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わが少年の日々の輝き my brilliant boys days (雑木林編)

作者: 舜風人
掲載日:2011/04/22

私が生まれ育ったのは片田舎である。

しかも昭和38年、私は小学校5年生だった

当時を振り返ってみても、あまりに遠い昔、

我がふるさとは霞の彼方である。

誰も知らない私だけの思い出、

私が死ねばそれとともに消え去る思い出。


その頃我が家の周りは一面の雑木林だった。

その雑木林はずっと行くと出城である古城の遺跡もあったし、村社である、諏訪神社の社殿もあったし、

相当広いものであった。

確かその雑木林の端には群小古墳が一基あったはずだ。もうすっかり突き崩されているが確かに墳丘が残っていて墓室も口をあけている。今でもそれはあるんだろうか?



そのあたりは開墾地と呼ばれていて、村の家並みからも遠く外れて雑木林ばかりの中に私の家(農家)はあったのだった。


村道の先にはもう一軒家があってそれが隣家だった。

さてそんな我が環境では遊びは当然雑木林の中だった。


雑木林は実は楽園だったのである。そこにはなんでもあった。お宝の宝庫だったのである。

クヌギの木にはカブトムシや鍬形虫が樹液を吸っていたし、

あしながはちの巣が下草にはあったし。


子供仲間たちは「遊ぶべえ」というとはやしに出かけるのだった。

まず林の中を押し歩いて小鳥の巣を探すのである。


まさきの木は常緑低木でその木の枝の中には、シジュウカラの巣があった。

細かい小枝をからませた巣が枝の茂みの中にあった。

茶色い卵がいくつかあって、親鳥は留守か我々の物音で逃げたかどっちかだった。

時にはその卵を一個くらい失敬して、味見?もしたりした。

野生児の世界ではあった。


杉の木の実は杉の実鉄砲にして遊んだし、竹はそれで弓矢を作った。

エゴノキはそれでパチンコを作った。


雑木林の中には、秋グミもあって私はそれのしぶすっぱい味がなぜか大好きだった。

低木でトゲのある木だった。

薄紅い実には。白い小さな点々があって、大きさは直径1センチくらい。

ああもう一度食べてみたいなあの実。

だが少年時代以来私はそれを味わったことがないのである。


雑木林グルメにはアケビもあった。絡まったつたの先にアケビがぱっくり口を開けていた。

種だらけのその果肉はマシュマロのようで淡い甘さが口いっぱいにひろがるのだった。


かすみ網というのをご存知だろうか?

今は禁止されてしまったが、当時はそれを鳥道に仕掛けてヒワやカケス、などを捕っていたのである。

勿論少年の私達には無理でそれは大人の猟師が仕掛けるのである。

林には散弾銃の薬きょうもおちていて、今思えば危険だったのであろう。

そんな中を歩き回って冒険を楽しんでいたのだから、。


私達少年にできるのはブッチメを仕掛けることである。

ブッチメとは小鳥を捕る罠である。

作り方はまず適当な低木を見つける。

幹の太さ1.5センチくらいが良い。

それを、まず枝を払い1メートルくらいに切る。

根付いたままである。

それをたわめて弧状にし、別に作っておいた30センチくらいの枝で跳ね橋を作りタコ糸でベロを結んで

その跳ね橋に引っ掛ける。

すると本体は出来上がり、あとは木の枝でその罠の周りを取り囲んで篭状にする。

さあこれで全部出来上がり。

この篭の中には小鳥の好きそうな木の実を入れておく。

すると小鳥がやってきて、跳ね橋に留まりなかの木の実を食べようと中へ入ろうとすると、

跳ね橋に掛かった小鳥の重みでベロが外れて、小鳥は跳ね橋に挟まれて捕まってしまうという仕掛けである。

これは良くつくったものでした。少年には肥後の守(切り出し小刀)が必需品でしたから、作るのは簡単でした。

仕掛けも雑木林の中のめぼしいところにいくつか作っておくのです。

あくる日見に行くと小鳥がクビをはさまれて死んでいるのでした。

また雑木林の中にはこども集団の陣地がありました。


大きな木の下には穴を掘りその上に枝をかぶせて地下室にして枯葉を敷き詰めるのです。、大きな木は樹上に縄で木を結わえて、ツリーハウスを作って見張り台にするのです。

上ると遠くまで林のハズレまで良く見えました。

そこで一日駐屯?してすごすのです。


食料は山柿の実を取って食べたり、野いちごやアケビの実、小鳥の巣の卵などです。

ヤマナシの実もあります。雑木林は食料の宝庫でもありました。

山鳥やキジ、のウサギなども見かけましたが少年たちに捉えることは無理でした。

また林の奥には狐の巣穴やいたちの穴もありました。

夜行性ですから実物は見たことはありませんが、動物達の宝庫でもありましたね。

さすがに、里山ですから、イノシシやクマはいませんでしたが。


当時、メジロ飼いが流行?していて、私もメジロを飼っていました。

今は飼育許可証がいるんですってね?違反すると逮捕だそうです。

昔は野放しです。メジロは鮎と同じにテリトリーがあって見知らぬメジロが来ると追い払おうとするのです。

で、それを利用して竹ヒゴ製の鳥かごに入れたメジロを山中の木の枝につるしておいて

篭には鳥もちを縫った竹ざおを二本立てておきます。

すると野生のメジロ侵入者を追い払おうとして、やってきて竹ざおに止まります。

留まった瞬間鳥もちで足がくっついてつかまってしまうのです。


メジロ取りも楽しみでした。

メジロは薄黄緑色で目の周りだけ白い線があります。小さな可愛い鳥です。

えさは練り餌ですね。あるいはリンゴみかんなどもついばんでたべます。

ハコベも食べます。

鳴き声はそれほどでもありませんが姿は可憐な小鳥です。


さて雑木林は昼間はいいのですが夜は怖いので決していきません、

遠くにきつね火が見えたりすることもあります。


ある日のことです。私達が雑木林に入ったとき、その山道沿いに

干し魚が点々と散らばっているのです。ずっと数百メートルにもわたって、

中には木の枝に魚が引っ掛けてあるのもありました。

一体何事があったのでしょうか?


やがてどこかから聞きつけた大人たちが魚を拾いに集まってきました。

私の母に聞いたところによると真相はこうです。


何でも行商のさかな売りのおじいさんが夕方この山道を通りかかったところ、

道沿いに何人もの客がいて魚を売ってくれ売ってくれというわけでおお売れに売れたのだそうです。

ところがそれは実はきつねに化かされていたのだそうです。

きつねに騙されて魚を全部そこらじゅうに、ばらまかされたのだそうです。


おじいさんはそのままいくえ不明になってしまったそうです。


この話は子供心にも林の神秘性を思い知らされました。

で、昼間以外は決して行かないのです。

昼間は安全な楽しいワンダーランドですから。


でも、雑木林のあまりにも奥へ入ってはいけません。

そこには自殺者の首吊り死体がくぬぎの枝にぶら下がっているからです。



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