なにが?」
魔具職人「あれ?ここって…」
側 近 「850年前のあの国…です」
魔 王 「時間旅行までしたの?もぉ、観光しすぎだよぅ」
魔具職人「魔王ちゃん、時間旅行なんて、普通できないからね?」
魔 王 「そうなの?ノリでも?」
側 近 「できませんよ、普通に」
魔具職人「こんなことができるのって…」
側 近 「魔界だと、あのお二方くらいでしょうね!」
魔 王 「え、ぼくたち結局嵌められちゃったの?」
側 近 「みたいですよ」
魔具職人「うちのカミサマは性悪だからね」
魔 王 「まぁ、悪魔だし」
側 近 「くそぅ。帰ります」
魔 王 「えっ?なんで?」
魔具職人「せっかくおいしい食事出来るんでしょ?」
側 近 「だから嫌なの!」
魔 王 「意味わかんない…」
魔具職人「あ、そっか」
側 近 「黒歴史を自分で見返すほど、自虐的な気分にもなれないし、落ち着いてられるほど大人じゃな いの!」
魔 王 「え?」
魔具職人「この時代、親バカちゃん現役なんだよね」
魔 王 「えっ、見たい!」
側 近 「やめてください!あぁあ…うぅ」
魔具職人「顔真っ青だよ。大丈夫?」
側 近 「大丈夫じゃないです。もう消えたい」
魔 王 「え、なんで?」
魔具職人「この頃の親バカちゃんは、何歳くらいだっけ」
側 近 「知らない」
魔 王 「650歳くらいじゃない?」
魔具職人「魔王ちゃんとあんまりかわらないね」
側 近 「……っ」
魔具職人「…ん?違うね、もっとちっちゃかったはず」
側 近 「思い出さなくていいよ!」
魔 王 「わぁ!見たい見たい!」
側 近 「見なくていいです!見て楽しいものじゃないから!」
魔 王 「でも、ぼく…ごはん食べたいよぅ」
側 近 「…うっ」
魔具職人「そうだね。食べたいね」
側 近 「でっ、でも!ほら、魔王様は顔を隠さないといけなくなるから…」
魔 王 「あ、そうか」
側 近 「別のとこに…」
魔具職人「はい!」
魔 王 「わぁ!」
側 近 「…色付き眼鏡」
魔具職人「親バカちゃんとお揃いだよ」
魔 王 「ありがとう!」
側 近 「準備がいいね…」
魔具職人「前から欲しいって言ってたの。でも、最近このサイズになんなかったからさぁ」
側 近 「さいですか」
魔具職人「サイデスヨ」
魔 王 「ねぇ、お腹すいたぁ…」
側 近 「うぅ。時期がずれていますように」
魔具職人「それはまずないんじゃない?」
魔 王 「うん。ないよね」
側 近 「うう。はぁあ。うん。よし!じゃあ、行きますか」
魔具職人「あれ、立ち直った?」
魔 王 「開き直りですか?」
側 近 「…ふっふっふ。気付いたのですよ。ようはあの時行かなかった場所に行けばいいんだもん ね!」
魔 王 「あっ!そっか」
魔具職人「でも、それ…場所を覚えていたらだよね?」
魔 王 「へ?」
側 近 「あっ…あぁあぁぁ」
魔具職人「覚えてるの?」
側 近 「覚えてない…」
魔具職人「昔過ぎて、もう伝説みたいなもんだしねぇ」
魔 王 「自分のことなのに?」
魔具職人「う~ん。魔王ちゃん、小さいときのこと覚えてる?」
魔 王 「…小さいとき?」
魔具職人「三歳くらい」
魔 王 「覚えて…るよ?」
魔具職人「例えば?」
魔 王 「ノリが自称大悪魔トリュアデルをシメに行った」
側 近 「それは、あなたが五歳くらいのときです」
魔 王 「だっけ?」
側 近 「はい」
魔具職人「ね、そんなもんだよ」
魔 王 「そっか」
側 近 「しかし、そうなれば…」
魔具職人「とりあえず行くしかないねぇ」
魔 王 「ねー!」
側 近 「…ね」