前編
夏休みの終盤。
僕は二学期の準備があるからとコドラ邸を脱出。
実家には直接王都に戻ると連絡を入れ、空白の日程を作り出す事に成功した。
ならば思う存分ダラダラゴロゴロしなければ。
僕はダッシュでナイトメア・ルミナスの秘密基地に飛び込んだ。
早速ダラダラゴロゴロするぞ。
まずはお風呂だ。
僕は貸切の大浴場を満喫する。
いつ入ってもこの大浴場は最高だ。
もう入ってるだけでだらけ切ってしまう。
「あ〜〜〜さいこ〜〜〜」
贅沢に大の字で堪能していると入り口の磨りガラス越しに人影が見えた。
あれはスミレだな。
「ごめんね。
今入ってるんだ」
「知ってるわ」
スミレはなんの躊躇もなく入って来た。
そして全裸だ。
なんで?
いや、お風呂入るから全裸なのは当たり前なんだけどね。
一切隠す気が無いのか堂々としている。
もしかして服脱いだのわかってない?
「ねえスミレ」
「なに?」
「隠さないの?」
「何故?
どこを見られても恥ずかしく無い完璧な身体でしょ?」
「そうだね。
とても美しいよ」
「ありがとう」
スミレは美しい仕草で掛け湯をしてから湯船に入る。
そのまま僕の元まで歩いて来て、真隣に座った。
「ねえスミレ」
「なに?」
「こんなに広いのに、こんな狭い所に座らなくても良くない?」
「こんなに広いから、離れて座ると寂しいじゃない」
「そう言われるとそうかも」
「でしょ」
そういや昔からスミレは寂しがりやだったな。
アークム領の秘密基地でも、僕が帰る時になると凄く寂しそうな顔してたっけ。
「君って案外寂しがり屋だよね?」
「そうよ。
あなたの前だと寂しがり屋なのよ。
だからいっぱい構ってね」
スミレが更に体を密着させて頭を僕の肩に乗せる。
ヤバいなこれ。
僕の精神力が試されてる?
頑張れ僕の理性。
僕の美学は絶対だ。
……こっそり視姦するだけにしよう。
「ねえヒカゲ?」
「えっ?な、なに?」
ヤバい。
スミレの体を隅々まで視姦してたのバレたか?
「何を慌ててるの?」
「慌ててなんてないよ」
良かった。
バレて無いみたいだ。
「別にもっと堂々と見てもいいのよ」
「バレてた?」
「もちろん。
あなたの視線には敏感なの」
「……そうなんだ」
もしかして僕って警戒されてる?
でも見てていいって言ったし……
良くわからないけどいいって言ってたから、じっくり舐め回すように視姦しよう。
「それで前々から気になってた事があるのだけど、聞いていいかしら?」
「うん、いいよ」
「あなたっていつから悪党なの?」
「産まれた時からだよ」
「でも、流石に赤ちゃんの頃は純粋無垢だったでしょ?」
「どうかな?
物心ついた時から僕は悪党だったからね。
あー……
でも強いて言うなら13歳の時の出来事だね。
あの時に僕はどうしようもない悪党だと確信したね」
「え?」
スミレは心底不思議そうな顔で僕を見る。
あれ?何かおかしな事言ったかな?
「ちょっと待って。
私はあなたと10歳の時に出会ったのよ。
あの時にはあなたは自分で悪党だと言っていたわ」
「あれ?そういや言って無かったっけ?
僕は転生したんだ。
前世はこことは別の世界の日本って国にいたんだ」
スミレはポカーンと口を開けて固まった。
でもすぐに口を閉じて真剣な眼差しで僕を見つめる。
「その話してくれる?」
「あれ?信じるの?」
「もちろん。
あなたの言う事ならなんでも信じられるわ」
悪党の言う事を簡単に信じるなんてどうかしてるね。
まあ、僕は身内を騙す事無いからいいけどね。
他の人の言う事は疑いましょうって教えてあげないと。
今度ね。
今は全身視姦するのに忙しいから
「じゃあ話してあげるね。
別に隠すような事じゃないし。
僕の前世の本当の両親は、僕が物心付く前に死んだんだ。
両親とも刑事だった。
刑事ってのはね、まあ騎士みたいな物だよ」
僕は刑事がわからないスミレに補足してあげる。
それぐらいスミレは真剣に聞いていた。
「二人とも連続殺人犯の追跡中に返り討ちにあったんだ。
でも両親の親戚に僕を引き取ってくれる人はいなかった。
そんな僕を引き取ってくれたのが、父の親友だった検察官。
奥さんは弁護士だったね。
あと二人の間には僕より5歳年上の娘がいた。
この三人が僕の義理の家族。
三人とも僕には良くしてくれた。
本当の家族のように接してくれたね。
前世では唯一の僕の身内。
そして13歳の時に事件が起きた。
その前から僕は自分が悪党だと思っていたけど、その事件がきっかけで救いようの無い悪党だと悟ったね。
今思うと、あれが大悪党ナイトメアの始まりだったと思う」
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