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第九章 モノボリさん…病気?

  携帯を受け取った最初の夜、僕は本当に真剣に携帯の画面を見つめ続けた。モノボリさんからのメッセージを一つも見逃さないように、と心配していたから。

  でも、午前 2 時まで彼女からのメッセージは一つも来なかった。

  「こんなに遅くまで、もう彼女は寝てるよね。」

  そう思って、僕は携帯を枕のそばに置いて、徐々に眠りについた。そして、朝の6 時までぐっすり眠った。

  今日は金曜日だ。今日の授業が終われば、明日から週末だ。

  この週末に開催される保護者会には、僕の保護者もモノボリさんの保護者も参加できない。

  「やっぱり、まだメッセージはないか。」

  目が覚めた最初のことは携帯を開けることだったが、やっぱりモノボリさんからのメッセージはなかった。

  「やっぱり、僕から最初のメッセージを送るべきかな?」

  僕は知っている。女の子は大抵控えめで、普通は自分から異性に友好や親しみを示すことはしない。

  でも、モノボリさんが控えめだからメッセージを送らないのではなく、単純に送りたくないのかもしれない。

  もしそうなら、僕がメッセージを送ったら、逆に彼女を邪魔することになるかもしれない。

  やっぱり、しばらくこのことは忘れよう。

  服を着替え、洗面を済ませてから、僕は家を出ていつもの朝食店で朝食を食べてから学校に向かった。

  やっぱり、午前中のことはいつもと変わらなかった。僕も気づいたが、他の生徒がいる場面では、モノボリさんは決して僕とあまり交流しない。ほかの生徒がいないときに限って、彼女は僕と普通に話をする。

  すぐに昼食の時間がやってきた。ここで一つ言っておきたいのは、僕の昼食は全部自分で前の晩に作っているものだ。

  そうだ、僕は料理ができる。これが意外に思われるかもしれないね。なぜなら、僕が見てきた限りでは、僕の年齢の多くの人がまだ料理の仕方を知らないから。

  でも、これは仕方のないことだ。もし自分で料理ができなければ、常に食べ物がない危険にさらされることになる。

  だから、これは決して羨ましいことではない。

  モノボリさんは昨日、これからも僕と先輩と一緒に昼食を取りたいと言っていた。それはつまり、まず彼女が一緒に昼食を取るために他のクラスメートから隠れる必要があるということだ。だから、午前中最後の授業のチャイムが鳴るとすぐに、彼女は弁当を持って後ろのドアから急いで飛び出していくのだ。

  こうしないと、彼女は誰にも追跡されずに無事にあの古い教室にたどり着くことができない。

  そう考えると、モノボリさんも可哀そうだな。僕とは違って、堂々とゆっくりと歩くことができないのだから。

  ああ、まったく、よく考えると、可哀そうなのはやっぱり僕かもしれない。

  でも、旧校舎の教室に着いたとき、モノボリさんが机の上に弁当を置いてあるのを見ただけで、彼女自身は見当たらなかった。

  「え?モノボリさん、ここにいないの?」

  僕は少し戸惑って独り言を言った。

  「彼女は先に弁当を置いてから、急いで出て行ったわ。何があったのか言わなかったけど。」

  先輩がそう答えた。

  「そうなんだ。何か困ったことでもあったのかな。」

  僕は携帯を取り出して、モノボリさんにメッセージを送ろうとした。その時、リビダ先輩が僕の携帯に気づいて聞いてきた。

  「え?携帯持ってないって言ってなかった?」

  「あ、これは……」

  なぜか、本当のことを言おうとしたのに、言葉が詰まってしまった。

  もし先輩にこの携帯がモノボリさんからの贈り物だと言ったら、どう思われるだろうか?

  彼女は僕とモノボリさんの関係を誤解するだろうか?それとも、僕が携帯すら自分で買えない哀れなやつだと思うだろうか?

  「まあ、言わなくてもいいわ。」

  僕が何も言わないままでいると、先輩はそう言ってくれた。

  「え?本当に?」

  「もちろん。嘘を聞くより、何も聞かない方がいいから。」

  「え……」

  先輩は僕がごまかそうとしているのを見抜いていたのか?それとも、これがいわゆる「女の直感」というものなのか、なんと恐ろしいものなんだ。

  「でも、携帯を持っているなら、あたしたちも連絡先を交換しようよ。」

  先輩が話題を変えた。そういえば、先輩は以前にも連絡先を交換したいと言っていたが、その時も僕は携帯を持っていないと言って断ったんだ。

  でも、今は携帯があるから、もう断る理由はない。こうして、モノボリさんが戻ってくる前に、僕は先輩と連絡先を交換した。

  「へえ、あんたのネーム、可愛いね。」

  先輩は思わず笑った。

  「このネームはモノボリさんがつけたんだ。僕がつけたわけではありません!」

  「ほう、やっぱり彼女が送ってあげたのか?」

  「あ、やばい……」

  最後には、結局隠しきれず、先輩に簡単に白状してしまった自分が愚かだと感じた。

  その時、長い間いなかったモノボリさんがようやく戻ってきた。

  「ごめんなさい、まさか今日来るなんて……」

  彼女はお腹を押さえ、少し前かがみになって、小さな歩幅でゆっくりと入ってきた。

  「え?何が来たの?」

  その時の僕は何も知らなかったので、何も考えずに聞いた。

  その質問にモノボリさんは困った表情を浮かべた。僕はまだ、自分がどれだけ気まずい質問をしたかに気づいていなかった。

  僕とモノボリさんが顔を見合わせ、互いに呆然としていると、リビダ先輩は彼女のそばに行き、彼女を席に座らせた。

  「モーノちゃん、大丈夫?ご飯食べられる?」

  先輩は僕が聞いたことのない優しい声でモノボリさんに聞いた。その異常な態度を見て、僕は二つのことに気づいた。第一に、モノボリさんは何か病気や他の問題で非常に弱っていること。第二に、僕はしばらく黙っていた方がいいということだ。

  モノボリさんは本当に弱っているようで、以前の彼女とは全く違う姿だった。彼女の顔色はかなり青白く、常にお腹を押さえて前かがみになっていて、昼食もほとんど食べられなかった。

  リビダ先輩は彼女を優しく世話していた。当然のことながら、その時の僕は何が起こっているのか全く理解できず、二人の会話ややり取りを見ても、一人でご飯を食べるしかなかった。

  最後には、モノボリさんは完全に机に伏せて休み、僕と先輩はできるだけ静かに昼食を取り、彼女を邪魔しないように努めた。

  「モノボリさん、病気かな?」

  僕は好奇心を抑えきれず、小さな声で先輩に聞いた。

  先輩は不思議そうな目で僕を見た。彼女が僕を馬鹿にしているのがなんか分かるようになった。

  先輩は携帯を取り出し、僕に携帯を静音にするよう示した。そして、携帯でメッセージを送ってきた。

  まさかモノボリさんからのメッセージを待っていた僕の携帯に、最初のメッセージが先輩から来たとは。しかも、不思議な感じがする。リビダ先輩とは向かい合って座っているのに、この小さな機械を通してコミュニケーションを取らなければならないなんて

  「だからお前はまだ子供なんだよ。女の子の生理期も知らないなんて。」

  まさか先輩からの最初のメッセージは「お叱り」だった。

  「生理期って何?」

  僕は本当に「生理期」の意味が分からなかったので、彼女の批判を受け入れ、教えを請うしかなかった。

  でも、先輩は面倒くさそうな顔をして、教える気はなさそうだった。

  僕はすぐにメッセージを送り、先輩に頼んだ。

  「お願い、先輩!教えてください!先輩以外に教えてくれる人なんていません!」

  僕の哀れな様子を見て、先輩はメッセージを読みながら笑った。

  「わかったよ、教えてあげる。でも、今じゃない。」

  「じゃあ、いつ?」

  画面に集中している僕は、先輩が不思議な目で見てくれることにぜんぜん気づかなかった。

  「明日は週末だね、時間ある?」

  「はい、もちろんです。」

  「じゃあ、明日の午後 2 時に町外れの公園で会おうか。その時に詳しく説明してあげる。」

  町外れの公園?確か、そこは僕が初めてモノボリさんに会った場所だ。あの時、彼女は公園の外のベンチに座り、一人で雨に打たれていた。

  「いや、そこだとモノボリさんに見つかるかもしれません!」

  僕はすぐにそのメッセージを送り、先輩の返信を見てから、自分の間違いに気づいた。

  「へえ?密会するわけじゃないのに、なんで彼女に見つかるのが怖いの?」

  そうだ、僕はなぜ、モノボリさんに見つかるのを恐れているんだ?見つかっても、問題ないのに。僕と先輩はただ……友達として週末に会うだけで、何もやましいことはない。

  体がまっすぐなら、影が斜めになっても恐れることはない。正々堂々としていれば、何も怖くない。

  でも、この少しずつ積み重ねられたことで、鈍感な僕も最終的に自分の本当の気持ちに気づいた。

  先輩は僕がなかなか返事をしないのを見て、これ以上困らせるつもりはないようだった。そこで、会う場所を変えてくれた。それは僕が今まで行ったことのない場所だ。

  「ごめん、先輩、そこに行ったことがありませんけど……」

  僕は少し申し訳なく返信した。

  「大丈夫、ナビを使えばいいよ。ナビ、使えるよね?」

  「えっと……ごめん、使えない……」

  「まあ、仕方ないよ。あなたも携帯を使い始めたばかりだろうから。」

  僕の無能さのせいで、先輩と会う場所を決めるのもこんなに難しい。やっぱり僕は役立たずだ……僕は誰からも必要とされない無駄な存在だ……

  画面の光が沈んだ気持ちから僕を引き戻してくれた。先輩からまたメッセージが来て、会う場所を再度変更していた。そして、その場所は僕にとって信じられない場所だった。

  「先輩、本気ですか?」

  「どうして?嫌なの?」

  「いや、そんなことは……」

  ただ、その場所は僕にとって特別すぎて、見られたくないことが多すぎる。

  でも、女の子の頼みを断るのが苦手な僕は、最終的にそれを受け入れた。こうして、平凡な昼食の時間に、僕は先輩と初めてプライベートな会う約束をした。この会合は、僕の人生を元の軌道から徐々に外れさせていくものだった。

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