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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
3章 悪党は美術館がお好き
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第20話

僕とガーゴイルの一騎討ち。

先制攻撃は君にあげるよ。


ガーゴイルの両腕が交互に僕へと襲いかかる。


その巨体からは想像出来ない程のスピード、まともに受けたら即死だろう。


だけど、当たればの話。

こんなの当然当たるつもりは無い。


全てを最小限の動きで躱す。


感情の無いこいつの攻撃は無慈悲で正確。

だから単純。


スピードにさえ対応出来れば躱わすのは容易い。


右の拳が僕の右隣を通り過ぎた時、刀生成して右腕を切り付ける。


右腕を切り落とす気で振った刀は砕けて消えた。


「へえ、この石像は魔力耐性まであるのか」


後から付与した感じではないね。

魔力に耐性ある素材で作られてる。


今度は大きく薙ぎ払われた腕に合わせて拳を叩きこむ。


気力の込めた一撃にも関わらず、傷一つ付かずに僕の体は弾き飛ばされる。


宙に浮いた僕に迫り来る追撃を躱して大勢を立て直す。


悪いね、僕は空中でも自由に動けるんだ。

しかし、物理的にも硬いとは恐れいったよ。


「君の親は彫刻の腕は二流だけど、兵器制作は一流だね」


この硬さで魔力に耐性まであるとしたら、この世界では恐ろしい兵器だ。


原動力が何か知らないけど、人間相手なら先に疲れてしまうだろうしね。


僕は度重なる攻撃を全て躱して地面に降り立つ。


でも相手が悪かったね。


「役目を果たそうとする使命感か?

はたまた勝利に対する執念か?

どちらにせよ作者の本気に俺も全力で応えよう」


再び刀を生成する。


今度の刀はさっきのとは――


バーン!


僕の後方で出口を塞いでいた瓦礫が砕けて、リリーナとルナが入ってくる。


「ヒカゲ!どこにいるの!」


えー、うそー。

この子まだいたのー。


あの瓦礫を剣で破壊したわけ?

剣に魔力を込め過ぎて、剣の刃がボロボロになってる。


リリーナの剣は確かリリーナの魔力に合わせた特注品だったはず。

あの剣が耐えれない程の魔力を込めたって事でしょ?


なんか覚醒してるじゃん。

一体何が彼女をそうさせるのかね?


「ナイトメア!

ヒカゲはどこ!」


いや、ここにいるけどさ〜

めんどくさいな〜


しかしこの子は何考えてるんだろうね?


昨日殺されかけた相手によくそんな口きけるね?


僕は壁と天井が崩れて瓦礫の山を見て妙案を思いついた。


あれを登って逃げた事にしよう。


刀を持って無い方の手で瓦礫の山を指差す。


これでやっと逃げてくれるよね?


「そんな……」


あれ?なんでへたり込むの?

え?なんで泣き出すの?

意味わかんない?


「ちょっとリリーナ!

しっかりして!」


ルナが必死にリリーナに呼びかける。


そうだよ。

早く逃げてよ。


そんな事してるうちに、ガーゴイルが背中の翼を大きく開く。

その両翼から躱わす事の出来ない程の羽根が飛び出した。


ああ、もう。

仕方ないな〜


僕は周りにある瓦礫を集めて壁にする。

後ろの二人に当たらないようにちょっと高めに作る。


無数の石の羽根が突き刺さる轟音が鳴り響く。


リリーナが涙声で必死に僕に訴えてきた。


「ナイトメアお願い。

あの瓦礫も動かして。

もしかしたらヒカゲがまだ生きてるかもしれない」


ん?何言ってるの?

あ、そうか。

瓦礫の下敷きになったと勘違いしてるんだ。


「なにを勘違いしている?

あの瓦礫を登って逃げたぞ」


「え?本当に?」


「ああ」


「嘘じゃないよね?」


しつこいな〜

まあ、嘘だけど。


「俺が嘘を言う理由など無い」


「良かった……」


あのさ。

なんでまた泣き出すの?

いい加減にしてよ。

早く逃げてくれない?


羽根の雨が止み、ガーゴイルの拳が瓦礫の壁をぶち破ってくる。


それを左手で受け止め刀を真っ直ぐ天へと向ける。


今度の刀はさっきとは一味違うよ。


魔力の更に凝縮して強く鋭く磨き上げている。

更に魔力を伝達させて刀身を伸ばしていく。


限界まで研ぎ澄ました刀身は半透明のオーロラ色に変わる。


魔力耐性と物理耐性。

一見すれば無敵の防御力を誇っている。


だけど残念ながら突破するのは超簡単さ。


防御力を超える攻撃力で叩けばいいだけ。


「フィナーレといこうか。

名も知らぬ作者よ。

永きに渡るその役目に俺が終止符を打とう」


左手でガーゴイルを押し返す。


「グッド・ナイト・メア」


後ろに仰け反ったガーゴイルを振り下ろした刀が綺麗に真っ二つにする。


倒れた二つの体が地面を揺らす。


僕はガーゴイルだった石の塊に近づいて、切断面を確認する。


鏡面のように綺麗な断面に仮面が映る。


「これからはいい夢が見れるといいね」


この子の役目は今終わった。


何の役目も無い僕の手によって。


僕は今どんな表情をしているのだろうか?

この仮面の下の表情は自分でもわからないや。


ドクン!!


心臓が大きく跳ねる。

これはヒナタのアレが発症した合図だ。


行かないとな。

まだ覚めぬ悪夢の向こうへ。

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