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第11話 ダンジョンの核



 ダンジョンのエネルギーには限りがある。


 そしてダンジョンリソースはダンジョンの規模によって当然違う。


 大きなダンジョンであればあるほどダンジョンリソースは豊富に存在する。


「シルビアちゃんの言う通り、もうここのダンジョンリソースはゼロだろうね。そもそもこの大きさのダンジョンで『ゴーレムの涙』が二つも出ただけでも凄いことだよ」


「しかも短期間で二つもドロップさせるなんて流石師匠ですにゃ!」


「シルビアは凄いです」


「ぶい」


 ネコとマリーがシルビアを褒める。


 確かに今回のMVPはシルビアなのは間違いないがあまり褒め過ぎると調子に乗りそうだから程々にして欲しい。


「それでこのダンジョンを攻略するってことだけど、ツカサは最奥まで行ったんだよな?」


「うん、このダンジョンは第十五階層が最奥だったよ。まだ攻略するつもりはなかったからボスは確認していないけどね」


「はいはい!ネコが行ってもいいですかにゃ?」


 ダンジョン攻略にネコが立候補する。きっと体を動かしたいのだろう。


「うん、ネコ君なら一人でも問題ないかな」


「それじゃあ行ってきますにゃ!」




「戻りましたにゃ」


 二時間足らずで戻ってきたネコ。


 聞くと道中のゴーレムは全て無視してボスのいる最奥まで駆けていったそうだ。


 そのダンジョンボスだが、ダンジョンリソースが枯渇した影響なのか弱体化しておりあっさり倒せたとのこと。



「これが『ダンジョンの核』か」


 ネコが持つ野球ボール程の大きさの玉。


 『ダンジョンの核』。その名の通りこれがなければダンジョンは形を維持できない。


 本来、中規模以下のダンジョンはドロップの旨みがなく、ダンジョンを残しておくよりもさっさと攻略して『ダンジョンの核』を手に入れた方がいい。


 『ダンジョンの核』は様々なことに利用することができ、主な使い道として多いのは『人造ダンジョン』だ。


 タクトの身近な例では、白金商会にあった装備を試すために使用した場所だ。



 『人造ダンジョン』はその名の通り人工的にダンジョンと同じ環境を再現することができる。ただし、階層やモンスターまでは再現されない。


 それでも安全にダンジョン内と同じ環境で実験や訓練ができることから『ダンジョンの核』の価値はとても高い。


 その重要度からほとんどの『ダンジョンの核』は研究機関や白金商会のような探索者専門の店などに優先して回すため国に買い取られる。


 個人が所有するには厳しい審査や探索者としての実績がないと難しい。




「うん、ダンジョンの消失を確認できたよ。これでここは元通りに使えるよ」


 ダンジョンが消失した部屋は以前の姿のままだった。ダンジョンが発生した場所は攻略されると元通りになる。


 これも使い道のない中規模以下のダンジョンが少ない理由の一つだ。


 資産の乏しいダンジョンをそのままにするよりも大金になる『ダンジョンの核』に変えてしまった方が良いに決まっている。




「ところで、この『ダンジョンの核』はどうしますかにゃ?」


「ネコ君の好きにしてもらっていいよ。タクトもそれでいいよね?」


「ああ、俺もそれで問題ない」


 『ダンジョンの核』はネコのものとなった。


 ちなみにネコとツカサは探索者としての実績などから個人で『ダンジョンの核』を所有することができる。



「皆さんにお願いがあるんですけどいいですかにゃ?」


 ネコがタクトたちに相談を持ち掛ける。


「ネコはこの『ダンジョンの核』を使ってメイド喫茶を開きたいですにゃ。そのために皆さんの力を貸してほしいですにゃ!」


 ネコには夢があり、それは人と従魔が楽しめるメイド喫茶を作ること。


 そのためには『ダンジョンの核』は必要不可欠だった。


 今まで『ダンジョンの核』を手に入れる機会に恵まれずにいたが、今回『ダンジョンの核』を入手できたことで夢への実現に一歩近づいた。




 ネコのお願いとはメイド喫茶を開くにあたり、ツカサには店舗運営に関する相談、シルビア、マリーにはスタッフとして協力してほしいとのことだった。


「ふふん、私の真のメイド力を見せる時が来たようですね」


「僕もやってみたい」


 シルビアとマリーはやる気満々のようだ。


「師匠、マリーさん、ありがとうございますにゃ!」



「ネコ君、バックアップは白銀商会が全力でするから安心していいよ」


「俺は皆みたいに専門的なことはできないけど、手伝えることがあったら言ってください」


「マスターはいるだけで問題ありません」


「シルビア、流石にそれは無理があるんじゃないか?」


「では、私の魔力回復役としてそばにいてください」


「俺は充電器扱いなのか…」


「僕も賛成。タクトの魔力はおいしいから大好き」


「ん?魔力って味があるのか?」


「マリー、その話詳しく聞かせてくれないか?」



 マリーとシルビアによると魔力には味があり、摂取する人間によって味が違うそうだ。


 タクトの魔力は濃厚な甘味があり、ツカサの魔力は淡白な味だそうだ。



「なぁツカサ、これって新発見だよな?」


「大発見だよ、全くタクトといると今までの常識がどんどん変わっていくよ」


 新たな発見にテンションが上がるツカサ。


「あのタクトさん!」


「ネコさん、何ですか?」


「その魔力、ネコの店で売ってみませんか?」




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