第7話
本当に一体どこで石像を修復しているのだろうか?
僕は襲い来る2体の石像の剣を躱し続けながら考える。
この空間の全体は大体把握出来た。
真ん中の魔導具を中心に綺麗なドーム状に隔離されている。
もう行って無い所は無いはずなんだけど、何処にもこいつらを修復してる所を見つけられていない。
2体の剣が同時に僕の残像を切り裂く。
その2人の頭を持ってごっつんこさせて砕いた。
頭の無くなった2体は膝から崩れ落ちて倒れた。
魔力阻害の霧が無ければ跡形も無く蒸発させられるから修復される心配も無いのだけど、この霧の発生元も見つけられていない。
どちらかでも見つけられたら一気に片付くのだけど……
後ろから騎馬石像が走って来て僕を切り付ける。
その剣をバク転で躱して馬の後部に座る。
そのまま手刀で竹を割る様に馬ごと真っ二つにした。
何回かこの破片を集めに来てるであろう奴を待ち伏せしたけど不発に終わっている。
幽霊の奴らにも聞いたけど頑なに教えてはくれなかった。
と言うか、少なくとも心が折れてもう見なくやった奴らは本当に知らないようだった。
トップレベルの奴しか知らないのかもしれない。
だからこうやって何度も探索しながら闇雲に探している。
そして探していると今みたいに石像が襲いかかって来る。
ほら、また一体が来た。
振り下ろされた剣を左手で掴んで右ストレートで腹を砕いて沈黙させた。
はっきり言って魔力阻害に慣れてからは、こいつらは敵では無い。
ただ休む間もなく襲って来るのは面倒この上無い。
敵からすると細い勝ち筋がそれしか無いのだから仕方ないと言えば仕方のない事。
もう僕の体力切れを待つしか無いのだから。
でも残念ながら僕はまだまだ余裕だ。
元々不眠不休でも3ヶ月は余裕で活動出来る様に鍛錬していた。
でもある時僕はテレビでイルカが右脳と左脳を交互に寝る事が出来る事を知った。
それから僕はその方法を鍛錬で身につける事に成功した。
だけどそれには問題があった。
それをしても結局半分のポテンシャルしか出せない事だ。
それでは意味が無い。
そこで僕は更に上を目指した。
答えは単純明確だ。
右脳と左脳のどちらかが寝てる時は起きてる僕を倍の力で動かしたらいいんだと。
元々人間は脳を100%使えない生き物らしい。
だから片方を倍使える様にしたって結局のところはたかが知れてるって事だ。
本当の所はよく知らないけど。
まあ、出来ているのだからそう言う事なんだろう。
あとは食事の問題だ。
この空間には全くと言っていいほど食べ物が存在しない。
よく考えたら生物がいないのだから当たり前の話だ。
元々1年ぐらいは飲まず食わずでも大丈夫なように常に体内に蓄えている。
あと実はいつも兵糧丸を隠し持っている。
これを用いれば3年はいけるだろう。
でも今回はそれ以上の長期戦を視野に入れないといけない。
そこで僕は今必要無い身体の機能を停止させた。
ますは味覚。
食べる物が無いのだから必要無い。
次に触覚の内の痛覚と温度感覚。
これも必要無い。
あとは喋る相手もいないから喋るのも辞めた。
この省エネモードなら5年はいけるかな?
それ以上になったら流石に僕の負けだろう。
つまりタイムリミットは5年。
今どれだけ経ったかわからない以上、あとどれぐらい残っているかは分からないけど。
まあ、まだ余裕があるから1年も経ってないんじゃないかな?
さて、そろそろ戻るとするか。
僕は石像の剣を数本を超能力で運びながら中心に戻る。
そこには魔導具の周りに数人の幽霊が集まって来てた。
そいつらに石像達から没収した剣に霊力をコーティングして飛ばして突き刺す。
奴らは僕が離れた時を見計らって魔導具を書き換えようとしてやって来る。
それが僕に誘き寄せられているって知っていてもだ。
なんとか書き換えて僕を外に飛ばすしか奴らに手立ては無いからだ。
でも僕はこいつらが完全に消滅するまでここから出るつもりも、出すつもりもない。
そう考えるとやっぱり立場が完全に逆転してると言える。
剣によって地面に突き刺さって逃げられない幽霊達を見下ろす。
ここに来る奴らはなかなか心が折れない奴らばっかりだ。
人数で言うと17人。
その内今回は5人だ。
今回は……ハズレだな。
僕がいっつもお楽しみするお気に入りの4人はこの中にはいないや。
僕は石像の剣をゆっくり動かしてじわじわと傷口を広げていく。
断末魔の様な悲鳴が響き渡る。
その中から恨み辛みの言葉が混じっているが、許しを乞う声や泣きの言葉は無い。
どうやらこいつらの心ははまだ折れていない。
これは次も復活して来るな。
先はまだまだ長そうだ。
その声を聞いてゾロゾロと石像が集まって来て、僕を取り囲むような円を作る。
これも毎回のこと。
幽霊達が限界が来て一旦消えるまではまだまだかかりそうだ。
それまで邪魔をされるわけにはいかない。
となるとやる事は一つしか無い。
石像達の輪が小さくなっていく。
さあ、かかって来いよ。
今回も一体残らず葬ってやるよ。
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