表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/13

第10話 幸運値



 ツカサがダンジョンに籠もって一週間。


 その間ツカサの代わりにネコがシルビアたちの動画を投稿していた。


 話せるようになったシルビアは大きな話題となった。


 『ゴーレムの涙』を使用したゴーレムが誕生したのは数十年振りのことで各方面から問い合わせが来たらしい。


 というのもシルビアに関することの窓口はタクトの代わりに全て白金商会が受け持ってくれていた。


 ツカサと白金商会、加えてネコがタクトの後ろ盾についていることで、タクトとシルビアはトラブルに巻き込まれることはなく平穏な日常を過ごせていた。


 ツカサが不在の間は白銀商会の人とも話すことが増え、ツカサの知らない一面を色々と聞くことができた。


 どうやらツカサはゴーレムのこととなると今回のように暴走するのはいつものことらしい。


 そしてその暴走が空回りに終わることまでがテンプレなのだとか。





 その三日後、ツカサがダンジョンから帰還する。成果はというと、


「ごめんマリー、成果はなかったよ」


 ツカサはダンジョン内のゴーレムを倒し尽くしたがドロップは何一つなかった。


 いわゆる物欲センサーというやつだろう。


 ツカサの運の無さは筋金入りで、マリーの『ゴーレムの核』を手に入れたのもタクトが店に来る少し前のことだったと聞く。


 ということはツカサが『ゴーレムの涙』を手に入れるのはいつになることやら。


 一度戻っていたツカサだがこのまま放っておくとすぐにダンジョンに篭ってしまうだろう。


 ツカサに関しては別に放っておいてもいいのだが、マリーのことを考えるとあまり良くないだろう。


 ツカサがいなくても平気だとマリーは言っているが、それは強がりだろうとタクトは感じた。




 そこでタクトはシルビアを連れダンジョンに入ることにした。


 ダンジョンに入るのはまだ二回目だが今度はシルビアと二人だけでの挑戦だ。


 今回は深い階層に行くわけでもないし日帰りなので問題ないだろう。戦闘に関してもネコからお墨付きをもらっている。


 ツカサが休んでいる内にタクトとシルビアはダンジョンに向かう。




 ダンジョンに入るとタクトの後方にイージスが浮かび上がる。


 あれからもイージスの訓練を欠かすことなく続けていたので今では言葉を発しなくても操作できるようになっていた。


 シルビアを先頭にタクト、イージスの順で進んで行く。目標は前回到達した第五階層まで。



 順調に進んで行くタクトとシルビア。


 索敵、戦闘をシルビアが一人でサクサクとこなすため、イージスの出番が全くない。


 改めてシルビアの凄さを再確認したタクト。


 そして気づけば第五階層。


 何度か戦闘をすると、


「マスター、出ました」


 あっさり『ゴーレムの涙』をドロップしたシルビア。


 無事目的を達成したタクトとシルビアはダンジョンから戻る。




「ただいま」


「戻りました」


「タクトさん、師匠、おかえりなさいにゃ」


「二人ともおかえり、それでどうだった?」


「あんなに頑張ってたツカサには申し訳ないがあっさり出たぞ」


 タクトはドロップした『ゴーレムの涙』をツカサに見せる。


「やっぱりタクトは幸運値が高いのかもしれないね」


「幸運値?」


「いわゆる隠しステータスみたいなものですにゃ」


 探索者の能力は鑑定を使用しても確認できるのはスキル位で、ゲームのようにステータスは見ることができない。


 しかし見えないだけで実際にはステータスの様なものは存在しているだろうと思われている。


 アイテムのドロップ率などは運の良さ、通称幸運値が関係していると言われている。



「う〜ん、俺は自分が運が良いとは思わないけどな。でもシルビアを迎えることができたから運が良いのかな?」


「はい、マスターは運が良いです。なぜならこのスーパーラッキーゴーレムメイドである私のマスターなのですから」


 シルビア曰く、自身はスキル『ガチャ』のアイテムから生まれたため幸運値がとても高いのだという。


 そしてそれはマスターであるタクトに対しても適応されるとのこと。


「スキル『ガチャ』にそんな効果があったなんて初耳だよ!タクト、これは大発見だよ!」


 ツカサが興奮気味に言う。


「つまりシルビアのおかげってことか。ありがとなシルビア」


「ふふん、褒めてくださいマスター」


 シルビアの頭を撫でるタクト。




「はい、マリーちゃん」


 マリーに『ゴーレムの涙』を渡すタクト。


「本来ならツカサがドロップしたものを渡した方がいいのだろうけど…」


「それは気にしなくていいよ。僕自身の運の無さは自覚してるからね」


「マリー、早く使いましょう」


 急かすシルビア。




 マリーが『ゴーレムの涙』を使用する。


 シルビアの時と同様にマリーを光が包む。光が収まると、


「皆さんこの度は僕のためにご尽力して下さり、誠にありがとうございます」


 タクトたちにお礼を言い、頭を下げるマリー。



「どういたしましてマリーちゃん」


「マリーは友達ですから当然のことです」


「ネコはお手伝いできて楽しかったですにゃ」


「そうかマリーは僕っ子なのか…、僕とお揃いだね!」


あるじ、気持ち悪い」


 ツカサはいつもの調子が戻ったのか気持ち悪いことを言い、マリーにげしげし蹴られていた。






「タクトとシルビアちゃんには感謝しきれないよ。僕にできることがあったら何でも言ってね」


「こっちも色々してもらってるしお互い様だから気にするな」


 ツカサにはこれまで色々と助けられていることが多い。むしろタクトの方が返しきれないほどの恩がある。



「マスター、一つ報告があります」


「ん?どうしたシルビア」


「このダンジョンなのですが先程の『ゴーレムの涙』でダンジョンリソースがゼロになりました。ですのでダンジョンの完全攻略を推奨します」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ