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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
3章 悪党は美術館がお好き
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第30話

ロビンと想いが通じず、王国の秘宝への道は途絶えると言う悪夢のフィナーレ。

その後について少し話をするね。


あれから1週間程たった。


ヒナタは無事校外演習を終えて帰って来ていた。

帰って来てから思い出話を散々聞かされたが、楽しかったのなら何よりだ。


リリーナは国宝奪還の功績が讃えられて、ルナは王城内での地位を上げた。


これからは王位継承争いに打って出るのかも知れない。

そうなるとリリーナも公爵家として巻き込まれていくだろう。


僕は巻き込まれないように気をつけようっと。


王立美術館は修復が急ピッチで勧められて、近々一般公開される予定だ。


ロビンコレクションも僕が奪ったマトリョーシカを除いて全て展示されるらしい。


ドーントレスの魔の手から帰って来た国宝と宣伝されてチケットは普段以上に速攻売り切れたらしい。


僕は下がり切っていたと思っていた学園での地位を更に下げつつ、いつもの学園生活を送っていた。


強いて言えば前よりもリリーナがくっついて離れなくなった。


おかげで誰にも絡まれないでいるが、痛い視線とリリーナのわがままが付いて回っている。


「ねえヒカゲ。

週末はデートしましょ」


「い――」


リリーナのボディブローが僕の言葉を遮る。


「早くない?」


「どうせ嫌だって言うつもりだったんでしょ?」


「そうだ――」


再びボディブローが僕の言葉を遮る。


「あのさ〜

どうせ答え分かってるなら誘うの辞めたら」


「嫌よ」


僕もボディブロー入れてやろうか?


「でも、私も学習したわ。

ほら、これで行く気になったでしょ?」


リリーナが王立美術館のチケットをヒラヒラさせて見せる。


「ルナが用意してくれたのよ。

で、行くでしょ?」


「うん行く」


「わかってても腹立つわね」


「何が?」


「なんか私が美術館より魅力無いみたいじゃない」


「心配しなくていいよ」


「そう?」


「みたいじゃなくて、君の完敗だから」


三度目のボディブローが一番強烈だった。



二度目の美術館も最高に良かった。


一回襲撃に遭っているから警備は厳しくなっており、建物の壁を魔力で強固にガードされていた。


これで前回のような手は使えないだろう。


人間は失敗から学ぶ生き物だ。


だけど、僕にかかればここの美術品を全て奪うのに一晩もいらない。


僕に盗まれる失敗からは学びきれない。

それは前世で実証済みだ。


ルナは公開初日とあって忙しく、最初に軽く挨拶しただけで別れた。


だから今日はリリーナの解説付きで美術館を回る。


「どうヒカゲ君?

私の解説はお気に召したかしら?」


周りに人が多いから今日は猫被りモードだ。


「うん。

内容も分かりやすいし、鑑賞に邪魔にならない丁度いいトーンで完璧だよ」


「完璧な彼女でしょ?」


「残念ながら君の腹黒さはこれぐらいじゃ薄まらない」


「あら残念」


「あの、痛いんだけど」


「何が?」


笑顔だけど、みんなが見えない死角できっちりとツネって来る。

流石猫被り歴が長いだけあって抜け目無い。


それでも前回よりも平和に目的の芸術鑑賞ができた。

そして目玉のロビンコレクションに辿り着く。


前回よりも展示に力が入っている。

そして話題の中心なだけあって人が殺到していた。


さて、ここに来たもう一つの目的を果たそう。


美術館の灯りが一斉に消える。

突然の事に会場の人達は固まった。


誰もが状況を理解出来ないぐらい一瞬で灯りが元に戻る。


静まり帰った会場の一部が騒がしくなる。


「行ってみましょう」


リリーナが僕を引っ張って、騒ぎの中心へと進んでいく。


「これって!」


人混みを掻き分けた先でリリーナは驚き固まった。


展示用のショーケースに並べられたマトリョーシカがあったからだ。


僕のサプライズプレゼントは大成功みたいだね。

きちんとお手紙も添えてね。


『美術館の再開おめでとう。

せっかくの展示だ、俺からささやかなプレゼントだ。

今シーズンが終わるまでお返ししよう。

お礼は結構だ。

時期がくれば残りのロビンコレクションと一緒に頂きに来る。

それまで素晴らしき芸術をゆっくり堪能してくれ。


ナイトメア・ルミナス

ギルドマスター ナイトメア』


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