ある魔王ん家のお客様
今回も読みにくかったら申し訳ありません。
※ 魔王城の一室 ※
勇者「やっと見つけたぞ、魔王!」
魔王「フフフ、勇者よ、よくぞここまでたどり着いたな」
側近(いやーほんとによくぞだよ。城の中で三日も迷子になるなんて予想外すぎる勇者だ…)
姫 「勇者様…!」
側近「あっと、逃げないでくださいよ。貴女を捕まえるのが大変だったのですから」
姫 「くっ…紐で繋がれるなど…!」
側近「普通に縛ってるだけなんで、繋ぐとか変なプレイみたいな誤解受けそうなんで使うのやめてくだ
さい。魔王様がするよりは良心的かと思いますよ?」
勇者「姫君っ!」
姫 「勇者様っ!」
側近「あ、スルー?」
魔王「姫は今宵の見世物の観客じゃ」
勇者「見世物だと…!?」
魔王「そうとも。貴様を儂が捻り潰し、世界から希望を奪うセレモニーじゃ」
勇者「そんなことはさせない!俺が貴様を倒し、姫も救ってみせる!」
姫 「勇者…様っ」
魔王「フハハハハっ面白い。貴様の冒険に終わりをくれてやろう」
勇者「行くぞ!」
カキィン ドゴォッ ガシャーン
側近「あー…。せっかく綺麗に掃除したのに……」
姫 「…余裕ですのね」
側近「何言ってるんですか!普通嘆くでしょう。魔王様に頼まれて二番目に時間をかけてここ綺麗にし
たんですよ?一番時間かかったのは魔王様の寝室ですけど」
姫 「聞くんじゃありませんでしたわ…」
側近「って魔王様何遊んでるんですかっ!」
姫 「勇者様が押していますわ…!」
勇者「俺の勝ちのようだな、魔王!」
魔王「くっ、ここまでとは…!」
側近「ちょっと待ってください何諦めてるんですか!そこは魔王のお約束☆真の姿を見せなさい!」
魔王「えっだって」
側近「だってじゃない!」
魔王「あんな姿見せたら姫に嫌われる」
側近「…安心してください、魔王様。どちらにしろ、これ以上なく嫌われていますから。今更どんな姿
を見せようが、変わりませんって」
魔王「そ、そうかのう?」
勇者「おいまて!それは今しも倒されようとしてる魔王がほっとする話じゃないだろ!」
側近「はいそうですよ。それにですね、負けたら、完璧に整えられた夜の準備が台なしになるんですよ?
嫌でしょう?」
魔王「嫌だ!」
姫 「…最低ですわ」
勇者「そんなことさせるか!」
側近「では、ちゃっちゃかやっちゃって下さい」
魔王「うむ!」
勇者「変身するとわかっていて、大人しく『はいどうぞ』なんて待つと思うか!」
側近「そこは待ってくださいよ。それこそ魔王と勇者のお約束☆というやつでしょう。全く世話の焼け
るやんちゃ坊主たちですね」
勇者「なんだ?動けない!?馬鹿な、魔王の呪縛でさえ打ち破った俺がっ!」
側近「勇者は魔術で押さえてるんで、魔王様早く変身しちゃってくださいよ」
魔王「うむ。……どうだ?」
側近「あ、それにしたんですか。まあいーんじゃないですか?じゃあ勇者解放しますね~」
魔王「…わかった」
勇者「若返った…だと…」
姫 「烏の濡れ羽色の長い髪…。陶磁器のような白い肌……。逞しい体躯…!」
勇者「ってデケェよ!」
側近「えっと、公式設定では190cmですけど、実際は185くらいですよ~」
魔王「……なぜバラす?」
姫 「なんと…恐ろしい……!」
側近「まぁ勇者小柄ですからね。そりゃ怖くも見えますよね。…160あります?」
勇者「余計なお世話だ!162だ!」
姫 「まあ…勇者様は、私と…同じ身長なのですね」
勇者「くっ…!」
魔王「…勇者、待たせたな。殺し合いを再開しよう」
勇者「くそっ。お前の前に姫様たちに大分とどめ刺されたよ!」
魔王「…勇者を倒すのは、魔王の役目。……これ以上余計なことはするな」
姫 「ひっ…鳩の血色の瞳っ」
側近「いや、眼の色はずっと同じでしたよ?っていうかなんで詩的表現するんですか普通に赤でいいです よ?確かに魔王様枯れてたからわからなかったかも知れないですけど。あとわかりましたから睨ま ないでくださいよ魔王様!」
勇者「だが俺も勇者だ!魔王を倒し、姫を必ずや救い出す!」
魔王「…それでこそ、遊びがいがある!我が真の力、存分に思い知れ!」
側近「あー…。またそんなありきたりのテンプレを。もういいですけどね後で恥ずかしいのは魔王様で
すからね?」
姫 「ゆ、勇者様っ!お止め下さいっ」
側近「だから行かないで下さいって!貴女の安全のために戦闘参加出来ない者の気持ちもわかってくだ
さいよ」
姫 「え…私のために、お前を護衛につけてくださったのですか…?」
側近「えっ…?護衛って…まあ不本意ながら危なくなったらそうせざるを得ないんですが…」
姫 「私……っ」
側近「あっ!とかゆってるうちにバトル終了のお知らせが…」
魔王「…どうした勇者?貴様の力はそんなものか?」
勇者「くそっ!さっきまでとは桁違いだ…!」
魔王「…我を倒し、姫を救い出すのだろう?」
側近「魔王様~。早く終わらせてくださいよぉ。仕事溜まってるんですよ!」
魔王「……お前本当空気読め」
側近「黒歴史にならないよう気を使ってるんじゃないですか」
勇者「ぐっ…」
魔王「はぁ…様式美のわからん奴。…というわけで勇者、お別れだ」
勇者「せめて一撃…どうせならば死に際に自爆技でもいれてやる!」
魔王「ほう…。おもしろい。いざ、さらば」