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虚像回想  作者: あるぱす
2章 鏡像の復讐者
15/15

記録15 仲直りへの道

梟説は手掛かりになる物を一通り置いて行き、竜人に関することを鬼灯たちに託して帰った後、鉄線が菜依の帰宅パーティーをしたいと言い出し、鳥花の準備した夕食に追加で突然食事の準備をすることとなったのだ。


「いきなり呼びつけて何ですの、鉄線?」


菜依の荷物や、そこら辺に広げられた資料が一通り片付いた頃、料理に専念していた鉄線が自信満々に菜依を呼びつけ、カウンター席に座らせた。


「はいコレ、菜依の大好きな酢束特別メニューお子様ランチ」


そう言って鉄線が置いた可愛らしいクマのプレートにはタコさんウィンナーにエビフライ、ハンバーグと赤丸の旗が差されたチキンライスとお子様ランチの名に恥じない子供が好きな食べ物が盛りだくさんだった。


「あ、これも追加で」


そう言って鉄線が追加で置いた皿にはウサギを模して切られたかわいらしいリンゴが二つ乗っていた。


「.......鉄線、わたくしを子ども扱いしてるんですの?」


気付いた頃には握られていた子供用のプラスチックのフォークとナイフを菜依はぷるぷる震わせており、怒りを漂わせていたが、生憎首にかけられたかわいらしいクマが描かれたエプロンのせいでまるで恐れを感じるものでは無かった。


「え?でも菜依これ大好きでしょ?」


紫色の瞳を丸くし、首を傾げる鉄線に我慢が利かなくなったのか、菜依が叫んだ。


「わたくしもう子供ではありませんの!8歳ですわよ!?レディーの威厳にかけてこんなお子様ランチなんて.....た、食べませんわ」


プイッと顔を背ける菜依だったが、その口からは涎が垂れておりレディーの威厳とやらは一切感じられなかった。


「............もしや反抗期?まだ8歳ってギリお子様ランチ食べると思ってたんだけど.......早くない?」


普段ほとんど表情を崩さない鉄線が珍しく絶望的な顔つきで頭を抱え始めた。

その様子を流石に見かねた鬼灯が、隣で口を開いた。


「菜依ちゃん、お子様ランチは確かにレディーに似合わないかもしれないけど......私的には出されたご飯を何も言わずしっかり美味しく食べる子の方がずっとレディーだと思うけどな~」


そんな鬼灯の言葉に、いつの間にか被りなおしていたベレー帽がピクリと動いた。


「............そ、そうですわね、鬼灯様の言う通りですわ!鉄線、さっきはごめんなさい。やっぱり真のレディーとして、出されたゴハンは何も言わず食べますわ!」


そう言いつつ、幸せそうに凄まじい勢いでお子様ランチをたいらげる菜依に鉄線の暗い表情は吹き飛び、いつもの笑顔に戻っていた。


「ふぅー.....一年前と変わってなくて、安心したよ」


「それは無いですわ、鉄線!わたくし身長伸びましたし、苦手な英語も南極基地の皆と練習して上達しましたのよ!?」


そんな調子で食事を交えながら楽しそうに会話を繰り広げる二人は、本物の家族の様だった。

自分にもあんな頃があったと、想い馳せようとした時、菜依との会話に花を咲かせていた筈の鉄線が突然鬼灯に尋ねた。


「..........あれ?鬼灯ちゃん、鳥花君は?」


言われて周りを見るがどこにもいない。

先程まで全員の夕食の準備をしていた筈だと思い厨房を覗くが、そこには先程まで着けていたエプロンだけが残されており鳥花自身の姿はどこにもなかった。


「上に居るのかもしれません、私ちょっと探して.....」


そう手を振って二階に上がろうとした時、後ろから服の裾を掴まれた。

振り返るとそこには浮かない顔をした菜依が居た。


「多分....わたくしのせいですわ」


その時、先程茶を持って行く時に鳥花が言い放った一言が鬼灯の脳裏に流れる。

─────菜依は、俺の妹なんかじゃない


「あァー.....もしかして、()()まだ引きずってる感じ?」


俯く菜依に対し、何か心当たりのある鉄線は深刻そうに頭を抱えた。


()()を引きずってるって、菜依ちゃんと鳥花くん何かあったんですか?」


「まぁ話すと長いんだけど、今から一年前.....丁度菜依が基地に行くことになる直前ぐらいに些細な事で二人が喧嘩しちゃってね。あの時仲直りしたって言ってたど.....」


「.....ごめんなさい鉄線、アレは、嘘ですわ」


菜依の申し訳なさそうな白状に鉄線は一度軽くため息を吐いたが、鬼灯の方を見ると何かを思いついたのか先程の一瞬浮かべたような深刻な表情ではなく少し口角の上がった顔で口を開いた。


「そうだ鬼灯ちゃん!君が二人の仲を取り持ってくれないかい?」


「でえぇっ!?わ、私ですか?」


「あ、勿論引き受けてくれたら報酬付けるよ。お小遣いアップでも欲しいものでも何でも良いよ~」


それはこの前までホームレス生活をしていた故替えの服も化粧品も十分なほど無い万年金欠の彼女からすればこの上ないほど魅力的な話だ、引き受ける以外に選択肢は無い、がしかし一つ懸念点があった。


「あれ?君なら即答するかと思ったけど、何か躊躇する点でもあるかい?」


「いや、受けたいのはやまやまなんですけど.....そんな鳥花くん達の問題に部外者の私が首を突っ込んでい良いのかなって...」


「え?今君自分の事部外者って言った?」


「い、言いましたけど」


「僕も知らなかった鳥花君の計画も暴いて?しかもなんかついででやろうとしてた自殺も阻止した君が今頃彼の部外者名乗るのは無理あるよ?」


そうかな、そうかも.........

確かにそう言葉に起こされると無理な気がしてきた。

転がり込むようにここに来たとはいえ、気づけば酢束に住むようになって2か月も経っている。

自分が思っている以上に火器女鬼灯は立派な酢束の一員だという事だろうか。


「それなら、まぁ.....」


それでも鬼灯がまだ幾分か迷いを持っていることに気づいたのか、鉄線が追加で何かを耳打ちしてきた。


「正直な所一年以上関係が拗れる喧嘩の原因も僕は完全には把握してないけど相手は幸いなことに鳥花君だ。菜依が素直に自分の気持ちを彼に話して仲直りしたいと言えば簡単に行くと思うんだ。それに彼のそういう所は、君が何より知っているだろう?」


確かに言われてみればそうだ。

あの鳥花が年下の子、それも義理の妹にそっぽをむくなんてよっぽどの理由があるのだろうが、鬼灯がこれまで一緒に戦ってきた彼が本望でそんな事をしているとは思えないし、何より飛燕にあれだけ拗らせていた男だ、今回もどうせ口に出していないだけで何か胸の中に大きな感情を抱えているの違いない。

きっとそれも菜依に対してではなく、自分に対してのだろうが


「よーし!決めました、私二人を仲直りさせる!だから菜依ちゃんもそんなに下向かないで!」


「.....良いのですか?鬼灯様、これはわたくしの問題ですのに.....」


「全然大丈夫、菜依ちゃんは立派だけど、まだまだ子供なんだから私みたいに年上の人に全然頼って良いんだからね!」


そう言って鬼灯が笑いかけると、先程まで俯き、暗い表情を浮かべていた菜依の顔も晴れ、クスクスッと笑った。


「......そうですわね、わたくし大人になる事ばかり考えていましたが、もう少しだけ子供として、皆を頼ってみようと思いますわ」


そうして鳥花と菜依の仲直りを受け持つこととなった鬼灯はその策を考えるべく部屋に戻り、思いついた策を一通り紙に書きあげ、その日は眠りについた。


============================























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「おはようございます、鬼灯様」


寝起きでまだハッキリしない眼をこすりながら階段を下りる鬼灯を出迎えたのはどこかで見た制服の上からぶかぶかの白衣を羽織った菜依だった。


「おはよう、菜依ちゃん。それにしてもその格好.....どこか行くの?」


鉄線から菜依は年齢的には小学校に通っている歳だが、小学校どころか高校大学まで飛び級で卒業しており、南極に行く前は基本的に酢束に籠って研究していたと聞いていたが、このような改まった格好でどこかにいくのだろうか。

そう思慮に浸っていると厨房から聞きなれた声でカウンターに座るよう言われた。


「鬼灯さん、パンケーキをここに置いておく、トッピングは棚の上の物を自由に使ってくれ」


そう言って鳥花はかなり大きなパンケーキを三枚ほど乗せた皿を鬼灯の前に置くと、それから少し間を開け少々サイズが小さくなったパンケーキを同じく三枚の乗せた皿を鬼灯の隣の空いているカウンター席に置いた。


「............あ、鳥花、ありがとうございます」


それが自分の物であると気づいた菜依は気まずそうに鬼灯の隣に座り、フォークとナイフを取った。


「菜依ちゃんトッピング何にする?あ、私のお勧めは王道のメープルバターと少し変わり種のあんバターだよ!」


「ではわたくしはあんバターをお願いいたしますわ!」


鳥花も菜依も鬼灯とは言葉を交わすが、肝心の二人が会話をすることは決してない。

その事に鬼灯は気付きつつも、今はまだ踏み出すタイミングではないと考え、菜依と他愛の無い会話を繰り広げる選択をする。


「そういえば菜依ちゃん亜人の研究してるって聞いたけど、具体的には亜人の何を研究をしてるの?」


「そうですわね、わたくしが主に研究しているのは遺伝構造に関してですわ」


詳しく聞いてみると菜依が特に力を入れているのは様々な亜人の遺伝子解析による起源の追究らしく、sの一環で南極で竜人を研究していたらしい


「そもそも現存する亜人である獣人、魚人、長耳族(エルフ)は皆先祖が純人間であり、そこから進化した存在であると考えられていますのはご存じですよね?」


「あ、うん、それは聞いたことあるよ。だから純人間は劣化種族とか揶揄われたりするって前鳥花くんが愚痴ってた」


「流石です、鬼灯様。ではそうした場合に天使と竜人はどうなんだと考えたことはありますか?」


.....確かに、言われてみればそうだ。

この二体に関しては情報自体がほとんど存在していないと言っていいほどに謎の多い種族だ。

しかし唯一明らかになっている事実としてこの二種族が生まれたとされているのはかなり昔、具体的には他の亜人種が生まれてもいない頃、もっと言えば純人間がいない時代だ。

それからこの二種族は徐々に数を減らしていき、最終的に一握りの古代の純人間が交流を持って間もなく絶滅したとされている。

だからこそ現代に残っている情報は少ないし、手掛かりが存在しない幻の種族なのだ。


「全ての亜人が純人間から進化した存在という説が世間一般論です、しかしこの説は竜人と天使について説明が着かないのです」


「そうだよね、だってその説が本当なら、純人間が現れた後に竜人も天使も出てくるはずだもんね.....」


「となると今度は逆に純人間は天使または竜人から進化した生物なのではないかという説が出て来たり、亜人の秘密は竜人や天使にあると考える人が増えました。しかし知っての通りその二種族は手掛かりがなく、追及は殆ど不可とされていました」


「そこで南極で竜人が見つかった、って事ね」


「はい、これは亜人界における電撃を走らせる出来事でして、それも肉体が残っている物となるとその研究はかなり容易になります。それで慎重に細胞を採取して、遺伝構造を解析して....と言った途中でヴァルキリアの邪魔が入り、あんなことになってしまったのです」


菜依の話を聞く片手間次々とパンケーキを口の中に放り込んでいく鬼灯は口の中にたまった生地を牛乳で飲み込むと、新しく頭の中で浮かんだ疑問を菜依にぶつけた。


「それにしても意外だな。私てっきり竜人を復元しよう!みたいな目的で研究してるのかと思ってた」


「.....そう言う案もあったのですが、実はわたくしが反対し、やめさせましたわ」


鬼灯の疑問に菜依は浮かない顔で片手に握っていたナイフを皿に置き、深いため息を吐いた。


「菜依ちゃんが反対したの?お話聞く限りてっきり竜人と会ってみたいとかあると思ってたんだけど」


「.....勿論わたくしも会ってみたいし、話してみたいですわ。だけれど、2000年以上前に氷の中で眠りについた竜人の立場で考えてみてください。彼女は、2000年越しに突然叩き起こされるのですよ?誰も仲間も居ない、何も知らない世界で突然知らない人間達に叩き起こされるのです。少なくともわたくしは高貴な竜人にそんな寂しい思いをさせてまで会いたくありませんわ」


そう淡々と話す菜依は険しい顔つきで拳を握りしめ、震わせていた。

それ程までに年端も行かぬ少女はヴァルキリアの行った人のエゴを押し付けるような行為を許せないのだろう。


「なんかごめんネ。軽々しく復元しようなんて言って」


「いえいえ!別に鬼灯様を責めたわけでは無いのです!わたくしだって綺麗ごと並べていますが実際は鬼灯様と同じ思いですので!」


慌てて訂正する菜依につくづくいい子だと実感していると、ポケットから音が鳴った。


「ん?......あぁーっ!もうこんな時間!?」


音の主はこの前やっとの事でゲットしたスマホのアラームで、どうやら菜依との会話に花を咲かせている内に学校に行かなければいけない時間になってしまったようだ。


「鬼灯様、洗い物はわたくしがしておきますので、鬼灯様は急いで準備をしてきてください」


「ありがとう菜依ちゃん!」


礼を菜依に述べ、鬼灯は大急ぎで階段を駆け上がると、二階には怪訝な顔つきで仁王立ちする鳥花が居た。


「あれ?鳥花くんそれ私のじゃん」


よく見てみると鳥花の手にはパンパンに膨らんだ鬼灯のバッグが握られていた。


「.....準備しておいた。あの調子だと遅刻するのは目に見えていたからな」


「うわーっ!本当ありがとう鳥花くん!バッグそこ置いといて!私急いでメイクしてくるから!」


そこから自室に飛び込んだ鬼灯は着ていた寝巻を荒々しく脱いでベッドに放り投げるとクローゼットを叩き開け、一瞬のうちに制服に着替えた。

そこから素早くメイクを済ませ、いざ出発しようとした時ぐちゃりと散らかった部屋が目に入ったが帰って来てから片付ければ良いかと考え、階段に置いてあったバッグを取り、時間ギリギリ酢束を飛び出た。


「いやぁー、なんとか間に合った間に合った......って菜依ちゃん!?」


何者かの気配を感じ、隣を振り向くとそこには先程まで共に食事をとっていた菜依の姿があった。


「菜依ちゃんの用事もこっちなの?」


「えぇ、わたくしもこちらなのです!」


何か知らないかと反射的に隣の鳥花にも目を向けるが、無言で目を逸らされてしまった。

その素っ気ない態度の取りように意地が張ってしまった。


「そういえば鳥花くん、もうすぐテストだったよね?私実は生物苦手でさぁ~、なんか生物学に詳しい人とか知らない!?」


後から思い返せばあからさまにも程があるが、この時の鬼灯は何が何でも菜依に関することを鳥花の口から引き出そうとしていたのだ。


「..........生物担当の教師にでも聞いておけ」


怪訝そうに答えた結局鳥花は最後までせっかく取り戻した瞳に菜依を映す事すらなく電車に乗り、学校まで行ってしまった。

鬼灯はそんな鳥花の態度に正直心当たりがあったがそれはまた二人が一緒に居ない場で菜依に告げようと考え、彼と同じく学校まで行った。

勿論その日は遅刻せずに、だが。


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========================


「あら、鬼灯ちゃんじゃない」


どうすれば二人が仲直りできるのかと考えながら廊下を歩いていた鬼灯に声をかけたのは、燃えるような赤い髪に黄色の瞳を持った少女。

先のウリエルとの戦いでかなり世話になった円凧(えんたこ) 水仙(すいせん)その人だった。


「あ、水仙先輩......そうだ!一つ相談したいことがあるんですけど」


一人では解決しない事も仲間と協力すればどうにかなる。

鬼灯はいつか教わった父の言葉を思い出し、水仙に事の経緯を説明し、何か良い方法は無いかと尋ねた。


「ふーむ、そうね。そういう時は無理やりにでも話す機会を用意するのが必要じゃないかしら?」


「無理やりにでも話す機会、ですか?」


「えぇ、その菜依って子と鳥花は長期間にわたって関係がこじれているんでしょう?ならこれ以上は時間による修復力は期待できないし、そういう時は結果の良し悪しは考えずとにかく何らかの形で動きを作る方が効果的よ」


確かに、水仙先輩の言うとおりだ。

以前鳥花くんが一人で兄殺しに向かって走り出した時も武力行使に走って無理やり阻止したあげく、成り行きの説得で何とかなった。

今回の二人も、実際の所大きな壁があるように見えて何か小さなきっかけでもあれば互いに歩み寄れる一歩になるのかもしれない。


「ありがとうございます!水仙先輩」


「礼には及ばないわ、鳥花含め鬼灯ちゃん達にはいろいろとお世話になったから」


また放課後部活で会いましょうと別れを告げたその時、丁度良く始業のチャイムが鳴った。

たしか次の時間は生物、自分の教室での授業だと思い出し、教科書を抱えて教室に戻ると皆が席に着いており、気まずくなりながら急いで席に着くとまるで自分が席に着くのを伺っていたかのようにタイミングよく教室の扉が開いた。


「おはよう学生諸君。突然だが生物の教科は新しい先生が務める事となった」


入って来たのはいつも生物の授業を受け持っているゾウの亜人教師ではなく私たち担任である鳥人族の先生だった。

朝のHRに不在だった為、本日初めて生徒の前に姿を現した担任の目元にはひどく濃いクマが刻まれており、顔は疲れ果てていた。

そんな彼女の様子にクラスがざわめくが、担任はそれを制止し、話を続けた。


「ァー.................かなり困惑するだろうが説明するより見た方が早いだろう。その、入ってください、先生」


担任が呆れた顔で髪の毛をかきむしった後、教室のドアを開けると、今朝聞いたような元気な声が飛び込んできた。


「失礼しますわ!」


「..................は?」


隣の鳥花くんがらしくない素っ頓狂な声を漏らし、その口をあんぐりと明けた。

なぜなら教室の扉から出てきた華奢な体つきに、特徴的な深緑色の頭髪で作られた二つのお団子。

極めつけは床を引きずる程サイズの合っていない白衣。

そんな人物はただ一人今朝一緒の電車に乗り、気づいたら丸ごとっその姿事消えていた─────


「今日から皆様の生物の授業を担当することとなりました。そちらの蕪野鳥花の妹、蕪野(かぶの) 菜依(ない)ですわ!」


慣れない手つきで黒板に自らの名前を書きあげた少女は隣で疲れ果てた我々の担任とは対照的に元気いっぱいに笑顔でピースをした。

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