表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある人物が魔王の仲間になるまでの経緯  作者: 幌ぼろ
出会い方だけはテンプレだった
1/87

ある魔王んちの日常

会話文オンリー構成です。

 改行の関係で読みにくいかもしれません。


 ※ 魔王の家〈魔王城〉 ※



魔王「あぁー!」


側近「どうされましたか魔王様阿保みたいに口を開けて」

魔王「阿保とか言うな。仮にも魔王に向かって」

側近「あーはいすいません。それでどうしたんですか?」

魔王「あれを見ろ」

側近「見ろっつったってここ魔王城の最上階ですよ。雲以外なんも見えませんって」

魔王「別に地面を見なくともよい。あれじゃあれ!雲の上ギリギリのやつじゃ」

側近「ええと、あの針の先っちょくらいの黒い点ですか?」

魔王「そうじゃそれじゃ」

側近「伝説の怪鳥に乗った人間ですね。あれがどうかしましたか?」

魔王「いやっていうかあれ、勇者一行じゃないのか?」

側近「んーと、まず勇者に間違いないでしょうね」

魔王「なんでだ?なんかしたか儂?」

側近「こないだ国を一つ潰したでしょう?ついでに、姫を連れ去るなんて魔王テンプレ発動するからで 

   すよ」

魔王「だってかわいかったんだもん」

側近「お願いですから『だって』と『だもん』はやめてください。見た目だけなら枯れ枝の方がまだま 

   しなジジイなんですから」

魔王「煩いわい。さて、どうするか」


側近「ふむ。そうですね

    1勇者に姫を連れ帰ってもらう

    2勇者と姫を亡き者にする

    3勇者を倒した上で、姫を送り返す

    4姫を倒した上で、勇者を送り返す

   以上が最も望ましい対処方法ですね」


魔王「まて。なぜ姫を返すとか殺すとかいう選択肢しかないのだ」

側近「ちっばれましたか。せっかく直接的表現を避けたのに」

魔王「いや、変わらんて」

側近「正直に、申し上げます。脈なしなんですから、とっとと片をつけて日常の政務に戻っていただき

   たいんです!」

魔王「お前がいればなんとかなるではないか?」

側近「ああなりますよ!なんとかしますとも!ですがね、仮にも魔王様ともあろう方が!若い娘の尻を

   追っかけ回している姿を見たっ!部下たちの士気がっ!だだ下がりなんですよ苦情はあなたでは

   なくてこっちにくるんですよ畜生ぅおぉ!」


魔王「……それは」

側近「自覚がないとはおっしゃいませんよねぇまさか?」

魔王「あー。作戦を決めたぞ」

側近「話を逸らしましたね。いいです後で追及しますから。で、なんですか?」


魔王「勇者を倒す」

側近「まあ、一般的です」


魔王「姫の前で」

側近「……嫌な予感しかしませんが、まあ一応理由を聞きましょう」


魔王「勇者って一応人間で一番強いじゃろう?希望とか言うやつなんじゃろう?」

側近「一般的にはそうですね」

魔王「じゃから、目の前でそんな人間が儂に倒されるのを見れば、姫の気持ちも変わろうて」

側近「多分姫は魔王様が生理的にダメなんじゃないかと思わなくもないですが、まあ絶望はするんじゃ

   ないですか?」

魔王「いちいち煩いのう」

側近「どっかの人間の国の悪虐非道男みたいで気に入りませんがまあいいでしょう。勇者も、あの調子

   では到着まで後二日はかかりそうですし」

魔王「せいぜい姫の期待を盛り上げておこうかのう」

側近「えっと!決戦の場所は謁見の間でいいですね!」


魔王「フフフ。期待が大きければ大きいほど、絶望は深くなるものだからな…!」

側近「言いやがったよ案の定だよ捻りのないテンプレだよ嫌な予感したから言わせまいとしたのに!…

   はぁ、では、勇者を迎えるために掃除をしてまいります…」

魔王「おぅ、任せたぞ!姫~!」

側近「早速かい」




 ※ 魔王城の……… ※ 



姫 「なんと…勇者様がいらっしゃると言うのですか?」

魔王「その通りじゃ」

姫 「なぜ…?」

魔王「知らん」

姫 「そんな、危険過ぎます…!」

魔王「二日ほどかかるぞ。ここにつくまでには。助けてもらえるとよいの?」

姫 「そんな…助け、などっ」

魔王「ふ…ほんに気が強いの。それはそれとして、姫よ」

姫 「……」


魔王「いい加減そこから出てきてはどうじゃ?」

姫 「お断りいたします!」


魔王「あー…。じゃが、儂もそちの顔を見たく思うのじゃが」

姫 「私には関係なきこと」

魔王「そうは言っても、そこから一生出て来ないつもりではなかろう?」

姫 「扉の前に変質者がいる状況で、のこのこ外に出ていくほど、私は愚かではありません」

魔王「変質者だと…!?」


側近「こんな場所で個室に語りかけるミイラジジイが変態でなければなんだと言うのですか」

魔王「うぉ!お前いつからおった」

側近「さっきからここを掃除してるじゃないですか。っていうか、あなたはなにをなさっているんです

   かわかりますけど!」

魔王「わかっているならば聞くな」

側近「そういう問題ではありませんよ!姫も姫です!なぜこんなところに逃げ込んだんですかっ」

姫 「普通でしたら殿方の入って来られない不可侵領域だからです!」

側近「普通?うちの魔王様に常識があるとお思いですか?」

姫 「…いいえ」

魔王「お前ら…儂をおとしめて楽しいのか?」


側近「百歩譲って逃げ込むのはよしとしましょう。ですが!それならば一時間以上も立て篭もらないで

   ください!」

姫 「もう二時間になりますわ…」

側近「あぁ…もぅ。いいですか、ここは城に仕えるたくさんの女魔族たちも利用するんですよ?」

姫 「それは…申し訳ございません。ですがっ!出ません!」

魔王「ふん。城の者にまで迷惑をかけるか。姫よ、我が儘が過ぎるようじゃな」


側近「…迷惑をかけているのは魔王様ですよ!」

魔王「何で儂なのじゃ?」

側近「ジジイがっ!女子トイレの中にいたらっ、みんな使えないでしょうがっ!」

魔王「え…だってお前だって掃除…」

側近「完璧エロジジイのあなたとは違ってこっちは決まった性別はないんで別にいいんです。一日交替

   でどっちも使っていますから」

魔王「くっ…」

側近「というわけで魔王様、皆さんの邪魔になってるので退場してください」

魔王「だが…姫が…」

側近「迷惑!です」

魔王「く…!渋々だぞ…」

側近「自分で渋々とか言うとかどこの仔犬キャラですかやめてください」

魔王「くっ…!覚えていろっ」


側近「捨て台詞で走り去るとか…。女子トイレから。はい一秒覚えてましたもう忘れましたお疲れ様で

   したっ」

姫 「…あの、もう魔王はおりませんの?」

側近「はい。追い出しましたから姫も出てくださいね」

姫 「ありがたいですわ」

側近「いえ…それはいいので、早く出てきて下さいませんか?あと、ここでの掃除、そこの個室だけで

   すから…」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ