表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
12章 悪党は過去の悪事からに逃れられない
258/285

第11話

なんとかエミリアの誤解も解けて解放された。


まあ、結局リリーナを置いて旅に出た事をこっ酷く怒られたけどね。

あの子はリリーナが好き過ぎるね。

リリーナは僕がいなくたって何とも思ってないよ。

きっと学園生活を謳歌してるさ。


お土産に新商品ギフトを20セットも貰ってしまった。

そんなに貰って僕にどうしろと言うんだ?


ご丁寧にリリーナには僕の名前で郵送するとか言ってた。

きっとリリーナに渡したいけど、自分の名前で渡せないから僕の名前を借りようって事だろう。

まあ、悪党は利用するに限る。

存分にご利用下さい。


ギフトはリンリンとランランとヒメコにあげたら、それはもう大層お喜びになった。

おかげで僕も解放されたから役には立ったかな。


さて残りはどうしようかな?


「ルリにもこれあげるよ」


「やっぱりマスターは見つけてくださいますね」


僕がエミリアと話てる時に近くにいたからね。


「まあね。

やっぱりエミリアの事気になってたの?」


「はい。

でもそれよりも気になる事が……」


「なに?」


「マスターは大きな胸の方がお好きなのですか?」


「は?」


急に何を言い出すの?


「私は小さいですが形には自信がありますよ」


「急になんでそんな話になるの?」


「エミリアの胸を凝視してましたので。

私のもお見せしましょうか?」


「いやいや見せなくていいから。

僕は大きいのも小さいのも等しく好きだよ」


何言わすねん。

なんでこんなカミングアウトさせられてるの?


「私ぐらい小さくてもですか?」


「全然好きだよ」


「それは良かったです」


何が良かったのかわからないけど、納得してくれたならいいとしよう。

これ以上この話を続けるのは危険だ。

僕の勘がそう告げている。


「そうそう。

これあげるね」


僕は話題を変える為に再び化粧品セットを渡した。


「ありがとうございます。

これでもっと綺麗になれと言う事ですね」


「いや、特に意味があるわけではないよ」


「マスターの想い、しかと受け取りました」


「まあ、なんでもいっか。

あとみんなにも渡しといてくれる?」


あと6セット渡そうとしたら拒否られてしまった。


「それはマスターが直接お渡しした方がいいかと」


「そうなの?」


「はい。

間違い無く。

その方がみんな喜びます」


「なら僕から渡すよ」


変なの。

別に誰から渡しても一緒なのにね。



すっかりお昼ご飯を食べ損ねていた僕は屋台でいくつか見繕って公園で食べる事にした。


屋台街っていい匂いがしてきて、ついつい買いすぎちゃうね。


まあ、僕はいくらでも食べられるんだけどね。

それにしてもたまには屋外で食べるのも悪くないね。


僕が呑気にご飯を食べていると、後ろを通った若い女が僕の財布をスって行った。


そんな腕で僕からスろうなんて片腹痛いわ。


今はご飯食べてるから、後で食後の運動がてら犯っちゃうか。

とか思ってたのに、僕の隣で同じ様にご飯を食べてた長い剣を持った男が動いて女はあっさりと捕まってしまった。


残念。

そこそこいい女だったのに。


「そこの君。

財布を盗られていたぞ」


男が僕に財布を返してくれた。


「ありがとう」


「どういたしまして。

次は気をつけないといけないぞ。

人が集まる所ではスリも増えるからな」


そうだね。

僕もみんなカモに見えるもん。


「あっ」


子供の手から風船が飛んで行く。

それを男がすぐに跳んでキャッチして子供に渡す。


凄い跳躍力だ。


「ありがとう」


「もう放したらダメだぞ」


子供にそう言ったかと思ったら、次は公園の入り口の階段で困っていた赤ちゃんを連れたお母さんの所に行ってベビーカーを持ってあげてる。


そのまま気さくに話してたと思ったら、買い物袋が破けて中身をぶちまけた人の物を拾う手伝いに行く。


なんて忙しいんだ。

あんなの毎日やってたら疲れちゃわないのかな?

僕には到底真似出来ないね。


ようやく戻って来た男に僕はお水をあげた。


「ありがとう」


「良くやるね。

いつもこんな事してるの?」


「僕の目に見える範囲で、尚且つ出来る範囲だけだけどね」


男は水を飲んでから隣に座って、食事の続きを始めた。


「もしかして、外でご飯食べてるのもすぐに人助けが出来るから?」


「まあそれもあるね。

一番は青空の下での食事が好きなって事だけどね」


「大変じゃないの?」


「別に大変だと思った事はないかな?

自分の為にやってるのさ。

僕も昔ある人に助けられたんだ。

その人に近づきたくてやってるだけさ」


ん?

結局それって人の為になってない?


「うえーん」


転んだ子供の泣き声が聞こえて来てあやしに行った。

あやし慣れているのか、すっかり子供が泣き止んでる。


凄いけど、ご飯もろくに食べれないってのは僕には耐えられないね。


「やあ、少年。

久しぶりじゃないか。

元気してたかい?」


気配無くツバキが凄い勢いで肩を組んで来た。

相変わらずスキンシップが激しい事。

そして案の定もう片手には酒が握られていて、すっかり陽気に酔っ払っている。


「久しぶりだね」


「おっ!美味しそうな物食べてるじゃないか」


「おひとついかが?」


「よっ!男前!

お礼にお酒をあげよう」


ツバキは僕が水を飲んでいたコップにお酒を注いだ。

せっかくなので頂くとしよう。


「しかし、こんな所で会うなんて奇遇だね。

今は学園に通って無いんだってね」


「良く知ってるね」


「愛弟子から手紙を貰っててね。

少年を見つけたら無理矢理にでも連れて来てと書いてあったよ」


「それで僕を見つけたから声をかけたの?」


「いいや。

少年が自分で考えた道なら私はそれを尊重するよ。

少年はしっかり者だからね」


ツバキはそう言って手に持っていた酒を一気に飲み干して、次の酒を取り出した。

ふと、子供をあやし終わってこっちを向いた男とツバキの目が合った。


「おや?

ミツルギ君じゃないか。

奇遇だね」


手を振るツバキに男は軽く会釈をするだけだ。


「なんだなんだ?

冷たいじゃないかミツルギ君」


ツバキは一瞬で男の横に移動して一方的に肩を組む。

そのまま引き摺るように僕の所に近づいて来た。


「少年。

こいつはミツルギ君って言うんだ。

なんと剣聖で人間最強の男だよ」


「そんな事は……

ツバキさんの方が……」


なんかさっきと違って声がとても小さい。


「なんか言ったかい?」


「いえ……なにも。

あの……それより……

ちょっと、近すぎます」


「ん?なんて?」


ツバキは更に顔を近づける。

ミツルギは顔を赤らめて逸らした。


はは〜ん。

さてはミツルギ君は照れてるな〜


「相変わらずミツルギ君は無口だね」


いや、さっきまで気さくに話してましたよ。

きっとそれはツバキの所為だよ。


「まあ、ミツルギ君は無口だけど凄く優しい奴なんだよ」


「知ってるよ。

さっきも僕をスリから助けてくれたよ」


「そうなのかい?

ありがとうねミツルギ君。

よし、お姉さんがご褒美をあげよう」


そう言ってツバキは飲みかけの酒瓶をミツルギの前に差し出す。


「さあ、グイッといっちゃってよ」


ミツルギは酒瓶の口の部分を見つめてまた顔を赤らめて固まった。


めちゃくちゃ意識してるじゃん。

なんか可愛い奴だな。


「なんだい?

お酒はダメだったっけ?」


ツバキは何も気付いて無いみたい。

こんなにあからさまなのに鈍感な奴だな〜


仕方ない。

僕がおせっかい焼いてやろう。


「せっかくのご褒美ならほっぺにチューでもしてあげたら?」


「ちょ、ちょ、なっ、なっ!」


ミツルギが更に赤くなっていく。

分かりやす過ぎて面白い。


「なんだい?

私のキスがご褒美になるのかい?」


「僕なら嬉しいよ」


「そうか。

そんなのいいのならほっぺにキスしてあげよう」


ツバキも酔っ払ってるから軽いノリでミツルギのほっぺに軽く唇を触れされた。


その瞬間ミツルギの頭の上からボッて煙が出た気がした。


「え?え?え?」


ミツルギはしばらく固まったのち、茹で上がったみたいに真っ赤になって遠くに走って行った。


「やっぱり嫌だったのかな?」


「違うよ。

嬉し過ぎて走り出しちゃったんだよ」


「そうなのかい?

私のキス如きでそんなに喜んでくれるなんて、相変わらずミツルギ君は優しい奴だな」


いやいや。

ツバキみたいな色気のあるお姉さんにキスされたら誰でも嬉しいよ。

あれは喜び過ぎだとは思うけどね。

少しでも面白かったと思ったら下にある☆ ☆ ☆ ☆ ☆から、作品の応援をお願いします。


1つでも構いません。


ブックマークも頂けたら幸いです。


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ