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シリーズ「風を悼む」

フロントガラスに溶ける

作者: 暇庭宅男
掲載日:2026/02/18

運がないのか 最初からそうしたかったのか

雪はフロントガラスにあたって 溶けて消える


暖房をつけているからさ 瞬きの間でゆきは溶ける

降り積もるような生きた証を なんて きっと誰もが望むけど 


今ここにある虚空は全部 誰かが生きたその先で

どんな心があったのかなんて 僕にはついにわからない


ねえ 君は迷わなかったのかな

確かめようとして その確かさなんてない現実

ワイパーで除かれた雪だったものに 僕がしてしまったことに慄く


もしも意味がないとしても その先を歩いていけるかな

もしも誰もが気がつかず 別れの言葉もないとして 

明日へ進んでいく意味を 自分で抱きしめられるかな


心を少しだけ強く あるいは 優しくできるなら


フロントガラスに溶けて消える 雪のような誰かの生も

その姿をいつも尊んで 悼むことができるかな


フロントガラスに休みなく 雪があたってまた消える 


そっと閉じた瞼の向こう 雪はぼたぼた死んでいく

「冬の廟所」のバージョン2、小説だとどうしても長ったらしいので今回詩にしてみた。


好きな季節、好きな人の死は悲しむのに、そうでない人間、嫌いな季節の死にはとんと無頓着な自分のことが、たまにものすごく後ろめたくなるときがある。それをどうにか文章で表したかった。


この手の試みは都度都度真剣に始める割にはうまくいかないようだ。

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