第五話 「悪女の失態」
私の名前は水瀬桃華。
今年の春に憧れの高校生になったばかりの、ピチピチの女子高生です。
そんな私は突然ですが五月十二日の今日、ひとつ年上の先輩に告白をしたいと思っています。
彼との出会いは高校の入学式。
私が会場で迷子になっていたところを上級生である彼が親切にしてくれたのがきっかけで私は先輩のことが気になりだしました。
それから約一ヶ月、彼に振り向いてもらうために色々と頑張りました。
だけど、彼は私なんかがいくら猛アタックをしたところでなかなか振り向いてはくれませんでした。
それでもどうしても諦めたくない私は生まれて初めて告白しようと決意したのです。
「遅いなぁ……」
放課後、先輩に呼び出しメールを送ってから中庭のベンチに座って待つこと一時間。
メールの返信も無いままに結構時間は経っているので、なんだか不安な気持ちになってきちゃってます。
「先輩、まだ教室にいるのかな?」
彼は毎日のようにアルバイトをしているらしく、基本的に無表情でいつも疲れた顔をしています。
そんな頑張り屋なところも格好いいんですけど、たまに先輩の身に何かが起こっているのかもしれない、と余計な心配をしてしまいます。
居ても立ってもいられず、私は念のために先輩の教室まで行ってみることにしました。
上級生のクラスがある階は何回行っても緊張してしまうんですけど、今は放課後だしあんまり人もいないのでなんとか辿り着くことが出来ました。
「あ、居たっ」
誰もいない教室の席にポツンと座り、独りでどこか遠い目をしている先輩を廊下から無事に発見。
すぐにでも声を掛けようとしたんですけど、扉に手を掛ける直前になって私は躊躇してしまいました。
だって微動だにしてないんですもん。
椅子に背中をピンと立てて座ったまま、ピクリとも動かない様子に素人ながら嫌な予感が過ります。
え、死んでる?
日頃から疲れ切った顔をしている先輩ですが、誰もいない教室でこの時間まで独りで佇んでいるってどう考えてもおかしいですよ。
なんだか、少し怖いですが、もしも万が一のことがあったとしたら大変です。
なので私は勇気を振り絞ることにしました。
「あっ、先輩! こんなところにいたんですか?」
「あ、あぁ、ちょっとボーッとしてた」
恐る恐る声を掛けると、先輩はゆったりとした動作で振り返り反応を返してくれました。
体調を心配していたこちらの不安をよそに先輩の表情は思ったよりも元気そうで、なにより普段はあまり見ることのない笑顔が見えたのでホッと一安心。
元気そうなので、ようやく今日の目標に向けて行動することが出来ます。
「ボーッとって……大丈夫ですか? 先輩、ここのところいつも疲れた顔をしてるのでなんだか心配です」
「大丈夫、大丈夫。水瀬こそこんな時間まで学校に居るなんて、居残りでもさせられたの?」
「先輩……やっぱりメール見てくれてませんね?」
「ん? あー……充電切れてたわ」
私は「もう」と小声で呟きながらこそっと移動して、自分の席に座る先輩のすぐそばへ。
そうすることで放課後の教室で隣り合いで並ぶことが出来ました。
シチュエーション的には悪くはないんじゃないでしょうか?
あとはもう少しそういうロマンティックな雰囲気を出せたら、告白出来そうな気がします。
「ふふ、ならここに来てよかったです。居残りさせられたんじゃなくて、先輩と二人きりになりたかったので」
こ、これは流石に際どかったですかね。
ここまで言ってしまうともう私の気持ちがバレバレな気もしますけど、先輩はかなり鈍感なところがあるのでこれくらいしないと察してはくれないんですよね。
と、恥ずかしさで顔が熱くなっていくのを自覚しながら隣を確認してみると、視線を外して頬を掻く先輩の様子がどことなく照れ隠しをしているようにも見えます。
「霧嶋先輩っ」
「んー?」
「えっと……その……」
いざ、と思うけどその瞬間になると上手く言葉が出てきません。
けど伝えたい……、この気持ちを伝えたい。
昂る気持ちに比例するように無意識にスカートを掴む手に力が入っていき、
「スゥー……わ、わたし、先輩に初めて会った入学式の日から、先輩のことがずっと好きでした。良かったら付き合ってください」
ようやく言えたその言葉。
ずっとずっと言いたくて仕方のなかった私の気持ちのほんの一部分だけど伝えられた……っ!
それだけでも気持ちは満足している。
けど、あわよくばその想いが届いてほしい。
だから勇気を出して私から先輩に視線を交えてみた。
先輩は少し視線をさまよわせた後に再び視線をこちらへと戻した。
「ごめん。気持ちは嬉しいけど、俺は水瀬のことを恋愛対象には見れないよ」
「……っ……そう……ですよね」
けれど、先輩から返ってきた答えは冷たかった。
恋愛対象に見れない……かぁ。
そうですよね……。
私なんかじゃ、先輩の隣には相応しくないですよね……。
そっか。
そっか、そっか。
ていうことは私……振られたってことだよね?
***
その言葉と意味を理解した刹那、私が被っていた天使の皮が内心でバッキバキに剥がれた。
はぁぁーーーー!?
恋愛対象に見れないってどういうこと!?
この私が直々に特別に告白なんてものしてあげたっていうのにあろうことかごめんだとぉぉー!?
ふざけんな! ふざけんな! ふざけんなぁ!!!
微笑みは絶やさず外面こそいつものように完璧でかわいい校内のアイドルの面目を保っているけど、心中は既に憤怒に達していた。
なんなの、なんなの、なんなの!?
桃がこの朴念仁を攻略するためにどれだけの労力を費やしていたと思ってるの!?
関わる接点を作るための演出をして、毎日のように上の階の上級生の教室まで通い、お弁当だって(母親が)三回も作って、その上で一ヶ月近くの時間を掛けて綿密にアピールをしていた。
だというのにこいつは一向に告白してはこなかった。
だからこうしてわ、ざ、わ、ざ、こっちから告白なんて強行手段を取ったのに、あろうことかそれを断るっていうの!?
ふざけんなああああああああぁぁああ!!!
これは由々しき事態だよ!
超究極天下無敵のアイドルであるはずの桃がこんな死んだ目をしたような男に振られた、なんてことが周囲に知れ渡ったとしたら……桃の存在価値は瞬く間に地の底に堕ちる……!
高嶺の花で男に振られたことなんてなく、誰もが求めて止まない存在。
そんな類稀な女王の輝きこそが桃のなによりのアイデンティティなのに。
「それじゃあ、用があるから俺は帰るよ」
「えっ!?」
しかし、そうこうしてる間に霧嶋雫はしれっと立ち上がりさっさか帰ろうとしていた。
桃という美少女に告白されたのに、あろうことか断るだけ断って速攻で帰ろうとしていたのだ。
はぁ!? 頭おかしいのかな、こいつ?
……というか!
勝手に帰られたらやばい! ぐぬぬぅ、こうなったらもう、やるしかない!
このまま帰られてその足で誰かに伝聞なんてされたらそれこそ溜まったものじゃない。
なんとかしなければ。
こんなことならもう背に腹は変えられない。
(……桃華! やるんだな! 今、ここで!)
心の中のもう一人の桃が問い掛ける。
(ああ、勝負は今! ここで決める!!)
桃は(心の中の)内なる戦士にここからの任務を一任することにした。
目下の目標は目の前の朴念仁に即刻交際を認めさせることにある。
進撃の桃華は瞬時に脳内をフル回転させて目の前の男を全力で落とすための策を巡らせた。
この間、二秒!
喰らえぇぇぇえ!!
閃いてすぐ、机の脇からカバンを取り出そうとしている霧嶋雫の制服の袖を急いで掴んだ。
更に歩みを止めた霧嶋雫に向けて間髪入れずに糖度百%の言葉を投げつける。
「私は先輩のことが大好きです! 私のことは今は恋愛として好きではないのかもしれないけれど、私が嫌いじゃないなら付き合ってください! それでもいいから!」
作戦A、都合の良い女作戦!
解説)この作戦によって一時的に恋愛での上下関係は明確に下になるかもしれない。
だが今日さえ乗り切って付き合うことに成功すれば後からどうとでも修正は出来るのだ。
振られたという汚名を無かったことにして且つ、適当なタイミングで「やっぱ付き合ってみたら、ちょっと違うわ」みたいな感じでこっちから振ってやればいいだけよ。
すーぐに虜にして私に一瞬でも大恥をかかせたことを一生後悔させてやる! あっはっはっはっ——
「いや、それ俺にメリットなくね?」
高笑いの最中に返ってきた抑揚のない平坦で無機質な言葉は至極真っ当なものだった。
それを言われてしまうといくら恋愛戦士といえど、返す言葉に詰まってしまう。
「…………」
いや、正論いらんからぁぁ!
恋愛ってメリットとかデメリットとかそういうんじゃないんじゃないの? なんなの?
というか、私と付き合えることがそもそも選ばれし者に与えられた特権だろうが! 傲慢野郎が!
ともかく作戦Aは失敗に終わった。
流石に今まで告白を一度もOKしたことがないことが唯一の取り柄なだけあって、霧嶋雫のガードは思った以上に硬いようね。
真正面からは無理……ならば、と今度は変化球で脇腹から狙うことに。
そこで桃は表情をどこか切なそうなポジショニングにシフトチェンジさせてから斜め下四十五度の角度で顔を俯かせる。
「だって……ひどいですよ、先輩……これだけ私に優しくしておいて……こんなに好きにさせといて、振るなんて……ちゃんと……責任とってくださいよ…………」
作戦B、同情を誘って罪悪感で認めさせる作戦!
解説)健気な想いを漏らしつつ、相手に落ち度があるような語りかけをすることにより、罪悪感を与えると共に「俺が守らなければこの子は不幸になってしまう」みたいな印象を植え付けるという姑息なもの。
流石の朴念仁な霧嶋雫でもこれを受けてまともに立っていられるはずはない。
「…まぁ、弁当を作ってくれたり、優しく声を掛けてくれたことはたしかに感謝してるけど」
ほら、効いてる効いてる! なんてパッと顔をあげてみると、その表情に戦慄した。
「恋愛対象とは違うんだよね」
いやいや、なんかそんな死んだような目で言われると逆に本気で無理感が滲んでくるんですけど!?
え、なんなの?
毎日アルバイトしすぎて感情ぶっ壊れちゃった悲しきケモノなの!?
昨日まではもうちょい手応えっていうか、感情の起伏があったと思うんだけど!?
なんで今日になって急にこんなおかしくなってんのよ!
実際この数週間でたしかな好感触はあったし、霧島雫は絶対自分に惚れていると思いこんでいた。
どこで間違ったのか。
なにがどうしてこんな状況になってるのかも分からないことの連続に脳内パニックを起こしていた。
もう許さないっ!
とうとう桃を本気で怒らせたみたいね!!
これは今までたった一人にしかやったことのない必殺の奥義なんだけど、仕方ない!
こうなったらもう見せてやるわよ!
そう決意した桃はおもむろに両手を両目にセットして、必殺奥義、桃華特製泣き落とし作戦を強行させた。
解説)泣く、以上。
涙は女の最後の武器であるからにして、最強にして無敵の必殺技である。
私がこれを繰り出して、折れなかった者は未だかつていないという(参考対戦相手:パパ)
「……ぐすっ……うええぇぇぇぇえんんん!!」
そして桃は泣いた。
これでもかというほど泣いた。
放課後なので周りの視線なんかも気にせず泣いた。
演技というと少し違うかもしれない。
悔しさと敗北感に自然と涙が溢れ出てきていたのだ。
「うぇぇぇん……ひどい……ひどいよぉ……うええええええええん……ぐすっ……ひっく……」
だけど、泣きながらふと思った。
……これは泣きすぎじゃね?
想定していたような泣き方とはおそらくちょっとズレている気がした。
もっとこう……切ない感じの泣き方で訴えかけようとしてたはずなんだけど…………って、おい!
もう軌道修正のしようもなく路頭に迷いながら涙を流していると、霧嶋雫は奥義を無視してまさかのカバンに手を掛けていた。
というかもう既に帰る気満々だった。
ちょ、ふざけんな!
既にここまでやってしまっているので、流石にもうなりふりなんて構っていられずに霧嶋雫のブレザーの袖を思いっきり掴んでいた。
「…………………………はぁ」
すると、しばしの沈黙の末に霧嶋雫は何かを諦めたような素振りでめっちゃくちゃだるそうに溜め息を吐いていた。
桃相手にそんな呆れたような素振りをすることに対して死ぬほど苛々しつつも、同時にここが千載一遇のチャンスだと思った。
「ぐすっ、好き……ぐすっ……なのに……ぐすっ」
ええ、ここぞとばかりに攻め立てましたとも。
ここまでしてダメだったら、もう私のプライドはボロボロになって死んじゃいそうなので、それはそれは必死に攻めましたよ。
霧嶋雫はそのまま歩き出そうとしてたけど、手の力を全力で込めて引き留めましたとも。
そこまでしてようやく振り返り、数秒こっちを見つめてきたあとに肩を竦めて再びため息をついた。
「……気が変わった。俺も少し水瀬の気持ちを蔑ろにしてたのかもしれない。だけど俺は本当にまだ水瀬のことは恋愛対象には見れないから、」
失礼とか無礼を通り越して最早悪態としか思えない態度に血管がブチギレそうになる衝動をどうにかこうにか抑えて、霧嶋雫の目を上目遣いで見てみた。
「水瀬が良ければ、とりあえずお試しで一ヶ月だけ付き合ってみないか?」
「……っ……!」
その返事は昨日まで想像していた理想の展開とは幾億光年くらいかけ離れたものだった。
けど、絶望だった状況からほんのちょっとだけ光が差した気がした。
「お、お試し……ですか?」
「そう。もし一カ月後にお互い同じ気持ちで好きになることが出来たらそこから本当に付き合うことにしよう」
「い、いいんですか?」
「むしろ水瀬はそれでも良いか?」
霧嶋雫はさっきまでの死んだ目の時とは全く別物の穏やかな雰囲気でこちらに目配せを送ってきた。
桃は溢れ落ちそうだった涙を化粧が落ちないように手のひらで丁寧に拭ってから微笑んだ。
「お、お、お願いしますっ」
…………………………
しゃおらあああぁぁっっっっ!!!
あっぶねえぇぇぇ!
死ぬとこだったああぁぁ!!
まんまと騙されてやんのー!
ばーか!
用が済んだらさっさとポイしてやるからなあ!!
例えるならば、大相撲で土俵際まで追い詰められてからの粘りに粘った上でくるりと巻き返したようなあの手に汗握るような展開からの歓喜。
そうよ、忘れてたわ!
いくら途中で足掻こうとも、最終的には世の中の男は桃の手のひらで踊らされるのが運命なのよ。
「初めに言っとくけど、これは契約だからね?」
「ひょえ?」
と、約束された逆転勝利に心中喜びの舞をしていた最中に霧嶋雫が意味不明な発言をしてくるのでつい素っ頓狂な返事が漏れてしまった。
イケナイ、イケナイ!
冷静に、どんな時でも、外面だけは天使のままに!
慌てて座右の銘的な合言葉を心の中で詠唱させながらすぐさま天使の皮を被り直して言葉を紡ぐ。
「け、契約ってどういうことですか?」
「何事もなぁなぁにするのはよくないからね。ここはきっちりと今日から、丸々一ヶ月経っても俺の気持ちが変わることが無ければそこで関係はきっぱりと終わろう」
「……関係を終わるってどういうことですか?」
霧嶋雫は至って真面目な顔で言っていたけど、桃にはその意図がよく分からなかった。
というよりも何よりも、そもそもの前提の例え話の時点でカチンと来ていた。
はぁ? こいつ下手に出ればどんだけ上から目線なのよ。
私と一ヶ月恋人として付き合って好きにならないわけないだろーが! ホモかよ!
そんな内心を知ってか知らずか霧嶋雫はムカつくほど淡々と話を続けてくる。
「文字通り終わりだよ。そこから二度と関わることはないし、近づくことも後腐れもなく縁を切るってこと」
苛々しながら話を聞いていたんだけど、その内容をよく理解してみるとそれは願ってもない契約だった。
ふーん? なにそれ? ……逆に最高じゃん!
今日振られた事実はなしに出来るし、しかも一ヶ月経ったら心置きなく捨て去ることが出来るなんて桃的にお得すぎでしょ!
そんな美味すぎる契約? みたいのに乗らない手はあるわけない。
「うぅぅ……私としてはそういうのは本当はしたくないんですけど、先輩がそれが良いなら、ちょっと嫌だけど受け入れます。先輩に好きになって欲しいので」
むしろ、あとで契約を取り下げろって土下座してきたとしてもしてやんねーよーだ!
我ながら器用に取り繕いながらの本音と建前の使い分けはまさにプロ顔負けの手腕だと思う。
まぁ、相変わらず霧嶋雫はあんまりしっくり来てないようなヘンテコな顔をしてるけどね。
「じゃあ、その条件だけは何があっても絶対に遵守すること! これは絶対の約束だからね!」
私的にはそんなこと別にどーでもいいことだったけど、どういう訳かそのことに関して敢えて強調するようにしているみたいだった。
ま、地獄から天国に舞い戻った気分の私には最早そんは些細なことなんてどうでもいいけどね。
「はい……約束……します」
「よし、ならこれで契約成立。これから宜しくね」
「……? よ、よろしくお願いします、先輩!」
最後らへん、なんだか急に狐に摘まれたような感じで釈然とはしないけど、とりあえず振られて終了という窮地は凌ぐことが出来た。
「つーことで今度こそ俺はもう帰るよ」
「あ、先輩っ! これを!」
相変わらず風のように帰ろうとする霧嶋雫の手に連絡先の書いたメモ書きを握らせることにより、上手いことこれからの布石を残して解散をすることに。
ふふっ、今日はこのくらいで勘弁してあげる。
と、颯爽と帰ろうとしている霧嶋雫の後ろ姿を見ながら不敵な笑みを浮かべていたら、彼はふと立ち止まり思い出したように振り向いた。
「あ、もうひとつだけいい?」
「はい」
「この一ヶ月の契約期間はお互いが納得していない場合は途中で解約するのはなしね。もし破ったら俺は今日あったことを包み隠さず周りに広めるからね」
と、最後に聞き捨てならない台詞をぼそりと捨て去るように呟いて帰っていった。
はあぁぁぁ!?
あんの男ぉぉぉお。
こっちが下手になってたら舐め腐りやがってぇぇええ!!
絶対、惚れさせる! 絶対、絶対惚れさせる!!
惚れさせて屈服させて、メロメロにさせてから、ボロ雑巾のように捨ててやる!
こうなりゃ、戦争だぁぁぁあああああ!!!
——そうして、五月十二日。この日から桃と霧嶋雫による長いようで短い恋愛戦争が始まった。