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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
12章 悪党は過去の悪事からに逃れられない
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第10話

活気溢れる表通り。

式典に合わせて特別商品や特別店が沢山出てるから、それ目当ての人が沢山行き来している。


そんな所に僕はあんまり興味無いからスルーして通り過ぎる。

やっぱり静かな所でゆっくり堪能するに限る。


「あっ!後輩君!

いい所にいた!」


「あっ!新人君!

ついて来て!」


突然僕はリンリンとランランに両脇を掴まれて表通りへと引き摺られるように逆戻り。


「え?え?え?

なに?なに?」


僕は訳も分からず引き摺られていく。


「ごめんね。

なんか家族か恋人の男の人と一緒に入店すると割引なんだって」


後から着いて来るヒメコが僕に説明してくれた。


「そう言う事。

だから今から後輩君は私の恋人ね」


「ついでに私の恋人でもあるからね。

良かったね新人君。

こんなに綺麗な恋人が2人も出来て」


「じゃあついでに私のお兄ちゃんって事にしといていい?」


良くないよ。

今からどんな店行くか知らないけど、恋人2人と妹を連れて歩いてるとかヤバイ奴じゃん。


「なんの店か知らないけど、みんな家族って事で良くない?」


「後輩君はわかってないな〜

弟しか男がいないなんて思われたら負けた気がするでしょ」


「そう言う所だよ新人君」


実際いないんだから仕方ないじゃないか。


「私は本当のお兄ちゃんみたいに思ってるよ」


この純粋なヒメコの言葉になんか癒されるよ。


「ヒメコはこんな見栄張りのお姉さんみたいになったらダメだよ」


「見栄張りの何が悪いのかな?」


「私達の商売は見られてなんぼ。

他人にどう見られるかが一番大切なんだよ」


「なるほど。

そう言われるとそうだね」


舞台に登る時だけが演者じゃ無いって事だ。

2人共案外考えているんだね。


まあ仕方ないから3人に付き合うとするか。


3人に連れられてやって来たのはエミリア製薬の出している化粧品ブランド『エミリア』のお店。

まえにランランが言っていた安くて高品質なブランドみたいだ。


結構人気みたいで行列が出来ている。

列には割引目的なのか男女の組み合わせが結構いる。


「化粧品なのに男性がいた方が割引なんだね」


「チッチッチッ。

考えが甘いよ後輩君。

最近は男の子も化粧する時代になって来たんだよ。

今のうちに男性客を取り込んでおくのは立派な経営戦術なんだよ」


「それに恋人同士で来るとお互いに良く見せたい欲が増えるからね。

自然と財布の紐が緩むんだよ」


へぇ〜

商売ってそこまで考えないといけないんだ。大変なんだね〜


それに引き換え悪党は簡単だね。

欲しい、奪う、手に入れる。

正しくシンプル・イズ・ベストだ。


中に入ると結構広いお店だった。

店員さんもそこそこいるけど、商品の説明をしているのは2人だけみたいだ。

その2人が店内を見ながら他の現地バイトに指示を出してる感じ。


それでもしっかり回っている。

なかなかやり手の2人みたいだ。


その1人が僕達の方へと歩いて来た。


「いらっしゃいませ。

良ければ新商品をお試しになりませんか?」


「いいんですか!?」


「ぜひお願いします」


新商品って言葉にリンリンとランランが食いついた。

ヒメコも少し興味がありそうだ。


「では御三方ともこちらへ」


バイトに連れられて3人は奥へと案内されて行った。


「お客様はどうぞこちらへ」


残された僕は店員さんに案内されて、何故かスタッフオンリーの奥へと連れて行かれた。

そして扉の前まで案内される。


「中で代表がお待ちです」


え?なんで?

僕何か悪い事した?

うーん、思い当たる事は無いのだけど……

偽造恋人と偽造兄妹がバレた?

もしかして僕が怒られるのかな?

僕被害者なのに?


仕方ない。

3人の代わりにごめんなさいするか。


僕は怒られる覚悟で扉を開けて中に入った。


そこにはドレスの似合う綺麗な女性が待っていた。


「ご無沙汰しておりますヒカゲ様」


女性は深々と頭を下げる。


「えーと……」


どこかで会ったかな?

確かにどっかで見たような……


それにしてもこの人スタイルいいな〜

頭を上げた時に揺れる巨乳についつい目が惹かれちゃう。


ん?あの巨乳見覚えあるぞ。

……なんだ、エミリーじゃないか。


「久しぶりだねエミリー」


「はい。

ヒカゲ様に譲って頂いた製薬会社もここまで成長する事が出来ました。

お約束通りミリアの名は名乗らず、エミリーの名も捨てて、今はエミリアと名乗っています」


エミリーとミリアを合わせてエミリアって事だね。

彼女の事だし差し詰め、2つの過去もしっかり背負って生きて行くって言う覚悟の現れなのかもしれないね。

全く、つくづく彼女は悪党には向かない性格だね。


「それは良かった。

結構頑張ってるみたいだね」


「はい。

全てヒカゲ様のおかげです」


「別に僕は何もしてないよ」


「ではヒカゲ様。

申し訳ありませんが扉の鍵を閉めて頂いてもいいですか?」


「え?扉の鍵?

なんで?」


「他の誰かに入って来られるのは流石に困りますので」


なんだろう?

秘密の話かな?


僕は良くわからないけど鍵を閉めた。

するとエミリアが僕のすぐ近くまで来て僕に背中を向けた。

そのまま僕の体にピタッとくっつく。


「ではどうぞ。

流石に顔を見られながらは恥ずかしいので、後ろからでお願いします」


「何が?」


どうしよう。

全く言ってる意味がわからない。


「焦らしプレイですか?

確かにこれは焦らされると恥ずかしさが増しますね」


「プレイって何?

一体何の話?」


「それともやっぱり前からですか?

そんなに私の恥ずかしがる顔が見たいのですか?

ハッ!もしかして直揉みですか!?

うぅ……それは恥ずかし過ぎるのですが……

致し方ありません」


エミリアが突然ドレスを肩からずらして脱ごうとしだした。

僕は慌てて手を掴んで止める。


「ストップストップ。

さっきから何の話をしてるわけ?」


「何って、胸を揉むんですよね?」


「まだそのネタ引っ張るの?」


「引っ張るも何も、そう言う約束でしたし……」


「は?

そんな約束した?」


そんな覚え全く無いぞ。

いつの話だ?


「しましたよ。

事業が上手く軌道に乗ったら遊びに行くから、その時にいよいよその胸を揉ませてもらうって。

だから来たのでしょ?」


そんな事言うわけ……

なんか言った様な気がして来た。


「本当に容赦無く思う存分揉むとも仰ってました。

どんなに嫌がっても満足するまで徹底的に揉むとも」


ああ、言ったわ。

そんな気無かったからすっかり忘れてたわ。


「と言う事ですから心ゆくまでどうぞ」


「いやいや、揉まないからね」


「そうやって焦らしてからの?」


「違うわ」


「いつもリリーナ様にやってるみたいに揉んでくださって結構ですよ」


「やってない。

一切やって無いよ」


「なんでですか!」


「いや、なんでと言われても……」


「なるほど、自信が無いのですね。

では私で存分に練習してください」


本当にこの子は……


「あのね。

自分を大切にしないといけないよって何回も言ってるよね?」


「しかし、胸を揉むと仰ったのはヒカゲ様ですよ」


「それはそうなんだけどね。

そうじゃないんだよ。

なんでわからないかな?

君も嫌だろ?」


「そんな事はありませんよ」


「え?」


僕が一瞬固まってしまった隙にエミリアが少し離れてこっちを向いた。

そしてドレスがストンと床に落ちてパンツのみになる。


「私だって誰に揉まれてもいいなんて思ってませんよ。

私はヒカゲ様の事を好ましく思っていますから。

もちろん恥ずかしいですが」


そう言うエミリアの顔は真っ赤になっている。


「そうやって嘘ばっかり」


「何故ですか?」


エミリアは僕の右手を掴んで自分の左胸に強く押し当てた。


ビックリした。

あまりの柔らかさに理性が吹き飛びそうになったじゃんか。


「鼓動が早くなっているのが分かりますか?

列に並ぶヒカゲ様の姿を見た時からずっと高鳴っているのです」


「確かに早いけど……」


それよりも柔らかさの方が気になってしょうが無い。


「ヒカゲ様は自分に向けられる好意に気付かないフリをしています」


「気付かないフリ?

まさか。

僕は悪党だよ。

誰からも好意なんて――」


「ほら、そうやって自分に言い訳をして。

本当は気付いているのに」


エミリアは僕の言葉を遮って否定した。


でも、そんな事言われたって……


「私はヒカゲ様の顔もナイトメア様の顔も知っています。

悪党の美学だって少しは理解しているつもりです。

その美学に出て来る身内とはどうやって決めているのですか?」


「そんなの適当だよ」


「いいえ。

ヒカゲ様は自分に好意を持ってくれる方を身内としています。

ですからヒカゲ様が好意に気付いて無いはずが無いのです。

確かにヒカゲ様の行いはお世辞にも許される事では無いです。

でも、そのおかげで助かった人達は沢山います。

私もその1人です。

ですから好意を素直に受け止めてください」


いや、そんなに深く考えた事無いんだけどな〜

身内なんて本当にそう思ったから身内だって事だし……


僕が黙って考えているとエミリアはため息を吐いてから僕のもう片方の手を掴んで反対の胸に押し当てた。


だからその感触は急に来られるとヤバイんだって。


「どうやら練習が必要みたいですね。

では早速私の好意を受け止めて思う存分揉んじゃってください」


「いや、だから揉まないって」


「そう言いつつ、さっきから右手の指が微かに動いているのですが……」


本当だ。

無意識に動いてる。


僕は慌てて両手を最高の感触から断ち切る。


「はあ、生殺しですか?

酷いですね」


ジトーと見られるが揉まない物は揉まない。

僕の美学は絶対だ。


「正直私は揉んで貰えるのを楽しみにしていたのですが」


「そう言う冗談は良く無い。

特にエミリアみたいな魅力的な女の子は良く無い」


「冗談では無いのですが。

まあ今はまだヒカゲ様の言う軌道に乗ってる状態まで行って無いって事にしておきましょう」


エミリアは落ちたドレスを持ち上げてようやく着てくれた。


なんでこの世界の女の子は貞操概念が緩い子が多いのかな?

世界が変われば価値観も変わるって事なのだろうか?


「ところでヒカゲ様」


「なに?」


「リリーナ様を差し置いて恋人とはどう言う事でしょうか?

しかも2人も。

更にあんな可愛い妹なんて私は知らないのですが。

まさかとは思いますが、隠し子なんかではありませんよね?」


空気が一気に冷え切ったんだけど。

怖いよその笑顔。

さっきまで僕の事好きだと言ってた人とは思えない。


やっぱりさっきのは冗談だったに違いない。

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1つでも構いません。


ブックマークも頂けたら幸いです。


よろしくお願いします。

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