第4話
楽しかったな〜
エルザともっと遊びたかったな〜
でも我慢我慢。
楽しみは取っておかないと。
神秘的に消える演出も完璧だったし、本番では更なる本気が見られるんだろうな〜
僕は前世から予告状を出した後のルーティンがある。
それはギャンブルだ。
一仕事の前に一勝負。
このドキドキ感が堪らない。
特にこれに願掛けしてるわけでは無いから、勝っても負けてもいい。
てか、大体負ける。
だって、ギャンブルって物は胴元が勝つように出来ている。
そうしないと胴元が破産しちゃうからね。
僕のギャンブルの楽しみ方は二つある。
一つは正々堂々賭けるギャンブル。
もう一つはイカサマしてくる相手にイカサマで上回るギャンブル。
今日は後者で楽しもう。
僕は前から目を付けていた違法カジノに向かう。
さあ、店が潰れるぐらいイカサマしてやるぞ。
流石に身分がバレるといけないので変身しよう。
僕は一瞬にして、ちょぴりセクシーなドレスを着たロングヘアーのお姉さんに魔力で変身する。
声はもちろん、歩き方から細かい仕草まで抜かりない。
ちょっとサービスして胸の谷間と太ももを見せてあげよう。
視線を分散させるのはイカサマの基本だからね。
裏カジノに入店すると入り口で全てのお金をチップに変える。
中は凄い賑わいだった。
週末だけの事はある。
まずは手始めにルーレットといこう。
なんたって、あれが一番イカサマが簡単。
僕はルーレットの空いている席に座る。
「おや、これは美しい。
幸運の女神かと思いましたよ」
隣に座っていたチャラそうなにいちゃんが僕を見て言う。
どうやら変装は完璧のようだ。
「ありがとうございます。
あなたはとてもお強いのですね」
チャラ男の前にはチップか積み上げられていた。
「カラーでちまちまやってるだけですよ」
「どうせギャンブルするなら、大きく賭けないと面白くありませんよ」
ディーラーがルーレットに球を投げ入れる。
その瞬間、ルーレットと球のスピード、空気抵抗、摩擦力等を計算すれば大体どこに落ちるかは決まる。
僕は黒の6に金貨100枚分のチップを一点賭けした。
会場から響めきが上がる。
あとは超能力で球の動きを微調整して、黒の6に球を落とした。
会場から歓声が上がる。
僕の前に36枚のチップを運ぶディーラーの手が僅かに震えている。
「なんて日だ!
こんな場面に立ち会えるなんて!」
「私は幸運の女神ですから」
僕はチャラ男に微笑みをプレゼントして、オールインチップを手にとる。
「ではもう一勝負させて貰っても?」
「ええ、もちろん」
ディーラーが若干顔を引き攣った顔で頷く。
僕は黒の33にチップを置いた。
会場のいつの間にか増えたギャラリーが揺れる。
ディーラーが球を投げ入れる。
当然見当違いの所に入る軌道で球が滑る。
それを超能力で自然に見える程度に調整していく。
ディーラーの顔色がみるみる青くなる。
そりゃ焦るよね。
自分が投げ入れた軌道と違うんだもんね。
でも指摘出来ないよね。
だってそれは自分がイカサマしたって自白するような物だから。
そして球は黒の33に落ちる。
会場が一気に盛り上がる。
その反対にディーラーは真っ青。
そしてもう一人内心穏やかじゃない男がいた。
それはチャラ男だ。
チャラ男は至って自然にボーイにアイコンタクトを送る。
「レディ。
金額が金額なので裏の方へお越し頂けますか?」
「ええ、もちろんよ」
僕はボーイに奥の部屋へと案内される。
「やあ、お姉さんもボーイに連れて来られたのかな?
僕もなんだよ」
部屋に案内されると金髪の青年が声をかけて来た。
どうやらこの青年も連れて来られたらしい。
てか、こいつ男装してるだけだ。
上手く男装しているが、こいつカナリアじゃないか。
「お姉さんもバカ勝ちしたの?
僕はチンチロでバカ勝ちしたんだ」
彼女もスミレが拾って来た悪党だ
嬉しそうに話しているが、どうやらこれは僕に気付いていないな。
「私もルーレットで勝ちましたの」
黙っていた方が面白そうだから黙っておこう。
「お姉さん、カジノに来慣れてるね。
こんな感じで連れて来られる事に慣れてるでしょ?」
「ええ、私は幸運の女神ですから」
「確かにお姉さんは女神のように神々しいね」
「そういうあなたこそ慣れてるのでしょ?」
「まあね。
ガキの頃はこれで食い繋いでたからね」
カナリアは僕達と会うまでは裏カジノでディーラーをしていた。
それもイカサマ師として。
子供相手だと相手も油断するから、簡単だったらしい。
「お待たせしました」
僕達がお喋りしていると、派手な色のドレスを着た女性が入って来た。
「本日は当カジノを利用頂きありがとうございます。
私は支配人のトリニーと申します」
トリニーは上品に礼をしてから続けた。
支配人と言う割にはかなり若い。
20代前半って所だ。
「本日は御二方共、大変ツキが回っていらっしゃるようで。
それに肖りたいと思いまして、お呼び立ていたしました。
良ければ私と一勝負して頂けませんか?」
「何で勝負するの?」
カナリアはノリノリで尋ねる。
はなから勝負する気だ。
「ハイ&ローでいかがでしょうか?
勝負は一回限り。
必ずオールインしていただき、ハイかローで当たれば10倍。
ドローで当たれば50倍」
普通に考えたら破格の倍率。
でも勝たす気なんか毛頭無いのだろう。
間違い無くイカサマする気だ。
ようはそんなに払いたく無いから、私に負けたら置いて行けって事だ。
「僕はその勝負にのるよ。
お姉さんはどうする?」
「もちろんお受けします」
わかっていても僕は勝負を受ける。
イカサマしてくるなら、それ以上のイカサマで迎えうつだけだ。
「ではディーラーを決めましょう。
当店の従業員だとイカサマの可能性を拭いきれないと思いますので、ホールのお客様から選びましょう。
ご指名はありますか?
無ければこちらが無作為に選びますが」
「僕は無いよ。
お姉さんは?」
一見こちらに選択肢があるように見えるが、そんな事は無い。
何故なら初対面ばっかりのカジノで指名などしようがない。
出来るとしたらゲーム中に話した人間だけ。
僕の場合はチャラ男だ。
そしてチャラ男は胴元と繋がっている。
ホールではゲームの結果よりも、周りの客に注意を払っていた輩が数人いた。
「そうですね。
では私に声をかけてくださった隣のお兄さんでお願いします」
それもわかった上で乗ってあげる。
全て相手の土俵に乗った上で勝利してみせるよ。
チャラ男が緊張した面持ちで登場する。
いかにも重大な役を今聞きましたって演技だ。
「幸運の女神さん。
本当に僕なんかでいいんですか?」
「ええ、もちろん。
肩の力を抜いてくださいな」
新品のトランプがテーブルの上に置かれた。
トリニーはそれには触れずに言う。
「これから私は一度もトランプに触れませんので、どちらか封を開けて頂けますか。
それからジョーカーを抜いて、52枚を確認して頂いたらディーラーにお渡しください」
「僕はいいからお姉さんがどうぞ」
カナリアがそう言うので、僕はトランプを開封してジョーカーを抜いてからトランプをチャラ男に渡す。
チャラ男はよくシャッフルしてからトランプを二枚並べる。
そして一枚を表にした。
スペードの5だ。
「ではコールをお願いします」
トリニーは僕達にコールを促す。
ちなみにもう一枚のカードはハートの5だ。
今のところは。
「では私はドローで」
「じゃあ僕もお姉さんに乗っかってドロー」
僕とカナリアはオールインコインを置く。
「御二方共ドローですか強気ですね。
本当によろしいですか?」
「ええ」
「いいよ」
チャラ男がもう一枚のカードを表にする。
それはハートの3だった。
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