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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
5章 悪党は仇なす者に容赦はしない
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第3話

目的地のアンヌとシンシアの生まれ故郷のテンテン村に到着した。


そこは自然豊かな山の中。

空気がとても美味しい村だった。


僕が来た事無い訳だ。


僕とヒナタは最高の太ももをたっぷり堪能して超元気。

なし崩し的にアンヌの生足まで堪能出来てしまった。


二人して馬車を降りると深呼吸して美味しい空気を肺いっぱいに送り込む。


しかし、まさかヒナタがあんなに太ももについて語るとは思わなかった。

双子だけあって好みも似てくるのかもしれない。


「シンシア。

今日の事は忘れましょう」


「うん。

どうかしてたと思う。

私も忘れる」


後ろでアンヌとシンシアが何か言ってるけど気にしない。


二人の気持ちが落ち着くのを少し待ってから、二人の案内で村の中に入った。


まずは挨拶の為に村長宅を目指す。


だけど、村人とすれ違う度に二人が呼び止められてなかなか前へ進まない。


二人共人気者だ。


そんな二人を別の領地に持って行った僕の家族ってもしかしたら嫌われてるかも?

とか心配したけど、そんな事は無かった。


ヒナタも楽しそうにおしゃべりしている。

本当にすぐに誰とでも仲良くなれるよな。


やっとの事で村長宅が見えて来た。


そこで僕は気付いた。

強者の気配に。


まさかこんな所で出会う事になるとは思わなかったよ。


村長宅の扉を開ける。


そこには村長ともう一人女性がいた。


「よう、愛弟子。

元気にしてたか?」


瓢箪に入った酒を飲みながらシンシアに片手をあげる女性。


鍛え抜かれた体には一切無駄な筋肉がなく、プロポーションバツグンの女性。


「師匠!

来てたんですか!」


シンシアが嬉しそうに駆け寄った女性。

それはシンシアが初めて剣術を教えてもらった女性。


誰にでも分け隔て無く手を差し伸べる善人。

僕と真逆の存在。


勇者ツバキだ。



『美学その8

他人に施しをしてはならない』


僕は僕の力を僕だけの為に使う。

なんの見返りの無い事は決してしない。

だから自分の利になる事しかしない。

故に僕は悪党だ。


ても、世の中にはそうじゃない人がいる。

なんの見返りも無く人を助ける事が出来る人。


彼女は人々から勇者と呼ばれるようになり、王国からも勇者の称号を与えられた。


今やそこら辺の貴族よりも影響力がある。


やっぱりこうでないと。

正しい事をした者が正しく評価される世界がいいに決まってる。


「強くなったじゃないか愛弟子。

そっちのお友達もなかなか強いね。

ちょびっと本気になってしまったよ」


ツバキはそう言ってはいるけど汗一つかいていない。

逆にヒナタとシンシアは息を切らして倒れている。


夕食の後、腹ごなしに二人はツバキに手合わせをしてもらっていた。


僕とアンヌはそれをジュースを飲みながら見学している。


ヒナタとシンシアは同時に挑んだにも関わらず、まるで赤子の手をひねるようにあしらわれてしまった。

しかも片手で酒を飲みながら。


勇者の名は伊達じゃないな。


「次は君が来るかい?」


ツバキは僕の方を見て言う。


「まさか。

僕はその二人の足元にも及ばないよ」


「そうなのか?

君もなかなか鍛えてそうだけど」


「学園に通ってるからそれなりには。

でも、補習にならない程度の腕前」


「ハハハ。

まあ、無理強いはしないさ」


そう言って瓢箪に残った酒を一気飲みする。

美しい見た目と違って豪快な飲みっぷりだ。


「なんだ、もう無くなってしまったよ。

新しいの貰いに行くか。

そういやアンヌはいくつになったんだ?」


「私ですか?

18になりました」


「なんと!

なら一緒に酒が飲めるではないか。

早く言ってくれよ。

早速行こう。

お祝いに奢ってあげるよ」


「でも私、飲んだ事が無くて……」


「大丈夫大丈夫。

私がついていてあげるから」


この国では男子は16、女子は18から酒が解禁になる。


だから僕も飲める。

だけど僕はアルコールを毒素として体が処理してしまうから一切酔えない。

そらなら別に飲む必要が無いから飲まない。


「ご迷惑おかけしてもいけませんし……」


「迷惑なものか。

私一人では寂しいんだよ〜

アンヌとお酒が飲みたいよ〜」


ツバキがアンヌに食い下がる。

無理強いしないのは剣術だけらしい。


「……わかりました。

では少しだけ」


「よし!では行こう!」


アンヌは結局断り切れずにツバキと一緒に酒場へと向かっていった。


僕は倒れてる二人にタオルを持っていってあげる。


「悔しい!!

全然何も出来なかった〜!」


「私だって強くなったはずなのに!」


ヒナタとシンシアが悔しそうに大声で叫ぶ。


いい事だ。

悔しがるという事は、まだ先を目指す原動力になる。


「シンシア!

絶対帰るまでに一撃でも入れるよ!」


「もちろん!

なんなら一本取ってやる!」


頑張れ二人共。

その思いが報われる事を僕は願っているよ。



夜遅く。

そろそろ日付が変わろうとしている頃。

僕はそろそろ寝ようかと思っていた。


いたのだけど……


「主、お腹すいた〜」


可愛らしい幼女が僕の部屋で駄々をこねて机をバンバン叩いている。

とても寝ていられない。


「ソラ、近所迷惑だから机叩くのやめようね」


「はーい」


ソラは右手を挙げて元気よく返事をした。

その姿だけなら愛くるしい。


「いい子だね」


「いい子にしたから主の血を吸っていい?」


少し褒めたら愛くるしくおねだりしてくるこの幼女。

僕が付けた名前はソラ。

例の如くスミレが拾って来た悪党の一人。


なんとヴァンパイアだ。

正しく異世界だね。


ソラは特に悪党の血が大好きらしく、僕の血が大好物。


こうやって僕に会う度に僕の血を狙ってくる。


「僕の血はダメ」


「チェッ」


幼女らしからぬ舌打ちが聞こえる。


血ぐらいケチケチするなと思うでしょ?

ところがソラは一回僕の血を吸い始めると、なかなかやめない。


普通の人なら干からびてしまう程吸い続ける。

ソラは僕と同じ悪党だから欲望に忠実なのだ。


まあ、それだけならまだいい。

僕は鍛えてるからいくら吸われようが干からびる事は無い。


問題はその後だ。


僕の血は何故か酔うらしい。

そしてソラは酔うと性欲が増すらしい。

食欲を満たした後は性欲なのかもしれない。


とにかく僕と性交しようと迫ってくる。


それは嬉しい限りなのだが、酔っ払っている身内をいただくわけにはいかない。


他人だったらいくらでも酔わして弄ぶのに……


勘違いして欲しく無いが、僕はロリコンでは無い。


「そういやソラ。

しばらく見ないうちに随分若返って無い?」


そう、ソラは丁度食べ頃の妖麗な姿だったはずだ。

流石の僕も幼女をいただこうとは思わない。


「これは主が血を吸わせてくれないから……」


「僕の血吸わないと幼女になっちゃうの?」


それはなんか悪い気がしないでもない。

ちょっとぐらい吸わせてあげても――


「この姿でおねだりしたら吸わせてくれるかなと思って」


吸わせないで正解だな。


この姿で迫られる所を見られでもしたら社会的に死んでしまう。


……そうか。

それが狙いか。


恐ろしい子だ。

先日のどの暗殺者よりも恐ろしい。


「主はロリコンでは無かったか」


「僕はロリコンじゃないよ」


「主はいつもの姿の方がお好み?」


「そうだね」


「省エネモードって意味もあるのだけど、主がそこまで言うなら失礼して」


ソラは椅子の上に立ち上がる。

すると、みるみる成長していき妖艶な姿に変わっていく。

だけど――


「ソラ。

服が可哀想な事になってるよ」


服がそのままなので今にもはち切れそうになっている。


「今は他の服を持って無いから。

でも唆るでしょ?」


「魔力で服つくれるよね?

と言うかその服も魔力で生成した服だよね?」


その証拠にあれだけサイズが違うのに決して破けない。


「今はお腹すいてるからむーり」


あざといポーズで僕を見る。


これはまだ僕の血を諦めていないな。


「わかったよ」


「主の血くれるのか!?」


「なんか食べ物貰ってくるよ」


「なーんだ。

でも今晩はそれで我慢してあ・げ・る」 


「はいはい。

ちょっと待っててね」


「あんまり遅いと幼女の姿で騒いじゃうぞ」


「絶対ダメだよ」


そんな事したら幼女を連れ込んだ変態にされちゃう。


僕を社会的に抹殺する恐ろしい計画だ。

急いで戻って来よう。

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